<セクハラ・ヤジ 議員特定できず懲罰を断念>懲罰動議は事犯があってから3日以内という都議会ルール
発端は、今月18日、東京都議会でみんなの党の塩村文夏議員が妊娠や出産の支援策について質問中に「自分が早く結婚すればいいじゃないか」「まずは、自分が産めよ」「子供が産めないのか?」「子供もいないのに」などとヤジが飛んだこと。
このセクハラ・ヤジを問題視する声が各界から上がり、塩村議員は発言者に対する処分を都議会に申し立てした。
そうしている間に、インターネットの署名サイトChange.orgが、自民党東京都連宛に、女性差別発言をした都議会議員の特定と厳正な処分を求める署名運動を立ち上げ、21日午前10時半現在で、6万人を超える勢いだ。
しかし、20日午後、吉野利明議長は塩村議員が提出した発言者に対する処分の要求書を受理せず、再提出を要求したという。理由は「発言者が特定されていない」ためだという。
「みんなの党」東京都議会議員・音喜多駿(北区)のブログによると、不受理の理由は「いったん受理すると、懲罰特別委員会が立ち上がるが、懲罰対象議員が特定されていないとその議員が含まれる可能性があるため」だという。(ブログでは音喜多議員が塩村議員に聞いたところによると、としている)
これに対し、音喜多議員は、対象議員を懲罰特別委から除斥することは、議案を機会にかけることができるかどうかの問題であり、受理するか否かとは無関係、としています。
「みんなの党」は議員特定のための声紋鑑定を考えたようだが、特定に3~4週間かかることから、懲罰動議は事犯があってから3日以内、という都議会会議規則があるため断念せざるを得ない状況だ。音喜多議員は、議員を特定し民事に持ち込む可能性にも言及しているが、まずは24日(火)の議院運営委員会に事態解決の望みを託している。
議会が特定されねば受理しない、というのもなんだかな、と思うわけだが、ヤジを飛ばした議員たちが名乗り出ないのもみっともない。ネット上で特定される前に自ら謝罪したらよさそうなものだ。議会は自浄作用を示し、そして対象議員は真摯に反省をしなければならない。それが都民に対する責任だろう。女性が生き生きと働き、出産・子育てができる社会の実現とは程遠いこの現状にあきれてものも言えない都民、いや国民も多いのではないか。
泥仕合の様相を呈してきたこの問題、まだまだ続きそうだが、こんな体たらくでオリンピック開催、大丈夫なのか?
(参考)
- 地方自治法132条:普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。
- 地方自治法133条:普通地方公共団体の議会の会議又は委員会において、侮辱を受けた議員は、これを議会に訴えて処分を求めることができる
- 東京都議会会議規則第112条:懲罰の動議は、文書をもつて所定の発議者が連署して議長に提出しなければならない。前項の動議は、懲罰事犯があつた日から起算して3日以内に提出しなければならない。
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