[西條美穂]<日本人の早期英語教育のメリット/デメリット②>早期英語教育をプラスに作用させるために
西條美穂(さいじょう・みほ)
(株式会社キッズインスパイアー 代表取締役/教育コンサルタント/米国教育管理学修士)
前回、早期英語教育に関するメリットデメリットについて紹介させていただきました。今回は、デメリットをどのように解決するかについて書いてみたいと思います。
最大のデメリットとして挙げられていたのは、第一言語の混乱や遅れでした。しかし、ヨーロッパ諸国などでは生まれたときから2言語以上にさらされている子どもがほとんどです。それでも最終的には複数の言葉をきちんと話すようになっています。
私が見てきたインターナショナル・スクールの生徒たちも、二言語(日本語と英語)を同時に学びましたが、卒業して小学生になるまでには、ほとんどすべての子どもが年齢に応じたレベルで、日本語と英語をきちんと分けて話すことができました。(もちろん個人差はあります)。
そうなるためには、知っておかなくてはならないことが2つあります。
- 第一言語の使用を禁止しないこと(そもそも幼い子どもたちはどちらが英語でどちらが日本語か最初はわからない)
- 言語の発達が遅いように感じたり、2言語が発話の中に混じったりするのは仕方がないと知ること
まず、①に関して、何かを禁じられる際の子どものストレスは計り知れません。ましてやどれが英語でどれが日本語かわかっていない段階で日本語を禁じることは、話すことへの恐怖につながりかねないので気を付けたいです。どんな言語を話してもきちんと対応してあげること、また、どちらもさらに伸びるような働きかけをすることが大切です。具体的には、日々の読み聞かせや対話、それに人前でしっかり自分の意見を伝えるプレゼンなどがあります。
②に関しては、子どもが2言語以上を同時に学ぶ場合、言語の発達が遅れているようにみえたり、複数の言語が混ざったりすることは普通に起こることだと理解しましょう。これはきわめて当たり前のことなのです。日本では日本語だけを学ぶことが前提とされているので、健診で「言語の発達が1年以上遅れています」と言われてしまうことがあるかもしれません。
それでもあわてず5歳、6歳になるまで様子を見てください。様々な研究で、二言語以上学んでいる人の言語能力が高いことが実証されています。子どもたちも5、6歳になる時にはかなりの確率で綺麗に2言語が分かれ、さらにそれぞれかなり高いレベルで話すことができます。
正しい知識、経験をもって、言語教育を続けていくことがとても大切です。
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