情報公開、必要なのはスピード感と透明性 小池百合子東京都知事(前編)
「細川珠生のモーニングトーク」2016年9月10日放送
細川珠生(政治ジャーナリスト)
Japan In-depth 編集部(Aya)
細川:おはようございます。今日はゲストに小池百合子東京都知事にお越しいただきました。
小池: 今日で放送1100回目ですか、おめでとうございます。
細川:ありがとうございます。1995年の9月2日に、第一回が始まりまして、父細川隆一郎と一緒に番組を始めたのですが、父が亡くなった後7年間一人でやって参りました。都知事は早速都政改革本部を立ち上げて、いろいろな調査を始められ、検証して、悪いところは直していくと、いうことですが、改革の必要性が生じた原因についてどうお考えですか?
小池:あの猪瀬さん、舛添さんと、そもそも東京都知事というのは、他の地方自治体の長と同じように4年間任期があるわけです。ところが考えてみたら、4年間のうちに3人。石原都知事も途中で辞められてますから、こんなにくるくる知事が代わるっていうのは、めまぐるしすぎて、それもなんだか、よく分からない結末になって、ということが前段にあったかと思います。でその後、都知事選を経て、私が、本当に政党の支持も推薦もなく、結果として戦って、300万票近い票を頂戴して勝利するわけですが、その前後から、ずっと東京都政について、いろんな報道が朝から晩までやってますよね。中には私のファッションチェックまで行われたりして。(笑)
要は、ほとんどの方は、都政についてご存じなかったんじゃないでしょうか。国政については、本当に小さなことでもよく伝えられてですね。そして大臣が辞めたり、いろいろありますけれども、都政にこれほどスポットがあたったことがそもそもない。で、結果として今、スポットがあたっていて、おまけにオリンピック・パラリンピックを控えていて、そして、なんでこんなに高いの、誰が決めたのと、いう非常に素朴な疑問をみなさんが抱いておられて、そこに私が改革という言葉、この「かいかく」という4文字を使って、それに対する期待があると思うんです。とてもやりがいがあります。
そして東京大改革を進めていくために、まずシステムを作ろうということで、都政改革本部という組織を立ち上げました。外部の方々にも参加頂いて、アドバイスいただいて、情報公開チームとそれから非常にお金がかかるオリンピック・パラリンピックについての調査チームと、この2本柱で。この9月1日からはじめたばかりなんですね。いろいろスケジュールを考えますと、調査ばっかりやっているわけにはいきません。だって4年後にはオリンピック・パラリンピックがくるんです。それからその一年前にはテストイベントっていう形をやらなければならない。それにはあと3年しかないんですね。あっという間に過ぎますよ、これは。ですから調査ばっかりはしていられないし、まして主体で行うのは東京都ですし、それから、都民の皆さんのご理解というか納得がないと、いい大会にはならないじゃないですか。スピード感をもって、かつ透明性を確保する。というその二つのことをいっぺんにやっていきたい、と思っています。
細川:おそらく、都民が一番、疑問というか、感じたのはオリンピックの様々なこと、例えば、国立競技場の問題、エンブレムの問題、組織委員会なのか、どこが悪いのか分からないけれども、やり直しになるって一体どういうことっていうところ。やはり東京オリンピックに対する不安感をなんとか払拭して、本当に成功させてくれるリーダーがほしいな、と思っていたところに、直すべきところは直すというふうにおっしゃった小池都知事が誕生されたと。そういう意義があるのかなと思っています。
小池:そのためにはね、やはり透明性っていうのがないと、結局エンブレムの時も、誰が決めたんだと。そしてこの人はこういうところと関係があって、ああだこうだと、すごいチェックまで入ったり、どこそこのエンブレムに似ているからこれはコピーだとか、もう今の時代はすごいですね。ネットの力もすごいし。国内のみならず、世界中でチェックが始まっちゃう。それもすごいスピード感でね。ですからまやかしはいけないんですね。であるならば、最初から公開するものは公開をする、そして道筋を説明責任、つまり“アカウンタビリティー (Accountability) ”、それを示していかないと、結局お金と時間を無駄にする。二つともそうですよね?
細川:はい。
小池:あのエンブレムも新国立競技場も。だから結局、私はそういう形で、公開というか、見える化っていうのは、実は一番重要なんじゃないかなと思いますね。
細川:今、話題になっている、知事のお給料の問題なんですけども、半減ということを公約に掲げて、これを9月の議会で条例として出したいという意向があると伺っていますが、議会も、なかなか反対しにくい案件だと感じるんですが、実現の自信は?
小池:それに賛成するか反対するかは議会次第ですけれども。私はこの意向というか、これ公約なんですから、それを進めるということにつきます。あまりこまかい話はしたくないんですけれども、私自身政治姿勢として打ち出したものですから、しっかりと約束は守る、ということ。それとやはり、これをきっかけにですね、都政全般にわたって改革していく、これがまさに東京大改革ですので、それをひとつずつ、確実に前へ進めると。その結果として東京大改革、“あらこんなに変わったわ”とみなさんが実感して頂ける時が早く来るようにしていきたいと思っています。
細川:都議会の方と、この問題のみならず、どうやって意思疎通を図っていく予定ですか?
小池:そうですね、あの、説明させていただいて、ご納得いただくように。
細川:直接知事がですか?
小池:基本的にはですね、両方都民に選ばれているわけですから、そこは必ず接点があると思っています。
細川:都知事が何らかの形でコミュニケーションとる方策をとると。
小池:都議会が開かれる、という形になりますでしょうし、私がひとりで大改革をやろうと言っているのではなくて、今職員みんなが主体となってですね、外から言われてこう変えます、では弱くて、自分たち、つまりは都の職員たち自らが変えていく、それを担っていかないとですね、外から押しつけられた改革っていうのはむしろ改革にはそぐわない、と思います。ただ、これまでのただ延長線でいればいい、と思っているような方にはですね、やはりこういうふうに変えていくんだっていうことを明確に示していかないといけない、と思っています。
細川:女性の政治塾のようなものも作っていったらいいかな、というようなお話も記者会見でされていたと思うんですけれども。
小池:いや、別に女性に限ることないんじゃないですかね。今すごく都政に対しても、みなさん大変関心を持っていただいていますし、今回の私の選挙に追っかけ状態の人も出てきたりして。初めてこういう街頭演説に来ました、って言ってね。意思を持ってきました、ということをおっしゃる方々が多かったのでね。そういったいろんなご要望などもしっかり受け止めていくべきと思ってます。
細川:知事の魅力というのは発信力にあると思うんですね。いろいろなことを、都民に分かりやすく伝えていくことによって、都民は、あぁこの問題もあったのか、あるいはこういうふうに変わったのかっていうことを実感できる。情報公開ということを大きく掲げていらっしゃるので、わたしたち都民の税金が正しく使われていい東京都になるために、まず知事に情報発信ということを大きく期待しております。
小池:はい、ありがとうございます。
(2016年9月17日(土)の回(後編)に続く。この記事は、ラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2016年9月10日放送 の要約です)
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。