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.社会  投稿日:2014/7/23

<理想の人生>理想でしか生きられない人は、現実とのギャップに苦しみ欲求不満になる


 為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)

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理想を生きている人がいる。会社はもっとこうあるべきなのに、現実は働いている事に対し対価が低かったり待遇が悪かったりする。社会はもっと公平であるべきなのに、誰かに評価が集まる。理想と現実はかけ離れていてそこにギャップがある。

理想を生きている人のうち幾人かがそのギャップを埋めようとし、そして成功する。社会を変える人、会社を作る人。あるべき社会に近づける為に努力するし、できる。その過程に苦しい事があっても耐えられる。そういう成功者の物語は多い。

理想を生きる事に夢中になる。こんなんじゃだめだ、もっともっととがんばって、ある日ふと足が動かなくなり自分を振り返るとぼろぼろになっている事に気づく。理想は向こう側にあるけれど、自分はここにある。いまここを生きていなかった事に気づく。

子供の頃掲げた理想の自分、理想の人生。人生のどこかで理想のレールからはみ出た事に絶望する。負けたら、失敗したら終わりと思っている。その後の人生はずっと理想から外れた事の恨みかひがみ。他者をのろいながら生きていく。いまここの自分はないがしろになっている。

理想を生きたければ生きてもいいし、生きたくなければ生きなくてもいい。問題は選択できない事。理想しか生きられない人は、現実とのギャップに苦しみ欲求不満になる。外から見ればなんでそんなに怒っているのかわからない。ただひたすらに不満を抱えている。

あの人の人生は自分の人生ではない。理想なんてなくても構わない。他者の期待に応えなくても構わない。自分を許しても構わない。見方を変えれば世界が変わる。自分はいまここを生きている。

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