ゴーンと司法
.国際  投稿日:2019/11/6

コペンハーゲン、世界初CO2フリー目指す


安岡美佳(コペンハーゲンIT大学アシスタントプロフェッサー・北欧研究所 )

白石竹彦(北欧研究所シニアコンサルタント)

【まとめ】

・デンマークコペンハーゲン市は、2025年までに世界初のカーボンニュートラル首都を目指している。

・その実現に向けた施策の一つとして、地下鉄を含む公共交通機関の拡充を進めている。

・従来の2経路に加え、2019年9月末に市内地下鉄環状線が開通し、さらに拡充予定である。

 

 

▲写真 地下鉄駅、プラットフォーム階 出典:北欧研究所

持続可能な都市 (サステイナブル・シティ)を目指すコペンハーゲン市で、2019年9月末 (29日)、市内の地下鉄環状線 (M3路線)が既存の2路線 (M1、M2)に加えて開通した。これを受け、デンマークが、地下鉄を含めた交通機関の拡充を図る背景や概要、地下鉄路線の現状、将来の路線延長計画について以下報告する。

▲図 コペンハーゲン地下鉄路線図、2020、2024年完成予定のものを含む 出典:https://intl.m.dkより改変して記載

 

■ 地下鉄路線拡充の背景

コペンハーゲン市は、2025年までにカーボンニュートラルを達成する世界初の首都を目指し、さまざまな施策を計画・実施中である[1]。その施策の柱は、エネルギー分野、リサイクル分野、緑化、水資源の利用など12項目にわたり、その内の一つが公共交通機関の拡充である。なお、同市は2014年には「European Green Capital (ヨーロッパの緑の首都)」に選出される[2]など、サステイナブル・シティの実現に向けて、国を挙げて取り組んでいる。

▲写真 左、ベビーカー・自転車の乗り降りの様子。右上、自動改札機(チェックイン端末)、対応端末であれば複数人数のチェックインや自転車料金(ラッシュ時以外)の支払いも可能。右下、アクセシビリティに配慮された車両とホームの隙間・段差 (駅員の介助なしで車いすが乗降可能)。

 

■ コペンハーゲン地下鉄 (Metro)の概要

コペンハーゲンの地下鉄 (ホームページ[https://m.dk])は、デンマークのコペンハーゲンにある24時間・365日運行の高速輸送システムである。地下鉄網は、コペンハーゲン市 (50%)、デンマーク政府 (41.7%)、フレデリックスベア市 (8.3%)によって共同所有されており、列車運行は、アンサルドSTSとミラノ地下鉄を運営しているアジエンダ・トラスポルティ・ミラネージの合弁会社が行っている。

2002 年の開通以来、安定した利用客数があり、現在までの合計利用者数は5億人を超える。一日当たり乗客数は18万人とされ[3]、2018年、地下鉄は6,677万人の乗客を運んだとされている[4]。利便性は高く、ラッシュ時 (7-9時、14-18時)には数分 (2–4分)おきに運行されている[5]。また、駅インフラや車両はバリアフリーに配慮した設計となっており、全てのホームと車両の間は、段差・隙間が無いため、車椅子の方が、駅員等の第三者によるサポート不要で乗降が可能となっている。

 

■ 地下鉄路線の現状 (2019 年 11 月時点)

従来からの2経路 (M1、M2)は、2007年には、M2がコペンハーゲン空港まで延長され、総計21駅、路線長21km(2002年から2007年にかけて順次開通)にて運営されてきた (図 1)[6]

2019年9月に開通した新路線 M3は、一周15.5km(所要時間約24分)で17駅を有する市内環状線である (図参照)。この開通により、地下鉄駅の総数は37駅となった。新線は、コペンハーゲン中央駅と市内主要5地区 (ヴェスタブロ、フレデリクスベア、ノアブロ、ウスタブロ、中心部地区)を結んでおり[6]、従来、地下鉄と地上鉄道でカバーされていなかった地区を接続している。またM3は、既存の2系統と異なり完全に地下を走行しており、17駅のうち2駅は従来の地下鉄網との共用12駅は新建設、残りの 3 駅は地上鉄道の駅の改築によって地下鉄網に接続している。このM3系統は1日24万人を輸送すると予測されており、地下鉄全体の総利用者数は46万人とされ、このうち約 25 パーセントは現在公共交通を利用しない人々とされる[7、8]。

▲写真 左、地下鉄車内の様子。右上、自動改札機(チェックアウト端末)、改札がないためチェックアウトを忘れると超過料金が発生し面倒なことになる。右下、地下鉄駅構内(地下踊り場階、右奥は自転車置き場)。出典:北欧研究所

 

■ 将来、予定済みの路線延長

コペンハーゲン地下鉄は、M4系統を郊外のブロンスホイグラッドサクセ、そして工業地帯のノードハウンの端にあるシュドハウンへの4.5kmの延長を計画している。これに伴い、新たに5駅の開設予定が発表されている[9]。

▲写真 地下鉄駅内のプラットフォーム階に降りるエスカレーター 出典:北欧研究所

 

<参考資料>

[1]https://ec.europa.eu/environment/europeangreencapital/winning-cities/ 2014-copenhagen/copenhagen-application/

[2] https://ec.europa.eu/environment/europeangreencapital/winning-cities/ 2014-copenhagen/

[3] https://intl.m.dk/about-the-metro/

[4] https://m.dk/om-metroen/metroen-i-tal/.

[5] https://intl.m.dk/travel-information/the-timetable/

[6] https://intl.m.dk/about-the-metro/facts/history/

[7] “Prognose for passagertal”[Estimate of ridership] (in Danish). Copenhagen Metro. Archived from the original on 25 February 201 2. Retrieved 8 April 2010.

[8] http://myldretid.dk/nyheder/nr/437

[9] https://intl.m.dk/we-are-constructing-new-lines/m4-to-sydhavn/

トップ写真:地下鉄駅地上部(画面右はエレベーター、画面中央奥は入り口)出典:北欧研究所


この記事を書いた人
安岡美佳コペンハーゲンIT大学アシスタントプロフェッサー、北欧研究所代表

慶應大学で図書館情報学学士を取得後、京都大学大学院情報学研究科にて社会情報学を専攻し修士号を取得。東京大学工学系研究科先端学際工学博士課程を経て、コペンハーゲンIT大学より博士号を取得。京都大学大学院情報学研究科Global COE研究員などを経て現職。現在は「情報システムのための参加型デザイン」への関心から派生し、北欧のデザイン全般、社会構造や人生観、政治形態にも関心を持ち、参加型デザインから北欧を研究。また、参加型デザインで日本に貢献することを念頭に、最近ではデザイン手法のワークショップやデザイン関連のコンサルティング、北欧(デンマーク・ノルウェー・フィンランド・アイスランド・グリーンランド)に関する調査・コンサルティング業務に従事。

安岡美佳

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