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.社会  投稿日:2020/5/1

比率で正しく都内のコロナ状況を認識しよう 東京都長期ビジョンを読み解く!その90


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・「10万人当たりの感染者数」福井県は感染者が10人を超える。

・正しく新型コロナウィルスについて学ぶことが大事。

・無自覚なスーパースプレッダーにならない行動が求められる。

 

緊急事態宣言が4月7日に発令された。

その後も、東京都で100人規模の新型コロナウイルスの感染者が確認される日々が続いている。東京都だけではなく日本全国に広がる気配も示している。厚生労働省のデータでは4/12現在、98名の死亡者。亡くなられた方々やご家族には、お悔やみを申し上げたい。また、自粛をして家に籠る生活も大変だと思う。

他方、休業補償を巡って、様々な意見が議論されている。個人的には何とも言えない。それぞれの利害や事情があって、ポジショントークになってしまうからだ。

とはいえ、各都道府県、各市町村ごとに実態がどうなっているのかを正しく見ること、そして正しく知ることが求められているのではないかと思う。

 

■全国を人口比でみてみよう!

横浜市立大学の五十嵐中さんにご協力いただいた。

▲出典:五十嵐中さんプロフィールより

五十嵐さんが作ってくださったデータをお借りしてみてみよう。都道府県の感染者数」ではなく、「10万人当たりの感染者数」で見ると以下のように都道府県によって大きく変わることが明らかになった(4月13日時点)。

▲出典:五十嵐さん作成データ(4月13日時点)

緊急事態宣言の対象地域である東京都、大阪府、神奈川県、千葉県、埼玉県、兵庫県、福岡県以外にも注意しないといけない都道府県が見えてくる。福井県、高知県、石川県、京都府は要注意である。特に福井県は10万人比で10人を超えており、東京都の次に数字が大きい。人口あたりの数字でみると、イメージが大きく変わってくるのだ。

 

■都内を人口比でみてみよう!

それでは都内の状況はどうなっているのか。横浜市立病院の五十嵐中さんが作ってくださったデータによると

▲出典:五十嵐中さん作成データ(4月13日時点)

10万人比でみると、港区、新宿区、渋谷区はとても多いことがわかる。人数として世田谷区は多いが、そもそも人口が多いので、10万人比でみるとそうでもない。まさに、これが都民が知りたいデータであるだろう。人数よりも、人口比でどれくらい感染していることが知りたいはずだからだ。みなさんのお住まいはいかがだろうか。

このデータを見ると、多摩地方は相対的に低い数値であるが、羽村市、清瀬市、狛江市、三鷹市、小金井市などは10万人あたり5人を超えている。

 

■【復習】コロナを知ろう

正しく新型コロナウィルスについて学ぶことも大事である。「診療の手引き」という資料がある。診察する側の資料なので、とてもためになる。

・2019年12月から中国・湖北省武漢市で発生した原因不明の肺炎は,新型コロナウイルス

(SARS-CoV-2)が原因

・潜伏期は1-14日、曝露から5日程度で発症することが多い

・多くの症例では発熱、呼吸器症状、頭痛、倦怠感

・下痢や嘔吐などの消化器症状の頻度は多くの報告で10%未満

・初期症状はインフルエンザに似ている

▲出典:「診療の手引き」

ということだ。どういった症状が起こるのかは以下の図のようになる。

▲出典:「診療の手引き」

さらに、最悪のケースはどうなるのか。致死率とは、感染者のうち、亡くなった方の割合である。

▲出典:「診療の手引き」

高齢者や基礎疾患の持ち主に移さないようにすることが大事であることがわかる。

 

■スーパースプレッダーにならないように!

現状がわかった今、注意すべきなのは、自分がスーパースプレッダーにならないということだ。スーパースプレッダーとは10人以上への感染拡大の感染源となった患者のことだ。感染しても無症状の方が、無自覚に行動して広めてしまうと、症状をうつしてしまい、最悪その方がなくなるということだ。イメージ図は以下のようになる。

▲出典:東京都感染症情報センターより

スーパースプレッダーにならないためにも、自分の地域はどれくらいの比率で感染者がいるのかを認識し、不要不急の外出はできるだけ避け、もし出るときはマスクをつけ、ソーシャルディスタンスを取って行動するべきであろう。

トップ写真:コロナウイルス 出典:Pixabay; Tumisu


この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家


NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。


専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。

西村健

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