[山田厚俊]<絶対的なリーダー不在の時代>終わった?小沢一郎の剛腕復活となる日は来るか
山田厚俊(ジャーナリスト)
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「あの人が野党再編に言及したそうじゃないか」
ある野党幹部は、興味津々で聞く。「あの人」とは、生活の党の小沢一郎代表のことだ。小沢氏は3月5日、東京・有楽町の外国特派員協会で側近の松崎哲久前衆院議員の著書『リーダーのための歴史に学ぶ決断の技術』(朝日新書)の刊行記念のトークイベントに出演したのだ。
席上、小沢氏は、
「原発などで対立軸が出てきている。グループ化がはっきり出来る状況だ」
「来年は統一地方選がある。それを考えれば、今年中にメドをつけなければならない」
と述べた。
その小沢氏の胸中を松崎氏はこう読み解く。
「今年終盤、11月から12月にかけて、福島と沖縄の県知事選が行われます。日本の国論を二分するテーマとなる『原発』『基地』を抱えた首長選です。ここで野党再編というより、現政権のままでいいのか、違う方向性を野党がまとまって示すことができるのかを問うことになるのではないでしょうか。その上で、統一地方選の結果を見て、再来年の衆参W選挙を前に本格的な野党再編に向けて動き出すものと思われます」(松崎哲久・前衆院議員)
つまり、今秋以降に福島、沖縄県知事選で“第1次野党再編”が仕掛けられ、来年の統一地方選後に“第2次野党再編”が行われ、再来年の衆参W選挙に突入するというシナリオだ。その中心に、果たして小沢氏がいるということなのだろうか。
昨年の参院選で生活の党は1議席も取れず、永田町では「小沢氏はもう終わった」と囁かれた。小沢氏支援で知られる大物経済人の一人も「(小沢氏には)徳がない。もったいない」と嘆いていた。各世論調査を見ても、小沢氏に期待する度合いは少ない。
それでも、冒頭の野党幹部のように、小沢氏の言動を気にする。絶対的なリーダー不在のこの時代、果たしてもう一度剛腕復活となる日が来るのだろうか。
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