「支え合う社会を作る」立憲民主党本多平直衆議院議員
細川珠生(政治ジャーナリスト)
「細川珠生モーニングトーク」2020年8月8日放送
Japan In-depth編集部(油井彩姫)
【まとめ】
・政府が被災者生活再建支援法の拡充に着手したことを評価。
・経済のために感染拡大防止に重点を置くことが重要。
・総選挙に向け、「大きな政府」を打ち出していく。
今週は、立憲民主党の衆議院議員本多平直氏を招き、話を聞いた。本多氏は、衆議院災害対策特別委員の委員として令和2年7月豪雨の対応策を検討してきた。
政府は予備費から計1017億円の予算を出したが、この政府の対策に対する評価を、政治ジャーナリストの細川珠生が尋ねた。
本多氏は、まず被害に遭われた方へのお見舞い、亡くなられた方へのお悔みの言葉を述べた。そして、ここ数年、毎年起きている災害への対応が「遅い」と感じる時もあるとしつつ、「私は野党だが、今回の政府の対応は早く的確な金額で良い対策を打っている」と評価した。
さらに、こういった災害の後に最もお金のかかるのは家を建て直すことだとした上で、政府が被災者生活再建支援法の拡充に着手し始めた点を評価した。
これまでの制度では、全壊で300万円が支給されるという制度だったが、300万円で新しく家を建てるのは困難だ。それが拡充され、また半壊という一定の基準が拡大されるということが動き始めた。「我々がずっと言っていたことがようやく動き出した」と本多氏は述べ、政府の対応を評価した。
一方で、足りていないところはどこなのかと、細川氏が聞くと、「新型コロナの影響で他県のボランティアがはいれない」ことを指摘した。本多氏は、「ただでさえ人口の少ない地域が被害に遭いがち」であり、公的な支援だけでは人手が足りないとして、PCR検査を広めるなど、遠くからでも安心してボランティアに来れるような方策を練って人手不足に対処すべきだとの考えを示した。
ようやく長い梅雨が明けて、これから台風シーズンが来る。復旧が間に合わないうちに次の災害が起こるということも充分考えられる。細川氏は、これまでの「壊れたら直す」ということでは間に合わないことを指摘し、川沿いや危ない地域には住まないようにするなど、根本的な災害対策が必要なのではないか、と述べた。
それに対して本多氏も同調し、「科学的に厳密には言えないが、災害がここまで続くのは、地球温暖化の影響もあるのではないか」と述べ、「何十年に一度ではなく、残念ながら毎年起こるという前提で対策を立てていく」ことが必要だとした。
また、「ダムや堤防を否定するわけではないが、これまで政府はこれ(ダムや堤防など)だけで何とかする方針だった。しかしそれだけでは超えられてしまう」と訴え、危険なところには住まないようにする、という、地域全体を見た総合的な防災を組むことが必要だとした。
今年は、災害だけでなく新型コロナウイルス感染症の拡大も長く続いている。「GoToキャンペーン」に対する批判もあるが、経済との両立を考えなければいけない点についてどう考えているのか、細川氏は聞いた。
感染防止をブレーキに、経済対策をアクセルに例え、「ブレーキとアクセルを同時に踏むのはおかしい」と言う人がいると本多氏。しかし、「僕は本当にブレーキを踏んでいるのか、と考えている」と言う。感染防止を考えず、経済対策にのみ重点をおいている気がするというのだ。
その象徴が「GoToキャンペーン」であると言い、第二波の感染が拡大している中、「まずは感染拡大防止に重点を置くことが経済のためにもいい時期だ」と本多氏は述べた。PCR検査が諸外国に比べて広がらないこと、感染者の受け入れを担う医療機関への補助が足りていないこと、受け入れていないところにも被害が出ていることを挙げ、さらに拡大した時が心配だと述べた。「経済対策は、やるべきことをやってから。時間と重点の置き方が間違っている」と政府の対応を批判した。
そこで、細川氏は、PCR検査が広がらない理由を尋ねると、本多氏は「PCR検査は完全じゃない」と言う人や、「陰性のはずが誤って陽性として判断される」と言う人がいるが、それは専門家の意見であり、国会では何も言われていない。「これは日本のコロナ対策の大きな疑問だ」と本多氏は述べた。
「政治家がやれと言っているのにどこかで止めている、厚生労働省の官僚や、一部の医者の哲学があるのか。あるならば、それはそれで表に出して、なぜPCR検査が広がらないのか、政府に説明してほしい」と述べ、検査拡充について国会でもっと議論すべきだとの考えを示した。
現在、野党は秋の臨時国会の早期開催を要求している。コロナの問題や、これからの災害シーズンへの対策、米中関係、そして日本の安全保障や経済などの対応も求められている。立憲民主党と国民民主党の合流協議も進んでいるが、もし解散総選挙になった際には、どのように戦っていくのか、細川氏は聞いた。
「まず安心を作らなくてはいけない」と本多氏は述べた。「そのためにこの10年間政治の世界で跳梁跋扈した自己責任論ではどうしようもない」と述べた上で、「子育てや老後のことを支え合う社会を作る、具体的には、お金を持っている人からそうでない人への分配を強める」事が必要だとの考えを示した。
また、小さな政府では無く、一定の大きさの政府でないと限界もある、としながら、「全部自己責任や小さな政府で、などと言ってられなくなった。訴える軸ができてきたように感じている」と述べて、次の総選挙に向けて、大きな政府を作ることを一つの軸としていくとの考えを示した。
「コロナという感染症に世界が苦しんでいる中で、それぞれの国の力がよく見えた。日本はどういう国を目指していくのがいいのか。次の選挙に向け、考えるきっかけになればいい」と細川氏が述べると、「そこは分かりやすく打ち出していきたい」と本多氏は述べ、野党の立場や主張を明確に国民に提示していくとの考えを示した。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年8月8日放送の要約です)
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。