[Japan In-depth編集部]【大人の文化祭、銀座の中心で】~気鋭のアーティスト32人の競演~
<上写真:天井に椅子が。会議が行われていたであろうオフィスの記憶を「可視化」した土屋公雄氏の作品>
銀座のど真ん中で、新しい試みが始まった。数寄屋橋交差点からほど近い銀座4丁目の名古屋商工会館で、10月16日から11月9日までの期間限定で行われているアート展「THE MIRROR」(注1)が、それだ。
鉄筋コンクリート造地上6階建ての同会館は、戦前の1930年に建てられ、80余年の歴史に幕を閉じ、来年建て替えられる。その解体まえに、フィナーレを飾るイベントが企画されたというものだ。
<鏡の洞窟から出てくるチンパンジーを置いた渡辺元佳氏の作品>
1階から6階までの18室、計約900平方メートルの展示面積を使って、アートから建築、デザイン、映像やファッションなどさまざまな分野の国内外の新進気鋭の若手からベテランのアーティストたちに参加してもらい、展示や日替わりセミナーなど盛りだくさんの内容となっている。
アートディレクターの浅葉克己、インテリアデザインの内田繁、建築家の隈研吾や藤森照信、編集者の松岡正剛といった各界の第一人者から、刺繍アートの宮田彩加やドローイングなど多様な表現手法を用いる神馬啓佑など新進気鋭のアーティストたち計32人の作家がそれぞれの世界観を展開している。
展示方法は、従来のオフィスの部屋割をそのままにして、部屋の中で作家らが自由にスペースを使っている。まるで、学園祭の展示室といっていいだろう。そう、“大人の学園祭”といった趣が、ここにはある。
<宮田彩加氏と作品>
たとえば、403号の宮田は、「角に暖炉があったので、暖炉の上に手縫いの刺繍を飾り、他はミシンの刺繍を展開しました。同時展示はめったにしませんが、暖炉がある空間で共存できました」と、語る。501号は松岡と隈のコラボレーション。松岡が2000冊を選書し、その展示スペースを隈がデザインした。スタッフの一人は「松岡さんが帰ってきたら、ぷかりとたばこを吹かす空間を隈さんがデザインしました」と説明。
<隈研吾氏と松岡正剛氏のコラボ/屋根裏をイメージした部屋の設計、天井部分は五色の雲>
”大人の文化祭”は、類稀な文化発信拠点の出現といえるだろう。1日400人限定、完全前売り予約で入れ替え制なので、事前の確認が必要だ。ぜひ、銀座の中心から先端文化の数々をご覧いただきたい。
注1)
THE MIRROR http://the-mirror-ginza.com/
会場:名古屋商工会館
住所:東京都中央区銀座4-3-6
会期:11月9日まで
時間:13:00~21:00
休館日:月曜日
前売り券:チケットA(13:00~17:00)1000円 チケットB(17:00~21:00)1000円
※各回限定200枚
【あわせて読みたい】
[渋谷真紀子]【米・小学生かぐや姫演じた!】~アートが実現する異文化に寛容な社会~
[安倍宏行]<第15回 Japan Expo2014>欧州最大の日本文化の祭典は過去最高25万人以上を動員
[染矢明日香]<ろくでなし子氏逮捕問題の争点はズレている?>逮捕要因は「作品」ではなく「元になったデータの頒布」
[渋谷真紀子]<演劇界最高峰・トニー賞に演劇教育部門が設立>演劇教育の教育者を商業演劇はどう評価するか?