「新型コロナで世界大恐慌に」衆議院議員古川元久氏
細川珠生(政治ジャーナリスト)
「細川珠生モーニングトーク」2020年4月11日放送
Japan In-depth編集部(坪井恵莉)
【まとめ】
・世界恐慌並みの不況に陥るという危機意識を持って対応すべき。
・今回を日本の経済構造や国のあり方を見直すきっかけに。
・コロナ対策については与野党が協力して対応している。
今回は衆議院議員で国民民主党の代表代行を務める古川元久氏をゲストに招き、新型コロナウイルスへの対策について経済政策を中心に政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。
■ 現在の経済状況
まず細川氏は多くの国民にとって懸念事項である現在の経済状況について聞いた。古川氏は「最優先すべきなのは一日も早い感染収束」であり、生活補償と事業継続のサポートに全力を尽くすべきだと訴えた。また、相次ぐ自粛要請で「需要と生産が瞬間蒸発してしまい、経済が急速に収縮し始めてしまった」として「世界大恐慌の時に似ているという危機意識をもって対応しなければならない」と述べた。
さらに古川氏は、感染拡大以前の経済状況について「1年前から日本経済も世界経済も下降局面に入っていた。同時に、トランプ政権以後の株価上昇は金融バブルであり、何かをきっかけに崩壊すると言われてきた」と分析し、経済不安には感染拡大以外にも複合的な要因があるとの見方を明らかにした。その上で「(経済の)負のスパイラル」が起き始めており、これを回復させるためには「かなりの時間と過程を乗り越えなければならない」と述べ、危機感をあらわにした。
■ これからの国のあり方について
細川氏は全国的なマスク不足を例に挙げ、グローバル化の進展に伴い、日本企業がその生産拠点を海外に移したことによる影響に言及した。
古川氏はグローバル化の流れは否定できないとしつつ、有事の際も暮らしに最低限必要なものは自国の中で維持できるようにすべきだと述べた。政府が地方創生として積極的に進めるインバウンドの拡大についても、「インバウンドがないと立ち行かないような地方創生はサステイナブル(持続可能)ではない」と述べ、今回の感染拡大を経済だけではなく、国のかたちを見直す機会にすべきとの考えを示した。
細川氏は新型コロナウイルスへの対応について、「政治の危機意識の低さをずっと感じている」と述べた。そして、この状況を放置すれば日本経済の未来はどうなるのか聞いた。
古川氏は「(対応を)間違えれば世界恐慌のような状況に陥ってしまう」としたうえで、「一極集中で地方が疲弊している状況が進行していく」と述べた。
また今回の様に人口が密集した東京で感染が拡大し、人々の生活が制約されるリスクを考慮すると、人々が分散しつつも暮らしが成り立つようにすれば、地方と都市部双方の環境改善につながると述べた。さらに新たなネットワーク技術を活用することで、「これまで集まらないと出来なかったことが、分散していてもつなげることが出来るようになる」として、変革の必要性を訴えた。
古川氏は安倍首相の「V字回復」を目指す方針について疑問を投げかけた。「コロナとの戦いはそう簡単には終わらない。今ある制約を一気に解除するのは難しく、徐々に解除していくしかない」として、一気にV字回復を実現するのは難しいのではないかという考えを明らかにした。そのうえで「ただ元に戻す」という発想ではなく「経済構造や国のかたち、社会のあり方を変えていくべきだ」と述べた。
変革の一例として古川氏は「教育」を挙げ、学校に行かなくても、どこでも勉強ができる環境を整えることは、地方と都市の教育格差を是正することにもつながるとして、「新しい産業分野を生み出すことに力を入れるべき」だと述べた。
細川氏は「チャンスにできることは沢山ある。時代を一歩も二歩も進める対策を政府から出してほしい」と「政治全体ですぐに取り組む未来図を描いて欲しい」と述べた。
古川氏はコロナ対策については与野党が協力して対応にあたっていると今の状況を明らかにしたうえで、「こうした危機の時こそ政治が役割を果たさなければならないと思っている。国民が不安を持っているからこそ、その不安をかき消せるだけの未来への夢と希望を指し示す役割を果たせるよう頑張っていきたい」と決意を述べた。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年4月11日放送の要約です。)
「細川珠生のモーニングトーク」
ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。