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.政治  投稿日:2020/1/28

「中国への懸念、アジア太平洋各国で共有」長島昭久衆議院議員


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

編集長が聞く!」

【まとめ】

・自衛隊中東派遣の状況によっては、新たな法体系の必要も。

・インド太平洋各国は中国の脅威を共有している。

・国民、立憲の合流協議については一定の評価。

 

自民党入りし、次期衆院選で東京18区から立候補する事が決まった長島昭久衆議院議員。新年の他メディアのインタビューで「日本再起動」を標榜し、1月12日から16日まで豪州のキャンベラを訪問した。そうした中、自衛隊が中東へ派遣された。安全保障問題に詳しい長島氏はどう見ているのだろうか?

 

■ 自衛隊の中東派遣

安倍氏: アメリカとイランの全面衝突は避けられたが、未だに火種は残っている。その中で自衛隊を中東に派遣したことについてどう考えるか。

長島氏: 元々自衛隊派遣は中東情勢の不安定化を前提として日本関係船舶の安全航行を確保するための情報収集が目的だった。自衛隊の派遣については粛々と進めていくべきだと考えていた。

また今回の派遣は、中東の海洋安全保障の確保について日本が経済大国として、また中東にエネルギーを依存している大国として責任を果たすべきという意図もあった。そういう意味でも、派遣をそのまま決定したことは評価している。

安倍氏: 昨年Japan In-depth創刊6周年のシンポジウムやった時も、与野党の皆さんに、調査名目ではなく、法律を整備して万が一の事態に備える必要があると申し上げた。その問題点はまだ残っているのでは。

長島氏: 確かに事態の展開によってはもう一段、厳しい状況に備えた法的枠組みを考える必要がある。しかし、今はその段階の2段階前の状況にある。

そもそも通常の軍事組織はネガティブリストといって、やってはいけないことが書いてあり、それ以外は何でも良いという法体系だ。しかし、自衛隊は元々警察予備隊でスタートしたため警察的な法制度になっており、ポジティブリストだ。そのため、活動するたびに日本はいちいち根拠条文を参照しないといけない

今回のミッションは、我が国周辺で日頃行っている警戒監視活動にほかならず、その根拠は防衛省設置法第4条の調査研究となる。なぜ危険な所に自衛隊を派遣するのに調査研究なのかという批判は当然だが、日本の法体系の中で、派遣するならこの根拠規定に依拠せざるを得ない。

そこからもし、日本関係船舶が危険に直面すれば、今度は自衛隊法81条の海上警備行動に切り替える。更に日本関係船舶だけでなく、近傍にいる他国の関係の船舶も海賊対処のように守る必要があるなら、海賊対処で認められるレベルの実力行使ができるよう法体系を考えなければならない。

そもそも、予め様々な事象に対応できるような法体系を作っておいて、その枠内でミッションを決めていくというのが普通の国のやり方だが、日本はミッションを決めてから法律を作る。最初に法体系を整えてから出せば良いというのは常識的な考え方だが、そうも言っていられない準緊急な状況もあるので、まずは現行法の枠内で派遣し、もし足りなければ後から法律で追いかける形を取る

2008年の海賊対処の時も最初は海上警備行動を根拠に派遣したが、それでは不十分だったので後から海賊対処法を作った。今後新しい法体系を作らなければならない場面も排除されないとは思っている。

 

■ 中国封じ込め:日米豪印ダイヤモンド戦略構想

安倍氏: 中国の進出や中近東の戦禍のなかで、オーストラリアが安全保障上重要になると考えているか。

長島氏: 日豪の関係は非常に重要だと思っている。台頭する中国をどう国際秩序の中に収めるか、という新たな時代状況の中では、インド太平洋全体を面でカバーしていく上で最も適切な連携は北の日本と南のオーストラリア。安倍首相は第1次政権の直前、これに西のインドと東のアメリカを合わせて日米豪印からなる「ダイヤモンド戦略構想」を発表したが、そういう意味でもその軸となるのが日本とオーストラリア。

今回参加したアジア太平洋国会議員フォーラム(Asia-Pacific Parliamentary Forum)は、アジア太平洋地域の国々の議員同士の関係を作るために創設された会議体で、毎年1月に加盟国の間を持ち回りで開催する。今年はたまたまオーストラリアで開催されたが、インド太平洋全体を議論するにはふさわしい場所だったと思う。

安倍氏: 豪州にも日本と同じような問題意識はあったか。

大きく2つの面で問題意識を共有した。一つはASEAN諸国など、中国からのプレッシャーをまともに受けている国々と日豪が連携を深めて、なんとか安定的な関係を中国と築かせようということ。

もう一つはフィジーなど南太平洋の島国を今回初めて日豪のイニシアチブで招待したこと。言葉を選ばずに言うと、中国はこうした国々に金に糸目をつけずに一つ一つ、自分達の方に手繰り寄せている。

