[宮家邦彦]<PM2.5で昼間なのに視覚の悪い北京>11月のAPEC首脳会議での日中首脳会談の可能性[外交・安保カレンダー(2014年8月25-31日)]
宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)
◆宮家邦彦の外交・安保カレンダー(2014年8月25-31日)
中国社会科学院の日中関係に関するフォーラムに呼ばれ、久し振りに週末二泊三日で北京に出張してきた。
土曜日に到着した北京空港は昼間なのにとても視界が悪かった。確かに地上では息苦しい。ようやく念願のPM2.5を体験できた訳だが、外国人が北京から逃げ出す理由が良く判った。
北京では日中関係者の誰もが11月のAPEC首脳会議での日中首脳会談の可能性について噂話をしていた。筆者の本音は「だから、どうした?」だ。北京四年弱の皮膚感覚で申し上げれば、宴の主人が特定の客人を無視するような非礼は中華文化にはないはずだ。真の問題は話の中身だろうが、その点はあまり期待できないだろう。
今週からようやく欧州が再始動する。26日にロシア、ウクライナとEUの首脳会議がミンスクで、30日にはEUの特別首脳会議がブリュッセルで開かれる。
前者の会議にはEUのエネルギー関係者も参加するというから、天然ガスについても話すのだろう。9月になれば欧州は秋になり、やがて冬が来る。エネルギー問題は鬼門である。
後者のEU首脳会議では対ロシア制裁問題に加え、欧州理事会議長や欧州委員会の主要委員人事が話し合われる予定だという。それが決まれば、新体制の下で、対ロシア制裁の行方やギリシャ債務免除問題をはじめとする主要問題が動き出すということか。議論だけでなく、しっかりと結論を出してもらいたいものだ。
前述の通り、26日以降はウクライナをめぐる動きが再開され、27日にはウクライナ議会の解散が決まるといわれる。その場合10月27日にも総選挙が実施されるが、焦点はこれで大統領が政権基盤を強化できるか否かだ。これに失敗すれば、それこそプーチン大統領の思う壺だろうが・・・。
日本関係では31日からインド新首相の初訪日が予定されている。中東関係では、25日にエジプトで前大統領らの裁判が延期され、イラク新首相が組閣名簿を議会に提出するなど様々な動きがあるのだが、紙面が尽きてしまった。
今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
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