「福島原発問題 全国民が安心して暮らせる環境作りを」日本維新の会幹事長 馬場伸幸衆議院議員
細川珠生(政治ジャーナリスト)
「細川珠生のモーニングトーク」2019年10月5日放送
Japan In-depth編集部(淺沼慶子)
【まとめ】
・科学的見地に基づく安全性の確保と、風評の払拭を行うことで、処理水の海洋放出は可能ではないか。
・風評被害の払拭こそ政治家が考え行動すべき。
・国民生活に直結する福島原発問題を最優先に国会で議論すべき。
今回のモーニングトークでは、衆議院議員で日本維新の会幹事長の馬場伸幸氏をゲストに招き、政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。
細川氏はまず福島第一原子力発電所の処理水の問題について触れた。福島第一原子力発電所では既に約900本のタンクが敷地内に埋め尽くされており、それを置くスペースもなくなりつつある状態であるという。これに関して日本維新の会代表で大阪市長の松井一郎氏が「科学が風評に負けていてはいけない。科学的根拠が示されれば大阪湾で放出することも受け入れる意向がある」という趣旨の発言をしたが、大阪の漁協関係者からはバッシングを受けている。
細川氏は、どこの国でも(処理水を)放出している実態がある一方で、福島だけが過剰に反応されていることを踏まえ、「政治家がこのような発言をすることは良かったと感じる」と述べた。その上で、馬場氏が実際に福島第一原子力発電所を視察をしてどう感じたか聞いた。
馬場氏はまず始めに「改めて余りの悲惨さに心を痛めた。一刻も早く原発の問題を片づけて、福島の方のみならず東日本、全国民が安心して暮らしていける環境作りを早急に行うことが重要だと感じた。」と述べた。
更に馬場氏は、東日本大震災直後に福島県の依頼を受けて大阪が汚染されていない瓦礫を(いわゆる一般的な産業廃棄物)受け入れたことについて触れた。当時は大阪維新の会が、「子供を殺すのか」「大阪が放射能だらけになる」等の批判にさらされたという。
馬場氏は「我々はどういうアクションを起こせばどういう反応が返ってくるか大体わかった上で、今回の松井市長の処理水の受け入れ発言に繋がったことをご理解頂きたい」と述べた。
次に細川氏は、馬場氏が今回の自身の視察や既に発表されている政府の方針などを踏まえ、科学的根拠が示されれば汚染水を海に放出することは問題ないと思うか聞いた。
これに対して馬場氏は、処理水の海洋に対する放出には大きく2つの柱がある、と述べた。1本目として科学的見地による安全性の確保を挙げた。客観的に見て安全かどうか立証しなければ安心感は生まれない。馬場氏は、今福島でタンクに入れて敷地内で保管しているもののうち82%は安全基準を満たしていないが、18%の処理水はすぐに放出出来る、という現状を踏まえて「きちんと情報公開をして、全ての処理水が安全基準以下になるように、東電の方で努力をしていただかなければならない」と述べた。
2本目の柱として、科学的見地ではない人間の心理的な安心感、いわゆる風評被害をいかに解決するかを挙げた。馬場氏は「これこそ政治家が考えて行動していかなければならない」と強調した。そして、「国民の関心が高まる中できちんと情報公開をして(処理水を)処理をし、風評被害を払拭していけば(処理水を海に放出することは)可能ではないか」との見解を示した。
細川氏は、松井市長が国民の不安を払拭し風評を乗り越えられるような方策を国で考えてほしい、と述べていたことに触れ、馬場氏に今後国会でどのような提案をしていきたいか聞いた。
馬場氏は、科学的見地に関して(原子力)小委員会で議論がなされており、歴代の小委員長がコストや年数といった多方面から検討した結果、海洋放出しかないとの判断を下したが、政治的判断により実行されなかった現状について述べた。
そして、国会では科学的見地にたって数字を基にした議論を代表質問や予算委員会で重ねるべきとの見解を示し、「議論を聞いていただければ国民の皆様方も理解も深まるのではないか」と述べた。加えて「維新の会も臨時国会では力を入れて全議員が対応する。ありとあらゆる機会を通じて議論を深めたい」とのスタンスを示した。
最後に細川氏は、現在メディアで大きく報じられている関西電力の金品受領問題に触れた。細川氏は「処理水の問題と関電の問題は別問題であるが、国民はつなげて見てしまう部分もある」と述べ、国会で処理水の問題について議論を進めなければならない中で、維新の会はどのように関電の問題を取り扱っていくのか、今後の見通しを聞いた。
これに対して馬場氏は、まず始めに「言語道断だ」と述べた。電力の自由化が始まっているとはいえ、今後も電力会社は重要な位置を占める。更に電力会社も商売であり、国民からもらう電気料金で会社運営をしている。「おかしなお金がおかしなところにまわっていることになると、電力会社への国民の不信感につながり、電気代の値下げといったことになる」と懸念を示した。国会での議論にあたっては、関電の問題は「深堀しない」との姿勢を明らかにした。
福島の原発問題を巡っては、汚染炉を2045年には県外に出すと既に約束していることや、処理水の処理が終わらないと汚染炉の話に進めず、廃炉にも30-40年かかる、等、課題は山積している。
馬場氏は「関電の問題は由々しき事態であり言うべきことは言うが、国民生活に直結する福島原発問題を前に進めていきたい」との考えを改めて強調した。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2019年10月5日放送の要約です)
「細川珠生のモーニングトーク」
ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。