安倍氏: オセロのようにひっくり返している。

長島氏: たとえば、台湾は、蔡英文政権成立前は南太平洋の6カ国と国交があった。しかし、昨年ソロモン諸島とキリバスが相次いで国交を断絶した。また5Gも含めた情報通信インフラ整備も中国が積極的に支援している。こういう動きに対する牽制という意味合いも今回のAPPFの会議にはあった

日本も安全保障の分野で、南シナ海における中国の行動について懸念を表明する、ルールに基づいた平和と安定をこの地域にもたらされなければならないという趣旨の決議を出した。当然中国が、南シナ海という固有名詞を削除しろと反発した。驚いたことに、中国のこの主張に対してまずベトナムが反論し、インドネシアマレーシア、そしてなんと韓国の代表もこれに続いた。こういう国々が我々日本とオーストラリアのサイドに立って、中国とやり合うような場面があった。全会一致が原則なので、残念ながら「南シナ海」という固有名詞は「アジア太平洋全域」に変更された。南シナ海と特出したかったが、中国の進出は南シナ海だけじゃなくて、アジア太平洋全域で起こっているので、これはこれで悪くないと思った。

安倍氏:むしろ広がったと。

長島氏:「アジア太平洋全域」という文言はどうかと聞いたら、中国の代表団が、それなら仕方ないと言って、決議案が通った。改めてASEANも含むインド太平洋地域における国際会議の大事さ、そして中国の行動に対する共通の懸念を今回実感した。中国もひしひしと周辺国の反発を感じているはずだ。

▲写真 ⒸJapan In-depth編集部

 

■ 東京18区への鞍替えについて

安倍氏: ようやく東京18区からの出馬が決定したが。

長島氏: まさしくゼロからの出発。昨年6月に自民党に入党したが、年が明けてようやく地域の皆さんと交流ができるようになった。良くも悪くも自民党は組織政党で、しかも今までは別の選挙区で(自民党の候補と)敵対していたので、そういったものを沈静化させる時間は必要だった。

元々の選挙区では(支援者に)ずっと説明して回って理解を得ることができ、引き続き応援するとおっしゃっていただいた。皆さん新しい選挙区の人をたくさん紹介してくださって、回りきれないくらい名簿が溜まっている。

安倍氏: 新しい選挙区での活動は?

長島氏: 東京18区は、武蔵野市、府中市、小金井市などで元の東京21区(立川市、昭島市、日野市)と広さは同じくらい。土地勘は全くないので、町名や道路も何もかも覚えている最中で、今はひたすら挨拶回りをやっている。

安倍氏: 雰囲気は似ているのでは。

長島氏:  府中は保守的で、武蔵野、小金井はリベラル的。21区のリベラルな地域と保守的な地域をもっと際立たせたようだ。小金井と武蔵野では相当てこずると思って覚悟している。このあたりは菅直人元総理の地盤でもある。府中の地盤をきちんと整えた上で、リベラル地盤へ出ていく戦略を勧められている。

 

■ 国民、立憲合流協議

安倍氏: 国民と立憲が、合流に向けた協議を行ったが、結局合流を見送った。国民民主党にいた身として歯がゆさはあるのでは。

長島氏: 玉木代表はよく頑張っていると思っている。政策の擦り合わせもせずに塊になれば良いという、いわゆる小沢流のやり方では有権者の理解は得られない。その意味では彼らが政策的なすり合わせを重視し、全員が納得するような道を探っているのは理解できる。もう少し時間をかけて協議するか、もしくは、党を一緒にするのは諦めてあくまで連立政権を狙っているのではないか。

安倍氏: 何も無理やり一緒にならなくても複数の野党がいれば良いのではないかと。二大政党制である必要はないと。

長島氏: 反発されるかもしれないが、自民党と親和性があるなら玉木さんと自民党が連立を組んでも良い。自民党に来て思うのは、政権を安定させて改革を行うというのが理想だということ。しかし安定しすぎると改革のマインドが薄れていくので、ここはどう自覚を持ってやれるかだと思う。

安倍氏: そこは維新に期待していたが、最近は埋没しつつある印象がある。いくら自民党とは違うと言っても、なかなか色を出しにくい。しかし(野党が)共産党と協力することは、多くの有権者にとってアレルギーがあるのではないか。

長島氏: 私もなかなか国民の皆さんは納得しないと思う。さらに、最近共産党が前面に出て、イニシアチブを取って政権を握ろうとしているのは、他の野党にプラスなのか訝しく思う。京都はそもそも共産党が強いから共産党はある程度受け入れる地盤があるということだろう。たが、それを全国レベルに拡大できるのか。

安倍氏: 野党の方も時間かかるという感じか。

長島氏: そこに救われるところが与党としてあるが、それに甘んじてはいけないと思う。常在戦場だ。

トップ写真:ⒸJapan In-depth編集部


この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト、産業能率大学客員教授。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。


1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。


1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。


2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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