.政治  投稿日:2018/9/28

鳩山元首相言及 “佐喜真氏も翁長後継と名乗っている”は本当?

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Japan In-depth編集部(佐藤瑞季)

【まとめ】

・鳩山元首相の「玉城デニー候補も佐喜真候補も翁長さんの後継と名乗っている」→“誤り”

・ 玉城氏は立候補当初から翁長氏の後継として遺志を継ぐと発言。

・佐喜真氏は翁長氏の功績に一定程度評価しているものの「自身は後継」という趣旨の発言はしていない。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真の説明と出典のみ記載されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=42205で記事をお読みください。】

 

沖縄選挙選はその注目度の高さから様々な著名人が様々な発言をしている。彼らの発言は多くの人が目にすることから、影響力も大きい。今回のファクトチェックでは、83万人のフォロワーを持つ、鳩山由紀夫元首相がtwitterで投稿した内容を検証する。尚、このtweetは28日時点で、4515件リツイートされている。

 

【検証対象】

言説内容

鳩山由紀夫元首相

玉城デニー候補も佐喜真候補も翁長さんの後継と名乗っている不思議な沖縄県知事選挙。昨日8千人集めた玉城デニー候補の決起集会に翁長樹子夫人が「頑張りましょう」と呼びかけた。これでどちらが嘘をついているかが明らかになった。嘘を平気でつくような人間を県民は選ぶはずはないと信じている。」

2018年9月23日のtweetより)

まず、玉城氏自身「翁長氏の後継者として遺志を継いでいく」といった趣旨の発言を何度も繰り返していることは周知の事実である。

▲写真 玉城デニー氏 出典:玉城氏のtwitter

一方、「佐喜真氏も翁長氏の後継と名乗っている」という点に関しては事実かどうか疑問があるため、今回はこの部分について、詳しく検証していきたい。

▲写真 佐喜真敦氏 出典:佐喜真氏のfacebookのHP

まず、本人の公式HPやtwitterを確認したが、27日現在、「自身は翁長氏の後継だ」という趣旨の発言やtweetなどは確認できなかった。

公式HP上の「決意」というページには、「翁長県政の四年間を振り返ると、過重な基地負担を全国に知らしめたことは大きな功績でした。」と記されている。9月5日の立候補予定者公開討論会においても、「沖縄の過剰な基地負担の軽減に向けて全国に発信したということについては、やはり私どもとして評価をするところでございます。」と発言している。

9月5日のNHKの政治マガジンによると、佐喜真氏は「翁長知事に恥じない政治を作っていくことが、残された私たちの責任だ」と周囲に語ったそうだ。このような発言から、佐喜真氏は翁長氏が基地負担について全国に発信したこと自体は一定の評価をしていると言える。

しかし、先述の「決意」というページでは、「その一方で、国との関係などにおいて争いが絶えなかったことも事実ではないでしょうか。これは、沖縄の県民性からすれば、望むものではないはずです。本来の沖縄らしい「和」を取り戻さなくてはなりません。」と述べている。9月5日の討論会では、”安倍政権”と”翁長県政(経済政策)”、それぞれの評価と点数を問われた際、佐喜真氏はそれぞれ「60点~70点、40点~50点」と答え、玉城氏は「0点、80点」と答えた。9月11日の討論会でも、佐喜真氏は、玉城氏が強調した翁長県政の経済実績について、前代の仲井真県政が種をまいたものだと強調していた(候補者討論会・翁長県政の実績巡る発言は正確だった?参照)。このことをみても、佐喜真氏は翁長県政をあまり評価していないと言える。

念のため、沖縄現地で佐喜真氏を取材し続けている複数の新聞記者に確認したところ、「佐喜真氏が後継と名乗ることは聞いたことがなく、あり得ない」と口を揃えていた。

ちなみに、鳩山氏がツイッター投稿をする3日前の9月19日のしんぶん赤旗の記事は、沖縄県統一連の瀬長和男事務局長が口コミで”翁長知事の後継者は佐喜眞だ”と広げられていると警戒を強めていると書かれている。これも佐喜真氏本人の言葉ではなく、後継者と名乗っている根拠にはならない。

 

判定:ミスリード

佐喜真氏は8月24日の事務所開きで「翁長知事が常に政府や国民に訴えてきた米軍基地の過重な負担、その遺志をしっかりと継いで、沖縄県の基地負担軽減を全力で取り組んでいきたい」と発言していたが、この後は普天間返還のみを訴え、辺野古移設阻止を含む翁長氏の政策の継承については一言も触れていない。その他をみても、佐喜真氏が自ら積極的に翁長氏の後継と印象づけるような発言をしていた事実はない。

 よって、8月24日の発言をとらえて「佐喜真氏も翁長氏の後継を名乗っている」というのは、不正確で誤解を与える表現であるから「ミスリード」と判定する。

 

<追記>

 このファクトチェック記事を出した後、鳩山元首相は10月16日、ツイッターで佐喜真氏が「翁長氏の遺志を継ぐ」と発言していたと反論し、その根拠として琉球新報の9月9日付記事を紹介した。

 再調査したところ、琉球新報の当該記事は、8月24日の事務所開きの挨拶での発言を取り上げたものとわかった。事前の調査で佐喜真氏の公開された発言は可能な限り調べていたが、この発言は見落としていた。

 この事務所開きで、佐喜真氏は翁長氏の冥福を祈り、遺族に哀悼の意を表した後、「翁長知事が常に政府や国民に訴えてきた米軍基地の過重な負担、その遺志をしっかりと継いで、沖縄県の基地負担軽減を全力で取り組んでいきたい」と発言していた(YouTube動画参照)。

 だが、佐喜真氏はこの後、前宜野湾市長時代から掲げていた普天間飛行場返還について強調しただけで、辺野古移設反対を含む翁長氏の主要政策や政治姿勢を引き継ぐ趣旨の発言はしていなかった。

 鳩山元首相の「翁長氏の後継を名乗っている」という指摘は、自らを積極的に「翁長後継」と称し、翁長氏の政策を引き継ぐ趣旨の発言をしているかのような印象を与える。しかし、実際の佐喜真氏の発言全体を聞くとかなり開きがある。しかも、鳩山元首相は当該ツイートで、「翁長氏の後継を名乗っている」ことを前提とした上で「平気でうそをつく人間」と激しく批判しており、批判の前提事実が不正確であることは重大である。

 よって、「翁長氏の後継を名乗っている」というのは「誤り」と断じられないとしても、実際の発言とはかなり開きがあり、誤った印象を与える表現であるから「ミスリード」に修正した。

 

【訂正
初掲載2018年9月28日の本記事の内容を2018年10月25日、下記の通り訂正しました。

誤) 判定:誤り
正) 判定:ミスリード
削除) 佐喜真氏の「自身は翁長氏の後継だ」という趣旨の発言を27日現在確認することはできなかった。鳩山元首相の「玉城デニー候補も佐喜真候補も翁長さんの後継と名乗っている」という言説は根拠がなく、誤りと判断する。

トップ画像:出典 鳩山氏のTwitterより 

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