[山田厚俊]<三つ巴の戦いで早くもヒートアップ>沖縄県知事選・下地元郵政民営化担当相が立候補を表明
山田厚俊(ジャーナリスト)
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「明確に県民投票で決める。その方針の下に進め、辺野古移設の決着をつける」
7月31日、下地元郵政民営化担当相が無所属で沖縄県知事選に立候補することを表明した。
このことにより10月30日告示、11月16日投開票の知事選は、3選をめざす現職の仲井真弘多知事、普天間飛行場の辺野古移設反対を掲げる翁長雄志那覇市長との一騎打ちから三つ巴の戦いになるもようだ。
移設容認派の仲井真氏は、下地氏の発言について「県民投票で何を決めるのか、よく分からない。もう両政府が合意した方向で進んでいる。普天間は解決という方向で、10年も待たずに閉鎖状態にすることが現実的かつ危険性の除去になる」と語った。
とはいえ、沖縄県民の感情としては、いまだ普天間移設に関してアレルギーが強いといわれている。今春、自民党が実施した世論調査では、翁長氏が仲井真氏に20ポイント以上の差をつけていた。
滋賀県知事選で自公候補が敗北を喫した背景には、集団的自衛権の憲法解釈容認に関する閣議決定で、公明党が実質的な自主投票に回ったことが挙げられている。つまり、地方選において自公協力は難しい状況になった。加えて、沖縄では公明党県連は普天間移設に反対で、仲井真氏支援は難しいとしている。
「仲井真知事は昨年12月、辺野古の埋め立てを承認した。民主党政権で行き詰っていた問題を進めてくれた、いわば政府にとっての“恩人”。どんな逆風であろうと、自民党が全力で支えるのは当然だ」(自民党関係者)
自民党関係者はこう力説するが、反転攻勢の打開策はいまのところ見当たらない。辺野古移設に関して言えば、とにかく既成事実として工事を進めてしまえば、反対派が何を言おうと関係ないという考えが見え隠れする。この態度が改まらない限り、県民の政府・自民党への不満は収まらない。
国政にダイレクトに影響すると見られている沖縄県知事選、告示までまだ2カ月以上あるが、水面下での戦いはすでにヒートアップしている。
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