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.国際  投稿日:2020/12/16

選挙結果巡るトランプ氏の継続闘争


澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)

「澁谷司の東アジアリサーチ」

【まとめ】

・テキサス州、4激戦州の選挙不正を最高裁判所に提訴するも2対7で訴訟棄却

・大統領選に中国共産党が関係したという様々な情報が露見

・トランプ氏の「闘争プラン」は「外国情報監視法」適用を検討か?

今年(2020年)12月7日、米テキサス州が、激戦州4州(ジョージア州、ミシガン州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州)の選挙不正を最高裁判所に提訴した。結局、12月11日、連邦最高裁は2対7で訴訟を棄却している。しかし、トランプ大統領側のルドルフ・ジュリアーニ弁護士は、法廷闘争を継続すると明言した(『ザ・ヒル』「ジュリアーニ氏、最高裁敗北後のトランプ陣営は『終わっていない』と発言」12月11日付)。

一方、同日午後7時頃、シドニー・パウエル元連邦検事がジョージア州とミシガン州を連邦最高裁に緊急提訴し、午後11時にはアリゾナ州を相手に別の緊急提訴が行われ、その後ウィスコンシン州を相手に緊急提訴が行われた(『万維読者網』「パウエル最高裁に4つの不正州緊急訴訟を起こす」12月12日付)。これが門前払いになるか、あるいは、受理され審議されるかどうか、現時点では不明である。

また、12月7日、トランプ・ペンスがバイデン・ハリスの選挙不正に関し、ウィスコンシン州のミルウォーキー巡回裁判所に訴状を提出している(『看中国』「トランプ米大統領とペンス副大統領がバイデン氏とハリス氏を起訴(“提訴”の間違いか)」12月9日付)。これはまだ決着がついていない。他方、同16日、米上院国土安全政府事務委員会が「2020年選挙における不正検証」を行う公聴会の開催が決まっている。

▲写真 カマラ・ハリス氏 出典:Store norske leksikon

この状況下で、12月14日には、大統領選挙人による投票が行われ、選挙の勝者が決まる見通しである(開票は来年1月6日の予定)。

実は、今度の選挙に中国共産党が関係したという様々な情報もある。

第1に、「紅3代」の伊啓威は中国広東省の工場で米大統領選挙の投票用紙が印刷された事実を暴露している(『エポックタイムズ』「中国製の偽投票用紙が米国に大量流入 選挙介入狙う 元高官子弟が証拠動画を公開」12月8日付)。

第2に、FBIが中国など外国での取引で税法やマネーロンダリング(資金洗浄)関連法に違反の疑いがあるとして、バイデン候補の息子、ハンター・バイデンに事情聴取を行っている(『CNN』「米連邦当局、バイデン氏息子を刑事捜査 中国ビジネスが焦点」12月10日付)。また、FBIが(バイデン候補に投じられたと疑われている)不正票に関する捜査がようやく動き出した。(『BonaFidr』「FBIが50万枚の偽造されたバイデン票を犯罪捜査中―接戦州の4州が捜査対象」2020年12月12日付)。

第3に、シドニー・パウエル弁護士が大統領選挙当日、(日米開戦の象徴「パールハーバー」を模して、主に中国からの)「サイバー・パールハーバー」が起きたと発言している(『Media Matters』「シドニー・パウエル氏、2020年の選挙は「サイバー・パールハーバー」攻撃の対象だったとルー・ドブス氏に語る」12月10日付)。

第4に、リン・ウッド弁護士が、中国製の投票用紙がメキシコ経由で米国に入ったと証言した(『新唐人テレビ』「リン・ウッド弁護士『米国は決して共産主義に支配されない』」12月12日付)

第5に、中国人民大学国際関係学院副院長の翟東昇が、思わず口が滑ったのか、米中エリート同士の深い関係について暴露してしまった(『看中国』「習近平のシンクタンクが米国エリート階層への潜入詳細を暴露」12月8日付、及び 同「翟東昇氏の演説は炎上を続け、彼が言及した人物の正体が明らかになった」12月11日付)。

第6に、「ロシアゲート」疑惑の急先鋒、米民主党エリック・スウォーウェル(Eric Swalwell)議員らが、中国共産党の女性スパイ(方芳<Christine Fang>)のハニートラップにかかった事が報じられている(『蘋果日報』「米情報機関:大量の女性スパイ  中国の女性スパイの手法は最高レベル」12月13日付)。

▲写真 エリック・スウォーウェル議員 出典:Flickr; Gage Skidmore

ところで、鹿児島大学名誉教授の木村朗氏による「トランプ『不正選挙疑惑』の末路…大統領選のウラで起こっていること」(『現代ビジネス』12月13日付)という論考が興味深い。木村氏は、トランプ大統領側の「闘争プラン」を3つに分けた。

(1) 法廷闘争:今回の大統領選挙で選挙の投票と集計で不正行為が行われたか否かの訴訟(以下、略)。

(2) 議会闘争:第一段階は、州議会での公聴会開催(中略)、第二段階は連邦下院において選挙人団を過半数で決定すること。

(3) 非常事態宣言・戒厳令の発動:「国家反逆罪」を問う軍事法廷の開催。

冒頭述べたように、テキサス州の提訴が最高裁で門前払いとなった直後、ジュリアーニ弁護士が、すかさず「プランB」の実行を示唆した(「テキサス州訴訟棄却 ジュリアーニ『プランB』すぐ開始する」『六度新聞』12月12日付)。

木村氏の(2)がジュリアーニ弁護士の「プランB」に相当するかどうかわからない。だが、その可能性は十分考えられよう。すると、まだ(3)(「プランC」?)も残っている。そして、(3)の中には、「外国情報監視法」(FISA)適用が視野に入っているのかもしれない。

編集部注:

・この記事は日本時間2020年12月14日16時に入稿されたものです。

・米大統領選を巡る訴訟の動きは日々刻々と変わるため、一部情報は掲載 時には古くなっている可能性があることにご留意ください。

・本記事は、数々の海外の報道を引用し、筆者が独自の視点で考察したも のです。個別の情報を拡散したり、特定の団体や勢力を支持したりする 意図はないことを明記します。

トップ写真:トランプ氏 出典:Flickr; Gage Skidmore




この記事を書いた人
澁谷司アジア太平洋交流学会会長

1953年東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。元拓殖大学海外事情研究所教授。アジア太平洋交流学会会長。

澁谷司

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