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.経済  投稿日:2019/12/5

ポルシェがカーレンタル開始


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・ポルシェジャパンが公式レンタカーサービスを開始。

・最短4時間から最長2泊3日までポルシェ6車種をレンタルできる。

・サブスクリプションサービス(定額乗り放題)は今回無し。

 

スーパースポーツカーに乗ってみたいが、おいそれとは手が出ない。そうはなから諦めている人は筆者を含め多い事だろう。

しかし、時代は「所有からシェアへ」と変化し、昨今、クルマを買わない若者が増えている。自動車メーカーは手をこまねいているわけにはいかない。

こうした中、あのトヨタが「KINTO」なるサービスを開始した。頭金なし、月々定額で新車に乗ることができるもので、いわゆる「サブスクリプション」モデルだ。例えば、レクサスに特化した「KINTO SELECT」だと、3年間6車種のレクサスに乗り換えることができる。(月額19万8千円:税込)

外国車メーカーにもこうした波が押し寄せてきている。ドイツの高級スポーツカーメーカーポルシェの日本販売会社、ポルシェジャパン株式会社は12月6日から、プレミアムカーレンタルサービスを開始すると発表した。それが「ポルシェ・ドライブ」だ。

 

■「ポルシェ・ドライブ」とは

5日発表された「ポルシェ・ドライブ」は、ポルシェ公式のレンタカーサービスで、日本がアジア地域初の導入となる。

最短4時間から最長2泊3日(金曜16時~月曜10時)まで、ポルシェ6車種をレンタルできる。料金は車種によって異なり、4時間で37,000円から60,000円、2泊3日では95,000円から160,000円となっている。

レンタルできるのは、ケイマン(Cayman S)と911(911 Carrera 4S Cabriolet, 911 Carrera GTS)、マカン(Macan S)、カイエン(Cayenne)、パナメーラ(Panamera 4S)となり、来年デビューするフル電動スポーツカータイカンがラインアップに加わるかどうかは検討中だという。

▲写真 ©Japan In-depth編集部

ターゲット層は、虎ノ門ヒルズ(東京都港区)など都市型オフィスビルに勤務している人、併設する居住棟(レジデンス)に住んでいる人、シティホテル宿泊客や海外駐在員などとしている。

「ポルシェ・ドライブ」は、虎ノ門ヒルズや六本木ヒルズなど、港区を中心に超高層商業施設やオフィスビルを多数開発しているデベロッパー、森ビル株式会社との協業だ。

協業の内容は、ビル内の駐車スペースや車両展示スペースの提供、デジタルサイネージの放映など。車両の受け渡しは虎ノ門ヒルズの地下駐車場の専用スペースとなる。また同ビル2階には専用デスクも設置される。

▲写真 レンタカー受け渡しスペース ©Japan In-depth編集部

▲写真 「ポルシェ・ドライブ」専用デスク(虎ノ門ヒルズ内)©Japan In-depth編集部

 

■ 「ポルシェ・ドライブ」の狙い

ポルシェジャパン株式会社コーポレートビジネスディベロップメント担当部長のアンドレ・ブランド氏は、ポルシェのグローバル戦略が、従来の「最も成功しているスポーツカーメーカーになること」から、「最も成功しているエクスクルーシブなモビリティのブランドになること」に変化した、と述べた。

また、「世の中の変化の度合いは劇的だ。若いお客様はステータスとして車を所有することが重要でなくなっている。必要な時だけ使って、その分支払うフレキシビリティを求めている。こうした多様な変化を捉え、ブランドとして立ち位置を維持していきたい。」と述べ、新規の顧客層、特にこれまでポルシェユーザーに少なかった若年層にポルシェを体験してもらう狙いがあるとした。

「ポルシェ・ドライブ」はドイツ本国を初め、フランス、カナダ、北米で既にサービス展開中だ。一方、北米では「ポルシェ・パスポート」というサブスクリプションサービスが2017年からスタートしている。現在、アトランタ、ラスベガス、フェニックス、サンディエゴ、トロントで利用できる。月額料金は約20万円から30万円程度。今回日本に同様のサービスは導入されなかったが、これについてブランド氏は、「現時点でパイロットプロジェクトとしてレンタカーサービスを立ち上げた。今後、ユーザーの評価を聞いて、多くのサービスを考えていきたい。」と述べるにとどまった。

電動化や、自動運転などのハードの変化から、モビリティ(移動)を1つのサービスとしてとらえた新たな「移動」の概念である、MaaS(Mobility as a Service)の台頭など、車を取り巻く環境は著しく変化している。自動車メーカーは単に車を販売するだけではなく、様々なユーザー・エクスペリエンスを提供し続けなければ、生き残ることはできないだろう。「ポルシェ・ドライブ」はその前哨戦に過ぎない。

トップ画像:©Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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