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.国際  投稿日:2018/6/19

「世界難民の日」ソーシャル・アクション in渋谷


Japan In-depth 編集部(佐藤瑞季・大川聖)

【まとめ】

・「世界難民の日」ソーシャル・アクションが渋谷で開催。

・難民の生活を知るため渋谷駅ハチ公前広場に最新型家族用テントが設置された。

・参加者はテントに入りながら、スタッフの説明を受け、難民問題への理解を深めた。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=40496でお読み下さい】

 

6月20日は国連総会で制定された「世界難民の日(World Refugee Day)」だ。この日を前に6月16日(土)、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)駐日事務所特定非営利活動法人国連UNHCR協会の主催で「世界難民の日」ソーシャル・アクションin渋谷JR東日本渋谷駅前の“ハチ公前広場で開催された。

土曜日の人通りが多い渋谷の駅前で、難民キャンプで使われている最新型の家族用テントが設営され、実際に中に入ることができるようになっていた。私たちは国連UNHCR協会の天沼耕平さんに話を聞いた。

テントの大きさは4.3m×2.3m。1つ4~5万円程で、使用可能期間は1年くらい。1家族5人程度が収容できる。

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▲写真 難民キャンプで実際に使われている5人用のテント ©Japan In-depth編集部

天沼氏によると、難民キャンプでは、家族単位で決められた量の食料を支給され、自分たちで料理を行うのだという。出来上がった食事ではなく、穀物や野菜などの素材のまま支給することで、自分たちで生活する力を持ってもらおうとしているそうだ。また、燃料(薪)を80%節約できる省エネかまどセットも開発され、難民キャンプでの生活を支えている。

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▲写真 省エネかまどセット ©Japan In-depth編集部

現在、難民の52%は18歳未満の子どもだといわれている。難民キャンプにいる子どものうち、61%が小学校、23%が中学・高、1%程しか大学・専門学校に通うことしかできない。一方、水を運ぶ役割は大抵子どもたちが担う。そんな彼らの負担を減らすため、かさばらず、軽い容器が開発された。

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▲写真 10リットルまで入る給水容器 ©Japan In-depth編集部

電気が通っていないテント内などで灯をつけるために用いるのがソーラー・ランタン。難民の子どもたちは、ランタンを使用することで日の落ちた後でも勉強できる。太陽光発電なので、日中に充電しておくと、日没後も3時間程度明るさを保つことができる。東日本大震災の時にも使われていたそうだ。

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▲写真 国連UNHCR協会天沼耕平氏、手に持っているのは太陽光発電によるソーラー・ランタン ©Japan In-depth編集部

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▲写真 UNIQLOによる衣服回収ボックス ©Japan In-depth編集部

イベント会場では、9月に行われる国連総会に届ける署名も行われており、多くの参加者が足を止め、署名していた。6月16日(土)から20日(水)までの期間に署名をすると、署名1件につき50円(栄養不足の難民の子どもたちに提供する栄養補助食品1パックに相当)をシダックス株式会社がUNHCRに寄付するとのことだ。

しかし、世界的に見れば日本の署名数はまだまだ少ないのだという。学校への出張授業をはじめ、難民問題を知ってもらう機会を設けているそうだが、そのような場をもっと増やしていかなければならないだろう。

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▲写真 スタッフの説明を受けた上で署名をする ©Japan In-depth編集部

イベントに参加した人に感想を聞いてみた。都内在住の40代の会社員男性は「クルド人難民の方と知り合って以来この問題に関心を持っている。日本人はもっと関心を持たなくてはならない。」、都内在住30代の会社員女性は「難民問題については全く知らなかったがアンバサダーを務めるMIYAVIさんのファンで来た。軽くなったという容器の水でさえ、とても重く感じた。これを子どもが運ぶのだと思うとどんなに過酷なのだろうと考えさせられた」と話した。

はじめに難民問題に興味を持つきっかけは人それぞれだ。遠く離れた自分とは無関係のことだと思わずに関心を寄せ、募金や署名、周囲へのシェアなど自分のできる範囲で行動を起こしていくことが大切だ。今回のイベントや6月20日の世界難民の日がそのきっかけになればいいと思う。

トップ画像/渋谷駅前に設置された難民キャンプで使用されるテント ©Japan In-depth編集部

 

【訂正】2018年6月19日

本記事(初掲載日2018年6月19日)の本文中、「アンバサダーを務める雅さん」とあったのは「アンバサダーを務めるMIYAVIさん」の間違いでした。お詫びして訂正いたします。本文では既に訂正してあります。

誤:日本人はもっと関心を持たなくてはならない。」、都内在住30代の会社員女性は「難民問題については全く知らなかったがアンバサダーを務める雅さんのファンで来た。軽くなったという容器の水でさえ、とても重く感じた。これを子どもが運ぶのだと思うとどんなに過酷なのだろうと考えさせられた」と話した。

正:日本人はもっと関心を持たなくてはならない。」、都内在住30代の会社員女性は「難民問題については全く知らなかったがアンバサダーを務めるMIYAVIさんのファンで来た。軽くなったという容器の水でさえ、とても重く感じた。これを子どもが運ぶのだと思うとどんなに過酷なのだろうと考えさせられた」と話した。

【訂正】2018年6月20日15:37

本記事(初掲載日2018年6月19日)の本文中、「テントの大きさは4.3m×2.3m。1つ6〜7万円程」とあったのは別の家族用のテントの値段で、写真のタイプは「4~5万円程」の間違いでした。お詫びして訂正致します。本文では既に訂正してあります。

誤:テントの大きさは4.3m×2.3m。1つ6〜7万円程

正:テントの大きさは4.3m×2.3m。1つ4~5万円程

また、「53%が18歳未満の子ども」とありますが、難民と国内避難民の中の子どもの割合が53%になり、難民の中の子どもの割合は「52%」の間違いでした。お詫びして訂正致します。本文では既に訂正してあります。

誤:現在、難民の53%は18歳未満の子どもだといわれている

正:現在、難民の52%は18歳未満の子どもだといわれている

 

【注】

本文中、ソーラー・ランタンは「3時間程度の明るさを保つことができる」とありますが、太陽光発電を利用しているので照明時間はその日の天候により変動します。

 


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