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.社会  投稿日:2014/7/4

<都議会セクハラ野次問題>政府が推進する女性の活躍を柱に据えた成長戦略の実現に必要なこと


Japan In-Depth編集部

先月(6月)、東京都議会で勃発したセクハラ・ヤジ問題。海外にまで、日本社会が女性に差別的であるとの論調が拡散された。こうした中、政府は女性の活躍を柱に据えた成長戦略を発表。これから日本は女性の力をどう活かしていけばよいのか。その為にすべきことは?

自身もセクハラ発言を受けたことのある千葉県我孫子市議・水野ゆうき氏、社会保障政策に精通する社会保障経済研究所代表・石川和男に問題の論点を聞いた。

水野市議は、自身も議場内外で同種のセクハラ発言を受けた経験があり、今、地方議会のあり方が問われていると指摘する。水野市議によると、地方議会は個々の議員のモラルの低下だけではなく、構造的な問題を抱えているという。

日本の地方議会は二元代表制となっている。二元代表制とは、首長と議員の双方を有権者の直接投票によって選出し、首長と議会が相互に監視し合いながら、政策を作る仕組みだ。議員内閣制をとる国会とは異なり、本来は与野党構造が生まれないことになっている。

しかし、水野市議によると、実際は、地方議会でも擬似的な与野党構造が生まれ、多数派である与党が首長と馴れ合いになり、首長の考えに近い政策ばかりが通るなど、本来のあるべき姿になっていないという。

こうした現状を変えるためには、有権者による日頃の議会活動のチェックが不可欠だ。選挙の時だけ有権者の前に現れ、耳障りの良いことを言う候補者は多いが、惑わされてはいけない。インターネット中継などを利用して、議会での議員の発言をきちんと知って、それを判断材料として、次の投票行動につなげることで、議会の質が向上すると水野市議は訴える。

さらに、今回のヤジ問題では、女性に対する日本社会のあり方も問われた。

石川氏は、日本が男社会と言われる原因として、指導的立場にある女性の比率がOECD諸国と比較して極端に低いことを挙げた。政治家や中央官庁幹部の女性の比率は特に低い。また、文化も保守的だ。食事の席で、女性が男性にお酌をしたり、料理をとりわけたりすることが、若い世代でも日常的に行われている。

財政が逼迫する中、資源を持たない日本が今の国力を持続可能なものにするためには、人材をフルに活用する必要がある。外国人労働力の導入を議論する前に、国内の女性を活用する政策が不可欠だ。国も成長戦略に女性活用を掲げているが、働く女性の環境改善のためにはどういった取り組みが必要なのだろうか?

最低限必要なのが、これまで「家でやるもの」として女性が一手に担ってきた保育と介護のインフラ整備だ。

しかし、保育や介護の現場では、給与水準の低さのために、仕事を続けられない人が多く、人材が不足している。石川氏は、限られた国家予算の中で、かけるべきはハードではなくソフトであり、保育や介護に従事する人が暮らしていけるような政策をとるべきだと指摘する。

水野市議は、こうした政策が脆弱である原因のひとつに、女性の政治家が圧倒的に少ないことがあるという。水野市議が所属する我孫子市議会では24人中女性はたった4人。働く女性の環境整備といった問題に目を向ける世代の女性が政治の世界にいないのだ。

一方で、女性の7割が非正規雇用を希望するといったデータにも表れているように、女性自身が自らの活躍に歯止めをかけている面も否めない。

「お上頼み」では社会は変わらない。議会中継をチェックする。選挙に行く。そして自らもチャレンジする。自分で考え、行動することが、今、国民に求められている。(hinata)

 

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