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.政治  投稿日:2017/9/12

「核保有はありえない」 岸田文雄自民党政調会長(前編)


「細川珠生のモーニングトーク」2017年9月9日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth 編集部(駒ヶ嶺明日美)

【まとめ】

・日本はミサイル防衛体制・経済制裁・日米同盟の強化の3本で北朝鮮の脅威に対抗すべき。

・海外の北朝鮮労働者から本国への資金の流れも規制すべき。

・我が国の核武装は議論すべきではない。

 

69回目の建国記念日にあたる9月9日、北朝鮮は国営メディアを通じて、「わが国は原爆、水爆、ICBM(大陸間弾道ミサイル)を保有する核強国に上りつめた」と核・ミサイル開発の進展ぶりを誇示した。

米国は新たな制裁決議案を11日の採決を目指している。緊迫する北朝鮮情勢に日本はどう対処するのか、自民党政調会長の岸田文雄氏を迎え、政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。

まず、細川氏が、「ミサイル発射・核実験と脅威が続き、国連安保理では引き続き強力な経済制裁を行うことに対して各国の理解を得ている状況だが、日本国民は経済制裁に本当に効き目あるのか疑問に思い始めている。」と述べ、それでもなお経済制裁を主として行っていくのか質問した。

これに対し岸田氏は「経済制裁、すなわち外交手段で国際社会と協力していくことも大切だが、我が国自身がミサイル防衛体制などで国民の命、暮らしを守るために備えることも大切だ。また、いまの国際社会では科学技術の進歩や国際情勢の複雑化によって、どんな国でも一国のみでは守りきれない。日米同盟の抑止力を高めていくことも考えなくてはならない。」と述べ、我が国のミサイル防衛体制の強化と日米同盟で北朝鮮に圧力をかけていくことが基本的な姿勢であると強調した。

また経済制裁は、北朝鮮が核ミサイルを開発するための技術を得ること、物資を得ること、資金を得ることの3つを阻止することだと説明し、中国やロシアが制裁に本気になっていないことに懸念を示した。

さらに、「北朝鮮は東南アジアを始め多くの国々と国交があり貿易している。世界中で北朝鮮の労働者が外貨を稼いでいる。」と述べ、北朝鮮への資金の流れを規制する必要があるとの考えを示した。

細川氏が北朝鮮自身にまだ余裕があるということかと質問すると、岸田氏は「経済的な圧力で、北朝鮮の国民は日々の生活は苦しいとは言われているが、実際には核開発・ミサイル開発が行われている。」と指摘し、政府として、今は圧力をかける時だということを国際社会に訴えていると説明した。

次に細川氏が、北朝鮮問題に対処するにあたり、それぞれ領土問題を抱えている中国とロシアは信用できるかと質問すると、岸田氏は「中国は北朝鮮の貿易全体の中の9割を占め、深い関係を持っている。ロシアも大きな影響力を持っている。信頼できる、できないにかかわらず中露2カ国を本気にして巻き込まなければ、圧力にならない。」と答えた。

また、中国とロシアの他にも抜け穴となっている国があるのではないかという疑惑に言及し、国際社会全体でこの問題の重要性を共有し、協力することが重要だとの考えを強調した。

また、国際社会が圧力をかけている間に北朝鮮が新たなミサイル発射や核実験を行うことを踏みとどまらせる方策について岸田氏は「(経済制裁、自らの備え、日米同盟の)3本を同時に進めていくことが大切。この後は(ミサイルを)飛ばさせないというつもりで国際社会が取り組まねばならない。」と基本姿勢を改めて強調した。

「自民党からも敵基地反撃能力が必要なのではないかという提言が出されている。今後本格的に検討していくつもりか。」という細川氏の質問に対して岸田氏は、「自民党として提言を行った。政府としてそれをどう受け止めるかだ。」と述べ、さらに「我が国の守りとしてやらなければならないことは敵基地反撃能力の保有の他にも沢山ある。防衛大臣もイージス・アショア(=地上型イージスを導入し)、船の上からだけでは無くて、陸上からもミサイルを迎撃する備えをするべきではないかという発言をしたが、イージス艦から発射されるSM-3も地上のPAC3もよりハイレベルなものにするべきではないか。」と述べ、北朝鮮の技術のレベルの進化に合わせて日本もミサイル防衛体制を強化していくべきとの考えを示した。

最後に、細川氏が核武装の論議もされていることに対して、岸田氏自身はどう考えるかと質問すると、岸田氏は「私自身はそういった議論はするべきではないと思っている。戦後、核軍縮・不拡散の議論を続けてきたが、今は国際的な核不拡散体制は、NPT条約(核拡散防止条約)を基本に考えられている。日本が核武装するということになれば、この大前提が崩れてしまう。日本が戦後ずっと築き上げてきたこの体制を崩すようなことは考えてはならない。唯一の戦争被爆国である日本ならなおさらだ。国民感情からしても核保有はありえない。今の体制を守りながら、国民の命や暮らしを守るにはどうしたらいいのか引き続き真剣に考えていかなければいけない。」と述べた。

次週の後編に続く。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2017年9月9日放送の要約です)

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ  http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ写真:©Japan In-depth 編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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