[山田厚俊]<徳洲会事件>徳田毅氏議員辞職の舞台裏〜垣間みれる補欠選挙を前倒しするための“自民党戦略”
山田厚俊(ジャーナリスト)
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大手医療法人「徳洲会」グループの選挙違反事件で、親族らが公職選挙法違反の罪に問われている衆院鹿児島2区選出の徳田毅衆院議員が2月24日、議員辞職願を提出した。
徳田氏は会見で、議員辞職願を提出した理由について「これまで捜査の推移を見守ってきたが、親族も逮捕・起訴され、起訴内容も認めているので、これ以上、衆議院議員にとどまるのは国政にも地元のためにもならないと判断し、辞職の決意をした」と述べるとともに、「私自身、法に触れるとは夢にも思っておらず、関与はない」と、自らの事件への関与を否定した。
議員辞職願は近く認められるが、これは補欠選挙を前倒しするための“自民党戦略”だ、といわれている。というのも、公職選挙法の規定によると、衆院小選挙区での欠員は、その期間が9月16日から3月15日の場合「4月第4日曜に投票」、3月16日から9月15日の場合「10月第4日曜に投票」となっているため。
自民党鹿児島県連は、消費増税後まだ時間が経っていない4月下旬の選挙の方が、TPPの行方や消費増税10%決定後の10月下旬の選挙より勝算があると踏んで、自民党本部にその旨伝えていたのである。
既に自民党を離党している徳田氏だが、今後の徳州会グループのことなどを考えれば、自民党に逆らうことは得策ではない。双方の“利害”が一致して今回の辞職劇となったというわけだ。自民党関係者は語る。
「民主党側では、2012年衆院選で落選した打越明司氏が出馬意欲を燃やしています。一方、自民党としては近々詰める予定です」(自民党関係者)
自民党鹿児島県連は、内々に故・二階堂進元副総裁の孫娘などに出馬を打診したが断られているという。しかし、民主側が打越氏出馬となれば、勝算は十分にあると見ているというのだ。消費増税後、初の国政選挙も安倍自民党が優位に進めそうな気配である。
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