日本人の早期英語教育のメリット/デメリット①〜子どもに英語を習わせる場合の効果的な時期と条件
西條美穂(さいじょう・みほ)
(株式会社キッズインスパイアー 代表取締役/教育コンサルタント/米国教育管理学修士)
今日は、早期英語教育についてのお話。我が国において、多くの人たちは、子どもに英語を習わせることに興味はあるものの、いつから始めるべきかに悩まれているようだ。私がこれまで10年間関わってきた子どもたちの多くは、日本にいながら1歳から4歳までの間に第一言語である日本語に加え、英語を学ぶことをスタートしている。
結論から述べると、ある条件付で、このような時期から英語を学び始めることが非常に有効な可能性が高いと考える。まずは、この1歳から3歳のような時期にスタートする早期英語教育における考えられるメリット・デメリットについて、現場で見てきたこと、可能性として起こりうることという視点であげてみる。
【メリット】
- 『臨界期』があると言われている 「音を聞き取り発音する能力」が高い時期なので、ネイティブの音を正確に聞き取り、それを正確に発音できるようになる(臨界期を過ぎるとそれが非常に困難になる。またはできない)。
- スポンジのようになんでも学ぶ時期なので、空気を吸うように自然にスムーズに英語を学べる。
- 羞恥心を持たずに楽しんで英語を学べる。
- 読み書きではなく、きいて話すことに重点を置く学びになるので、英語でスムーズなコミュニケーションができるようになる。
様々な研究で言われているように2言語以上学んでいる子どもは言語能力が高いので、あるときから日本語も英語も飛躍的に伸びる。既に2言語学んでいるので、他の言語も学びやすくなる。多くのメリットを上げることができ、どう考えても幼い頃から英語を始めることが効果的なように感じる。が、一方で生じうるデメリットについてもあげてみたい。
【デメリット】
- 第一言語(日本語)の発達が遅れる可能性がある。
- 第一言語(日本語)が育たない可能性がある。
- 日本語と英語が混じってしまう可能性がある。
- 日本人としてのアイデンテティーが育たない可能性がある。
これらのデメリットを考えると、メリットの良さは消え、やはり早期英語教育はすべきではないと思われるかもしれない。だが、これらのデメリットは時間が解決する部分と、対策を立てることにより防げることがある。
次回、この説明をしたいと思う。
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