<都市の交通利便性高めよ>案内表示を大きく・わかり易く・多言語化するのが国際観光都市を目指す東京の義務
Japan In-Depth編集部
東京メトロは19日、国内の鉄道事業者としては初めて、全線の列車位置や遅延情報等をオープンデータ(注)で公開し、そのデータを活用したアプリを開発するコンテストを実施すると発表した。
地下鉄利用者の利便性が高まるアプリ開発が加速するものと思われ、歓迎すべき取り組みだ。多言語のアプリが開発されれば、外国人旅行客にも歓迎されよう。
一方で、こうしたITを活用したサービス以前にやるべきことは多いと思われる。 例えば、プラットフォームの柱などに貼られている、「各駅の階段・エスカレータ・エレベータ・出口などに近い電車の乗車位置情報」だが、すべての柱に貼られているわけではない。
しかも、都内ではこれだけ地下鉄と私鉄の相互乗り入れが進んでいるのに、概して、この乗車位置情報は、自社の路線部分しか提供されていない。これは不便極まりない。全路線分、柱に貼れないというなら、各駅で紙で配布すればいいではないか。
また、都内ではこれだけ外国人が増えているのだから、車内アナウンスを多言語化してもよさそうなものだ。パリの地下鉄の車内アナウンスはフランス語の次は日本語だった。(他に、英語、中国語なども)ご丁寧にスリに注意、のアナウンスも流れている。せめて駅や乗換情報などは多言語化したらどうか。
さらに、案内表示板のわかりにくさもある。渋谷地下駅には東横線、東京メトロ副都心線、半蔵門線などが乗り入れているが、相互乗換やJRへの乗り継ぎのわかりにくさは筆舌に尽くしがたい。東京生まれの人間でも迷うこと必定だ。まして、海外旅行客なら尚更だ。大規模工事をしているから、というのは言い訳にならない。
ビジネスのセンターである大手町駅なども工事中で、出口情報など不十分だと感じる。 とにかく、案内表示は大きく、わかり易く、そして多言語化するのが国際観光都市を目指す東京の義務だろう。鉄道事業者、そして自治体のさらなる取り組みに期待したい。
(注) オープンデータ:行政や企業が保有するデータで、誰でも利活用可能なものを指す。新しいサービスやビジネス創出に活用され、社会や経済を活性化することが期待される。
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