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.政治  投稿日:2020/6/12

ホリエモンさん都知事選に出て!~東京都長期ビジョンを読み解く!その93


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・堀江氏の「当たり前」を疑う思考、政治家に求められる資質。

・堀江氏の「教育」への問題提起、時代を先行する面は優れている。

・一方ですべての消費者に強要する強引さに対しては少々疑問。

 

東京都知事選まであと1ヶ月を切った。

先日「東京アラート」が解除、休業緩和された。結局、あの大騒ぎはいったいなんだったのだろうか?と思った人も多いだろう。「アラートを出したいのは小池都政に対してだ」という声も聞く。それなりに「ましになった」東京都政であったが、小池都政の評価は割れている。個人的な意見を述べさせていただくと、小池都政はそれ以前の都政より幾分「まし」だが、公共政策の専門家から見たら、不十分なことが多い。都民の期待に応えられているとは到底思えない。

そうした中、ホリエモン新党、ホリエモン都知事選へ、、、といったニュースが聞こえてくる。どうやらホリエモンこと堀江貴文さんは、出馬することはなさそうである。

しかし、私はここで言いたい。東京都知事選挙に是非、ご出馬いただきたい。その理由は、堀江さんの著書「東京改造計画を読んで深く感銘を受けたからだ。

小池都知事以前から都政をウオッチ、公共施策の専門家として偉そうないい方だが、これまでの政策提案や構想のなかで、圧倒的に優れている。単なるよさそうな政策や事業のリストアップではない、日本社会に対する疑問提起のような「本質」的なものであるからだ。

なにやらムードによって決まってしまう都知事選が堀江さんの参加で変わる可能性を秘めている。堀江さんの論理的思考力と社会のルールや「当たり前」を疑う思考こそ、これからの政治家に求められる資質でもある。まっとうな政策論争をして、小池都政の本質や成果を厳密に僕ら・私たちは議論できるようになるかもしれない。

▲写真 堀江氏(2008年)出典:Wikimedia Commons; Sat666

 

■ 堀江さん提起の「政策イノベーション」

堀江さんの政策らしきものが先ほどの著作から見えてくる。特徴は2つ。

第一に、その改革姿勢。日本社会に巣くうばかばかしい「当たり前」に疑問を投げかけ、変化を挑戦することである。過去の遺物、戦後、いや戦前のかわらないものへの「改革」が数多く並んでいる。ランドセルの意味、生徒を1つの場所に閉じ込める授業形態、制服、「気を付け」「前へならえ」などの「日本的教育」にも容赦ない。「今こそカビの生えたシステムを破壊し、新しいものに生まれ変わらせるときだろ」と主張する。特に、withコロナの今こそ、ネットを駆使し、多くの児童・生徒はオンライン授業で対応し、先生は授業についていけない生徒のフォローという方向性をすべきと提案する。この「教育をアップデート」は日本の「教育」に根本的な疑問を提起する。本当に素晴らしい。

第二に、時代を先行した「何が良いものなのか」をベースにした提案であること。ネット選挙、都職員の9割テレワーク化、超巨大ハコモノ都庁廃止・貸し出すか売却などなど、可能なものであれば、メリットがあるなら「やるべき」という発想である。また、注意してほしいのは、堀江さんはITなど単に目新しい技術や斬新な取組みを提案しているだけではないのだ。「マイノリティにきめ細かく」など、社会的、リベラルな価値観も提起している。そのグローバルかつ時代を先行している面はとても素晴らしい。

 

■ 改革者としての魅力と破壊力

「本質」を見通し、日本の社会への問題提起は、「日本におけるイノベーションの希望」と私が感じてしまうくらいだ。こうした本質的な問題提起や発言をするのが堀江さんくらいしかいないこと、しかもここ20年くらいあまり出てこないというところに、「日本病」の根深さを感じてしまう。

堀江さんの提案を絶賛してきた。しかし、個人的には評価できないものもある。空中権の活用(都心開発の促進)、東京都のオール民営化、「切符をなくす」「Suicaやパスモを持ってない人は基本的に電車に乗れないようにすればいい」などなど。スピード重視で一気に進めるというのは素晴らしいのだが、さすがについていけない人や強引に環境を作って、それに従わせざるえないというのは考え方としてどうか。いいシステムやサービスを作るから、消費者はそれに合わせろという強引さに対しては少々疑問もある。

▲写真 交通系電子マネー 出典:Wikimedia Commons; タチヤマカムイ

この社会は様々な人がいて、様々な利害があり、(一応手続きにのっとってできた)法律のもとになりたっている。ホリエモンさんより知的思考力や能力も低い人たちが(無意識的に)押しつける価値観や利害関係の中で、僕ら・私たちは生きざるをえない。「ほなあほな」というルール、既得権優遇や惰性だけで論理的な理由すらない政策やルールに従わないといけないのは不幸だし、ばかばかしいが、社会の一員として求められた「公共的な」姿勢でもあるのだ。

 

■ 政策やその背景にある「社会観」が問われる政策論争を期待!

堀江さんのビジョンは思惟に富む。今後の社会はどうなるのか、どうすべきなのか、そうした提案を提起できる意味で、現在の政治家さんよりも、よっぽど都民、いや国民の期待に沿った人物だと言ってよいだろう。だからこそ、是非東京都知事選挙に出馬してもらいたい。

世論を常に見て、斬新な提案やキャッチーな「よく見せる」発言と行動で注目を浴びるが、政治家としての上昇志向や野心が透けて見える政治屋さんなのか。

「ノイジーマイノリティーの意見など無視して強行突破してしまえばいい」とはいうものの、「未来を見据えた本質論を提示する」イノベーターなのか。

はたまた、他の方なのか。

政府・政治の役割とは何か?我々の社会のルールや政策の何が問題なのか、本質的な議論が巻き起こってほしいものだ。

トップ画像:ライトアップされた都庁 出典:ibamoto(撮影)


この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、ターンアラウンド研究所共同代表・人財育成コンサルタント、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員・ディレクターなど。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、組織改革、人材育成コンサルティング、政策分析、メディア企画、ソーシャル・イノベーション活動を進めている。


専門は、公共政策と社会心理。近年は、中国の先端技術、世界のスマートシティ、人工知能などテクノロジーと社会への影響、個人情報保護と民主主義の在り方、企業の利益相反、健康医療・福祉政策などをテーマに研究や執筆を進めている。

西村健

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