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.政治  投稿日:2020/8/18

「香港問題、人権擁護法成立を」元防衛大臣中谷元衆議院議員


細川珠生(政治ジャーナリスト)

「細川珠生モーニングトーク」2020年8月1日放送

Japan In-depth編集部(油井彩姫)

【まとめ】

・香港問題に関し超党派の「対中政策に関する国会議員連盟」を立ち上げ。

・連盟は、「人権擁護法案」の成立を目標とする。

・尖閣問題でも超党派の議連を立ち上げる。

 

 

今週は、衆議院議員で元防衛大臣の中谷元氏を迎え、政治ジャーナリストの細川珠生が、中国が関与を強めている香港情勢について、話を聞いた。

 

 

17か国の議員が参加する「対中政策に関する列国議会連盟」の日本側共同議長である中谷氏は、日本でも超党派の「対中政策に関する国会議員連盟」を立ち上げた。

 

香港では、「国家安全維持法」(以下、国安法)の制定により民主派への弾圧が日々強まっている。このような中国の姿勢を国際的な問題として、日本の立法府が声を上げ取り組むということだが、具体的にはどのような活動、発信を行っていくのか、細川氏が尋ねた。

 

国安法で、中国政府に反対する発言や活動は犯罪とみなされるようになった。デモに参加していなくても、プラカードやグッズをカバンに入れているだけで処罰の対象になる事例もあるという。

 

中谷氏は、議連の目標として、「人権擁護法案」の成立を掲げ、国際的な人権侵害を調査、公表、制裁、救済へ導くこと、また、香港市民を弾圧した個人や組織への入国制限や、資産凍結、国債の初期資金へのはたらきかけ、国際司法裁判所への訴訟、国連への特使の派遣要求、などを挙げた。そのうえで、「各国と連携を強めて国際社会において人権侵害がなくなるようにしていきたい」と述べた。

 

日本は、香港がアメリカやイギリスと結んでいた「犯罪人引き渡し等の協定」を結んでいないが犯罪捜査をお互いに協力し合う「捜査共助」協定を結んでいる。香港側から捜査協力の要請が来た際にどうするかという点について中谷氏は、「(捜査共助の)協定の中に、『政治的な犯罪に関するものは拒否できる』という条文がある。そこをさらに明確にしていくよう、警察当局に求めていく」と述べた。

 

さらに、9月には香港立法会の選挙が予定されていた。公正に行われるための監視議員団の派遣を検討していたことについて細川氏が聞くと、中谷氏は、最新の情勢では、9月の予定で進めてきた選挙を1年遅らせようと言う動きが濃厚になっている(収録時。現在は発表された)ことを明らかにした。

 

そして、「立候補して訴えている人たちからすれば、政府の都合が悪くなって延期したようにとれる」ことから、この問題についても国際的な監視を続けるべきとの考えを示した。

 

次に、日本国内の現行制度の中で、香港の民主化に向けてすぐできるサポートはあるのか、細川氏が問うと、「議員連盟を立ち上げたということで国会として何らかの法案をできるように模索したり決議をすることで政府に求めていく」と述べた。同時に、尖閣列島の接続水域に100日以上中国の公船が4隻も滞在していることに触れ、尖閣諸島問題に関する議員連盟を作る動きがあることを明かした。

 

また中国が、南シナ海の公海の礁を埋め立てて基地を作った件に関しては、豪、印、フィリピンベトナムを含む近隣諸国が「許されることではない」と非難し連携を強めている。「こういった形で声を上げていくことが対中(強硬)策につながる」と中谷氏は述べ、中国に対しアジア諸国と連携し国際圧力を強めることが必要だとの考えを示した。

 

さらに、緊張関係が続く米中関係に対して日本ができることは何か、細川氏が聞くと、中谷氏は「(日本が)国にとってしっかりした体制を維持するためにできていないことがある」と述べ、具体的には「スパイ防止法」を挙げた。「日本はあまりにも情報が自由だ。国家にとって大事な情報は他国に盗まれるとさまざまなトラブルに繋がる。そういうことを防ぐ法律がない」と述べ、「スパイ防止法」の早期の成立に意欲を示した。

 

また、「香港の人が助けを求めてきたときの入国の審査」の緩和を挙げた。ビザの問題や、就労、留学の問題。また、香港企業の現在の経済活動を、日本でも続けていけるようにすること。「本当に必要な人に対しては門戸を開くということを実践したい」と中谷氏は述べた。

 

安倍内閣は、7年半続く長期政権となっている。細川氏は、日中関係にも最初は少し雪解けムードも感じられたが、結果として中国の膨張覇権が抑制できていないように見受けられるとし、今後の中国の動きをどのように予測しているか、聞いた。

 

それに対し中谷氏は「アメリカが非常に強い動きをしている」と述べ、ポンペオ国務長官が演説の中で、「前の政権では中国の民主化や国際協調路線の転換の期待をした寛容政策を打診したが、近頃の習近平国家主席の態度は破綻した全体主義の信仰者だ」と批判していることを挙げ、日本はアメリカと連携を強めることが重要だとの考えを示した。

 

最後に、中谷氏は、「アジアの一国として、平和と安定、秩序を維持するために、お互いの国を受け入れつつ、共存するためのルール作りは必要」であり、そのために、「人権の問題等、重んじなければならない部分で働きかけていく」との決意を示した。

 

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年8月1日放送の要約です)

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

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トップ写真:ⒸJapan In-depth編集部

 

 


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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