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.国際  投稿日:2014/7/22

[安倍宏行]<改めて見直す観光立国・日本のおもてなし度>日本は治安もネット環境も観光客対応も世界トップクラス


Japan In-Depth編集長

安倍宏行(ジャーナリスト)

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7月はパリで毎年開催される、日本のポップカルチャーの祭典、Japan Expoの取材でフランス・パリに滞在、その後イタリア・シチリアを回って帰国したが今回、海外に滞在して、改めて日本の素晴らしい点を見直した。決して、自画自賛でない、日本の誇れる“おもてなし度”について考える。

まず、治安。これは言うまでもないが、パリ市内でも一緒にいた仲間にスリにあった人がいた。しかもシャンゼリゼ通りで、である。日本にもスリはいることはいるだろうが、そうそう被害にあうものでもあるまい。筆者は機内(日系の航空会社であった)にタブレットを置き忘れた。すぐに電話したが、出てこなかった。これも日本ではちょっと考えられない。

これに関して、パリ市内の地下鉄では、「スリに気を付けてください。お財布や携帯電話等、貴重品はお手元に。」というようなメッセージが車内で日本語で流れるようになっている。仏語の次に流れるということはそれだけ日本人が狙われているということか。次に英語、ドイツ語、中国語、と続いていた。

旅行客が一番困るのが移動だ。多言語の音声ガイドは、日本の鉄道やバスなどでも是非やったらいいと思う。ただでさえ複雑な東京の鉄道網を少しでも乗り易くする工夫が必要だ。駅の表示などは言うまでもない。

次に、インターネット接続状況だ。日本のネット接続環境は悪い、いう評判をよく聞く。無料WiFiが街で使える、いわゆる“ホットスポット”が少ない、ということだろうが、パリやイタリア・シチリア島の観光地のホテルやレストランでは無料WiFiはあることにはあるが、いちいちパスワードを教えてもらわないと使えず、面倒くさい。日本ではホットスポットは最近大分増えてきている。観光客向けに多言語案内表示が必要だろう。

欧州では、ホテルでもWiFi環境はよくない。安いホテルだとロビーだけしか無料WiFiが使えず、部屋はつながらない、などということもあった。これでは仕事にならない。いいホテルの場合、部屋で通じても有料のところが多い。しかも一日10ユーロ(1500円位)も取るところがあるから要注意だ。

日本のホテルはたいてい無料WiFiが繋がることを考えると、日本のネット環境は決して悪くない。第一、もう日本は3GからLTE(注1)に移行していて、仮に街中や移動中にWiFiが繋がらなくてもそこそこ高速通信が可能だ。いずれにしても観光客にわかり易いネット接続方法を説明したサイトやパンフレット作成が急務だろう。

最後に、預入れ荷物の到着が遅延したような場合の航空会社の対応だ。欧州域内で、飛行機で移動の場合、預入荷物の遅延が当たり前のように起こる。筆者は、フランスからドイツ・チューリッヒ経由でイタリア・シチリア島に移動したが、実際に荷物を受け取ったのは、シチリアに到着後、5日後だった。

調べてみたら、フランスから荷物をドイツに送ったのが2日後、その翌日シチリアに送っている。それなら3日後に連絡があってよさそうなものだが、航空会社の手荷物遅延・紛失係はいくら電話しても誰も出なかったし、メールをしても届かなかった。

これも日本では考えられない対応だろう。観光客にとって荷物の遅延やロストは不安なもの。これも空港などの多言語対応が必要だ。 日本に来る海外旅行客が日本の治安やサービスの質の高さ、すなわち“おもてなし度”に感嘆するのは当たり前だと実感した。しかし、これに奢ることなく、さらにその質に磨きをかけることが、観光立国としての日本の地歩を固めることになると思う。

注1) LTE(Long Time Evolution) 第3世代(3G)携帯電話のデータ通信を高速化した規格。最高通信速度が下り(基地局→端末)で100Mbps以上、上り(端末→基地局)で50Mbps以上となり、家庭向けのブロードバンド回線にほぼ匹敵する高速なデータ通信が可能。 IT用語辞典より

 

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