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.政治  投稿日:2017/12/5

TPP11の成立急げ 衆議院議員甘利明氏


「細川珠生のモーニングトーク」2017年11月25日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth 編集部(大川聖)

【まとめ】

・TPPは、全ての参加国に対して公平・公正で将来予見性があるルールを作るという意味で重要である。

・日本が誘導体の役割を果たし、各国との関係性を作り上げるべき。

・日本の国内産業は、生産者・地方自治体・政府が一体となって戦略を練るべき。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真の説明と出典のみ記載されていることがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=37282でお読みください。】

 

 

TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉で、アメリカはトランプ大統領が選挙の公約通り離脱を表明した。一方、11カ国による「TPP11」の大筋合意に対してカナダが難色を示している。政治ジャーナリストの細川珠生氏が元経済再生担当大臣で現在衆議院議員、自由民主党行政改革推進本部長・知的財産戦略調査会長の甘利明氏に話をきいた。

 

・TPP交渉の現状と今後の見通し

細川氏がまずTPP交渉の現状と今後どうしていくべきかを聞いた。甘利氏はまずカナダについて、「カナダは常に優柔不断である。NAFTA(北米自由貿易協定)にとってTPP11を先に成立させることがプラスなのかマイナスなのか(を検討している)。

ほとんどの国はTPP11を早くやった方がよいと思っている。一方、カナダだけはTPPでここまできたのだからもっと(NAFTAで)譲れ、となるのを警戒してこの段階で明確にしない方が良いと思っているのだろう」と述べた。

その上で「TPP11がなぜ必要かというと、各国の市場をより相互に開かれた状態にして、それを機に各国の国内産業の良いところを伸ばしていくという役割があるからだ。TPPで一番大事なのは、参加国が公正・公平で、投資する人にとっても将来突然負荷がかかってくることのないように将来を見通せるようなルールである。どこかの国が有利になるのではなく、全ての国に対して公正・公平で、将来の予見可能性がある。誰も逆らうことができないルールを世界にしいていこうということである。平等で公正な国際標準を作りたいと思っている国は皆賛成する」と述べた。

細川氏は「アメリカはどうか。トランプ大統領は選出されてちょうど一年程だが。」と質問した。甘利氏は「トランプ大統領が非常にやっかいだなと思うのは、彼の商売の流儀である。不動産屋で、一対一交渉でやってきた人なので、皆の調整をするまどろっこしいのより、『俺が出ていけば話がつくじゃないか。現に日本に行けば安倍首相は防衛装備を買ってくれると言ってたぞ。あるいはエネルギーを買ってくれると言ってくれたぞ。中国で習近平国家主席と話をしたら28兆円分数年かけて買うと言ったぞ。面倒くさいことではなく二国間でやってしまえばいい』という個人の商売スタイルであって国家、国際間の通商スタイルとは異なる」と指摘した。

その上で、「世界は一対一ではなく皆が納得する透明な公正なルールを作ろうという(流れがある)。だからWTO(世界貿易機関)があり国際機関がある。二国間だけでやったら政治力の強い国が勝ってしまう。これは政治力・軍事力の強い国がいい国はいいかもしれないがそうじゃない国はたまらない。」と述べ、世界中が平等なチャンス・権利を持つために国際機関があり、そのためのルールとしてTPPが必要であるとの考えを改めて示した。

 

・世界の枠組み作りにおける日本の役割

細川氏は「各国の横のつながりを作るにあたり、トランプ大統領を中心とするのは不安に感じるが。」と質問した。

甘利氏は「日本の首相が世界の首脳から頼りにされる、助け舟を出してもらえるというのは戦後安倍首相のみだと私は思う。世界の首脳が日本の首相の考えを聞こうといい、日本の首相の案でまとめようという場面がずっと続いている。安倍首相が中心となって(米と中・露など)個性の強い人たちを結集させる枠組みになってきているのではないか」と答えた。

 

・日本の国内産業

細川氏は「TPPその他国際的な貿易の枠組み、ルール作りの中で、日本の国内産業は警戒感がまだ拭えない。これから産業を盛り上げていくには、政策として必要なことがあるのではないか。」と問うた。

甘利氏は「自由貿易は世界中の“いいとこどり”だ。つまり、日本国内で作るよりコスパがいいものは輸入する。日本で作った方がコスパがいい物は輸出する。

日本は“いいとこどり”をする良さにまだ気が付いていない。日本の農産物は品質・味覚・見栄えで芸術品だといわれている。世界には所得の高い人も多く、より良い物を(求め)値段は問わない。価値づけを戦略的にして、どこにピンポイントで呼び込んだらいいか地方自治体や国、生産者が組んでやっていく。相手の国の規制は政府間ではずしていくことが必要。」と述べた。

 

 (この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2017年11月25日放送の要約です)

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ  http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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