[芳賀由明]【西室日本郵政社長、2年続投宣言の衝撃】~政府、水面下で次期社長候補探し始める~

芳賀由明(産経新聞社経済本部 編集委員)
西川善文元三井住友銀行頭取、斎藤次郎元大蔵事務次官に続いて政治に揺れ動いた巨大官業の社長の座に就き、民営化の第一歩を成功に導いた西室泰三日本郵政社長は、郵政民営化の功労者であるが、12月には80歳となる。グループ3社の上場を花道に退任するのではとみられていただけに、所管の総務省幹部も続投宣言に「え、そうなの?」と衝撃を受けた。
西室社長は、上場前の報道陣との会見で「株主総会を(来年と再来年の)あと2回、自分自身でやるのが務めだと思っている。2018年度に完成する新社屋に社長として入る気はない」と述べ、上場後2回の株主総会を議長として仕切り、東京・大手町に建設中の超高層ビルに移転するまでには社長を退任すると言い切った。
株式売却などグループの民営化は途上だけに後任が誰になるかは日本郵政グループにとって大きな問題だが、「(最後の株主総会までに)後任をどうするかを決めていく」とまだ先との認識だ。
社内の昇格か社外から招くかについては、「現段階ではオープンだ。個々の人材の能力や会社の状況を考えた上で考えたい。政府の意向を考慮しなくてもいいようにしたい」と述べた。日本郵政公社総裁だった生田正治氏のほか、西川氏、斎藤氏とも時の政権による1本釣りで招き入れた。西室社長は「経営トップ選任に政治の介入を許していては民間企業とはいえない」との信念がある。
ただ、日本郵政グループには総務省出身者と、金融や不動産、保険など外部企業から来た〝外人部隊〟は半々の状況。役人出身の社長が就任すれば、政府が難色を示す可能性もある。
西室社長の2年続投宣言とは裏腹に、政府は水面下で次期社長候補を探し始めているという。それより、周囲が心配するのは、西室社長自身の健康状態だ。80代の社長が民間企業への転換途上の日本郵政グループを新社長に引き継げるか、あと2年でどこまで道筋をつけられるか注目される。







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