ゴーンと司法
.政治  投稿日:2016/2/17

宮崎氏は、地域で奉仕を 「育休」議員の贖罪 その2


 岩田太郎(在米ジャーナリスト)

「岩田太郎のアメリカどんつき通信」

不倫を認めて辞職を表明した宮崎謙介衆院議員(35)には、中1リンチ殺人事件が起こった川崎市で、子供たちに安全な場所や食事を提供する「子供食堂」を私財で経営させ、切迫流産の危機を乗り越えて2月5日に生まれたばかりの長男「謙二君(仮の呼び名)」に対する罪滅ぼしをさせる。

「謙二君」を育てながら、地域の子供に寄り添う活動として、居場所のない子供の話を傾聴し、勉強をみてやり、夜遅く帰宅する親たちと交流する。川崎市の親子が直面する多重の困難の解決を支援する中で、新生児育休期間だけではなく、成人までの長期にわたって、いかに意味のある親子の食事や団らんの時間を作ってやれるか、ライフワークとして考えてほしい。

昨年2月に乳がんで妻・奈緒さん(享年29)を亡くした、読売テレビのニュース番組『かんさい情報ネットten.』の清水健メインキャスター(39)は、帰宅後に1歳の長男を風呂に入れて寝かしつける育児を続けている。これぞ真のイクメンだが、宮崎氏について問われ、「簡単に育休などと言って欲しくない」「子供には何の罪もない。絶対に守ってやって欲しい」と答えている。

一番大切な「謙二君」の利益は、父である宮崎氏と母である金子恵美衆院議員(37)が彼のために、心と力を合わせることだ。親が子のために力を合わせてこそ、子の心も安定し、有為な人材に育っていく。父母の協力が、子供を守ることなのだ。金子氏には、宮崎氏の地域奉仕にぜひ理解を示してもらいたい。

そのようにして私財と自らの時間を投げ打ち、よその家の子供や、他の親を助けている宮崎氏と、それをサポートする金子氏の姿を、「謙二君」に見せるのである。協力する両親の背中を間近に見て育つ「謙二君」は、父親を呪うのではなく、自分も父親のように社会の役に立ちたいと思うようになるのではないか。「僕のお父さんは、本当にバカなことをしたが、心を入れかえて立派に罪滅ぼしをした」と思えるだろう。永久育休の罰は、実は赦しと祝福なのである。

ひとつ心配なのは、宮崎氏が永久育休をとって育児に専念し、他の親と交流するようになると、子供の同級生の美しい母親たちや若い保育士、学校の女教師などに魔手を伸ばす可能性が無きにしも非ずである点だが、「謙二君」のことを思い、踏みとどまってほしい。

宮崎氏には、授業参観、社会見学、地元奉仕など数えきれない機会を通して子育ての喜びを知るとともに、他の家族の子育て支援をするなかで、自分の人生を見つめ直してもらいたい。

ご飯を作ってやり、アニメやドラマを共に見て笑い、ベタベタしてくる子供を抱きしめ、勉強を見てやり、言葉や世の中のいろいろなことを教え、散歩やイベントに出かけ、悩みや不満や嬉しかったことを聞いてやり、時にはぶつかり、食事をしながら楽しく話す。

そして、夜中に毛布を蹴り飛ばしていないか確かめて、かわいい寝顔のおでことほっぺにキスをする。そんな地に足を着けた日常を通して、地域や国の子育て支援はどうあるべきかを一から考え直してほしい。

万葉集の歌人、山上憶良は、次のように詠んだ。

 

瓜食(は)めば 子ども思ほゆ

栗食めば まして偲はゆ

いづくより 来りしものぞ

眼交(まなかひ)に もとなかかりて

安眠(やすい)し寝(な)さぬ

 

銀(しろかね)も 金(くがね)も 玉も

何せむにまされる宝 子にしかめやも

 

育休云々より、これこそが子育てと、育児支援の原点ではないか。子育ての本質は、子供の言うことを聞いてやること、掛け値なしに子の人格を信じること、大人になった時に生き残れる力をつける冒険をさせ、その「宝たち」を見守ることなのだ。

宮崎氏はもう国政にも地方選挙にも出ず、何もしゃべらず、地道な育児支援の行動で示してほしい。国政は奥様の金子氏に任せ、子育てに関する新しい知見やアイデアは奥様に拾い上げてもらい、国会で主張してもらえばよいのである。

宮崎氏は、貧困地区で子供食堂経営を 「育休」議員の贖罪 その1 の続き。全2回)


この記事を書いた人
岩田太郎在米ジャーナリスト

京都市出身の在米ジャーナリスト。米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の訓練を受ける。現在、米国の経済・司法・政治・社会を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』誌などの紙媒体に発表する一方、ウェブメディアにも進出中。研究者としての別の顔も持ち、ハワイの米イースト・ウェスト・センターで連邦奨学生として太平洋諸島研究学を学んだ後、オレゴン大学歴史学部博士課程修了。先住ハワイ人と日本人移民・二世の関係など、「何がネイティブなのか」を法律やメディアの切り口を使い、一次史料で読み解くプロジェクトに取り組んでいる。金融などあらゆる分野の翻訳も手掛ける。昭和38年生まれ。

岩田太郎

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