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.経済  投稿日:2024/11/1

あなたは大阪・関西万博のコンセプトを知っているか?①【日本経済をターンアラウンドする!】その28


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・2025年大阪・関西万博の準備が進んでいる。

・コンセプトは「Peopleʼs Living Lab(未来社会の実験場)」で、イノベーションを促進する場を目指す。

・SDGs達成を目指し、共創による社会問題解決を図る取り組みが期待されている。

 

2025年日本国際博覧会(以後、大阪・関西万博)、準備は着々と進んでいる。

この連載でも「意義・意味」を語ってきたが、筆者は「いのち輝く未来社会へ」という意義にワクワクしている。ちょっと前であるが、筆者は2025年日本国際博覧会協会(以後、博覧会協会) にインタビューをさせてもらったので、本稿ではそのあたりを紹介したい。

 

□ 博覧会協会訪問・質問してみた!

【質問】

基本計画には、「いのち輝く未来社会へ」「SDGs達成・SDGs+beyondへの飛躍の機会」「Society5.0実現に向けた実証の機会」「日本の飛躍の契機に」ということが「意義」として書かれている。厳しい言い方だが、少しふわっとしているというか具体性と抽象性の中間のような、曖昧なものと感じる。万博の歴史的な意義をどう意味づけしているのか?過去の大阪・関西の歴史の中で、どういったターニングポイントになりえるのか?

【事務局の回答】

開催地である大阪の企業の多くは、いわゆる様々な「パーパス経営」を進めています。今回の万博は大阪だからこそ、のつながりが大事だと思っています。前回の大阪万博においては、未来の可能性として携帯電話が展示されました。前回については先端技術が示されたという明確な意義があったわけです。今回も同様に、何が50年後の未来の象徴として人々を魅了させられるか考えております。例えば、ヘルスケアパビリオンなどで大阪を中心としたものがあります。

 

【出典】事務局スタッフにインタビューする筆者

 

【質問】SDGsの取り組み。2025年大阪・関西万博がめざすものとして、「持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献」とされているが、具体的な数値目標は?

【事務局の回答】

「(EXPO2025)グリーンビジョン」を見ていただければわかります。詳細に書かれておりますので。

そこでグリーンビジョンを見ると、凄いことが書いてある。「達成を実現するため、環境や社会への影響を適切に管理し、持続可能な万博の運営を目指すとともに、地球環境問題への新たな挑戦の形を世界に示していく。」と明記され、以下のようなしっかりとした目標値まで記載されているではないか。こうした取り組みは、残念ながら、あまり大手メディアで報道されないし、ましてや解説などされてもいない(是非どこかでしっかり解説したいと思う)。

 

【出典】EXPO2025グリーンビジョン(2024年版) p 35

その他、色々意見交換をさせてもらったが、なかなか博覧会協会事務局も頑張っていたというのが筆者の印象である。改めて思ったのは、私含めて多くの人に「誤解されている」「正しく意義が伝わっていない」ということであった。

 

□ 万博のコンセプト:Peopleʼs Living Lab(未来社会の実験場)

 

【出典】2025年日本国際博覧会協会(博覧会協会) 事務局前にて筆者撮影

正直、現在までのところ「意義が理解されている」と明確に主張するのは、ちょっと難しい万博。まず、意義を若干具体化した「コンセプト」から確認したい。コンセプトとは、企画・広告などで、全体を貫く基本的な観点・考え方のこと。 大阪・関西万博のコンセプトは「Peopleʼs Living Lab(未来社会の実験場)」である。万博の会期前から多様な参加者がそれぞれの立場からの取組(例えば、健康・ 医療、カーボンニュートラル、デジタルをテーマにしたもの等)を持ち寄り、SDGs達成に資するチャレンジを会場内外で行う構想である。未来社会をただ考えるだけでなく、行動することによってリアルに描き出そうという試みが、本万博の最大の特徴となる。

 

【出典】HPより

大阪・関西万博を新たな技術やシステムを実証する「場」と位置づけ、多様なプレイヤーによるイノベーションを誘発し、それらを社会実装していくための巨大な装置としていく。これは、単なる博覧会ではないのだ。

・イノベーションで社会問題解決をはかる

・技術を社会実装する

時代の動きを踏まえて実証実験を進め、世界・社会の問題解決に寄与していくためのビジネス、人々の生活に貢献するというとても素晴らしい「場」を、そうした機会を提供しようというのである。しかも、単なるお披露目場ではない。関係者の中での「共創」、顧客との「共創」など多様な主体が様々な形で「共創」でき、「イノベーション」が生まれる「実験」場なのである。

しかし、こうした「実験」場を準備するのは1つの企業や団体では難しい。新規サービスや新規事業の実証実験が最近増えてはいるが、多くの企業ができるわけでもない。そうした状況を打破すべく、万博はそのための「場」を用意してくれるわけだ。大企業でもない筆者の所属団体にさえチャンスを与えてくれている。オープンに開かれた「オープンイノベーション」を提供しているのだ。こうした姿勢には感銘を受ける。

SDGs社会活動を行いたい!といった熱い「気持ち」のある市民の方はぜひ「共創」プロジェクトを提案したり、参画したりしてもらいたい。

(その2につづく)

トップ写真:大阪・関西万博のロゴの前を通る女性(2023年10月23日、大阪)

出典:Photo by Buddhika Weerasinghe/Getty Images




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