「AI時代、一番大切なのは人」浮島とも子衆議院議員
細川珠生(政治ジャーナリスト)
「細川珠生のモーニングトーク」2019年12月21日放送
【まとめ】
・AI時代には、人間にしかできないことを教育することが大切。
・子どもたちがパソコンを使えるような教育環境の整備が課題。
・急病や障害者にも対応できる公正な受験体制が必要。
今回のゲストは浮島とも子(前文部科学省副大臣・現公明党文部科学部会長)衆議院議員。今年話題となった大学入試改革を基に、早急に手を付けるべき教育改革について、政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。
細川氏は今回の大学入試改革の方向性に賛成の立場を示しつつ、本来変えるべきなのは義務教育の内容と制度そのものであることを主張した。その上で、浮島氏に入試以外に急いで取り組むべき教育改革は何かを問いた。
浮島氏は「一番大切なのは人」である、と述べ、小さい時から様々なことに触れて心で学ぶ教育の大切さを訴えた。具体的には、AIが進化する時代に必要な資質を身に付けるために、AIにしかできないことと人間にしかできないことを教えることが重要だとした上で、「AIは正確に定義付けられたビッグデータという土台があってこそ初めて力を発揮できるが、人間の強みはデータがない、曖昧な中でもいろんな事が出来る。」と述べた。
また今、力を入れていることとして、「小さい子ども向けのスポーツや文化、芸術、キャンプなどの体験授業を行い、心の宝を積み上げる教育をしていかねばならない」と述べた。
次に浮島氏は今年度発表されたPISA(OECD生徒の学習到達度調査)の結果に言及した。それによると、日本人学生の読解力は前々回の2012年の調査では過去最高の4位だったが、今回は15位に下落し、読解力の低下が浮き彫りになった。
その理由の一つとして、今までのテストは紙ベースだったのに対して、今回はパソコンの画面を検索しながら問題を探す方式に変更したためとされている。
浮島氏によると、国はこの結果を受け止め、「令和5年度までにすべての小中学生にパソコンを使って学べる環境を整えることに取り組み始めた」と述べた。初年度では小学校5、6年生及び中学1年生のすべての子どもが端末を手に取って個別最適化された学びができるように、補正予算案に2,318億円の予算を計上している。
また、浮島氏は子どもにしっかり教えられるように、教員に対するサポートも必要不可欠であると述べた。日常的にICTを活用できる体制作りとして、教員支援機構による各地域の指導者の養成や、ICT活用教育アドバイザーによるワークショップや説明会、ICT支援員などの企業の外部人材による支援が予算の中に含まれていると述べた。年内に「教育の情報化に関する手引き」を教員たちに示し、学校の先生もしっかり対応できる体制作りを急いでいる。
▲写真 ⒸJapan In-depth編集部
これに対して細川氏は、果敢に色々なことに手を付け、じっくり長期的に検討することで、公正な制度になるようにしたい。という浮島氏の活躍に期待の意を示した。
最後に、浮島氏は受験における急病と障害者に対する配慮について言及した。浮島氏は2016年にインフルエンザにかかった中学3年生が受験に失敗し、母子ともに自死したニュースを見て、急病の学生の別日での受験は可能かと国会で質問したことを紹介した。2016年当初は7府県4政令市のみの対応だったが、文部科学省の取り組みにより、2019年現在は35都道府県で措置があるという。
また、自閉症の受験生に対しては、試験場に配慮案内があり、個別に対応できるので大学入試センターへ問い合わせを呼びかけた。浮島氏は、これからも一人ひとりが試験を受けられる体制を整えるように努めていきたいと意気込みを示した。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2019年12月21日放送の要約です)
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。