混迷するアメリカ大統領選挙
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
「澁谷司の東アジアリサーチ」
【まとめ】
・米一部メディアによる「選挙不正疑惑」報道。
・ジョージア州ではバイデン候補の勝利3度目。各州で訴訟が続く。
・米民主党は一連の報道に対し、反論や否定をしたらどうか。
今年(2020年)12月7日現在、米大統領選挙は思わぬ方向へと進んでいる。本来ならば、同月8日、各州で勝者(トランプ大統領かバイデン前副大統領)が決まるはずである。そして、同14日には各州の選挙人が、原則、両者のいずれかに投票し、年明け、正式に勝者が決定する。
ところが、今回の大統領選挙は、いつもとは違う。そのため、現時点では、どのような結末を迎えるのか予断を許さない。
まず、最初に、『ニュースマックス(Newsmax)』「シドニー・パウエルからニュースマックスTVへ:トランプが選挙結果を覆す時間は十分ある」(2020年12月4日付)という記事を紹介しよう。
パウエル弁護士は、ニュースマックスTVに出演した際、「不正選挙事件が起きた場合、(各州が勝者を決定する)12月8日の期限は適用されない」と指摘した。そして、「私たちには少なくとも12月14日までの期限がある」と語った。
他方、『グローバル・ウェイブ・ニュース(Global Wave News)』(11月28日付)では、パウエル弁護士に関して「シドニー・パウエルの訴訟で透かしの投票用紙が確認された!」という記事が興味深い。
選挙後、まもなくトランプ大統領は、米民主党が不正を行うのを見越して、予め投票用紙に細工をしたという噂が流れた。不正投票をあぶり出すためである。この度、パウエル弁護士が裁判所にそれを証拠として提出したという。
さて、今度の選挙では、(不正操作が疑われている)ドミニオンやスマートマティックの他、驚くべき事件が発覚している。
第1に、『大紀元』(12月4日付)の「ジョージア州集計所の監視カメラ 選挙監視員を帰宅させ開票続行 スーツケースから大量の隠し票」という記事が面白い。
「トランプ大統領の弁護団は3日、ジョージア州議会の公聴会で、集計所の監視カメラの映像を提示した。映像には、投票日の夜に監視員を開票所から帰した後、開票作業が続行され、大量の票が入った複数のスーツケースがテーブルの下から引き出される様子が映っている」。
もしかして、YouTubeでご覧になった方が多いのではないだろうか。ジョージア州議会では、これが決定的な証拠となり、いったんバイデン候補の勝利が取り消された。しかし7日には、バイデン氏3回目の勝利が発表された。
ところがその後8日には、テキサス州他17州(少なくても合計18州)が、そのジョージア州を含む激戦州(ペンシルバニア州・ミシガン州・ウィスコンシン州)を憲法違反で連邦最高裁に提訴した。そのため、正確には、ジョージア州のバイデン候補勝利が確定していない。
第2に、『プロジェクト・ベリタス(Project Veritas)』(12月1日)の発表した「CNNの謀議 内部会議音声流出『トランプ大統領を退陣に追い込む』」が注目される。たぶん、これをお聞きになった方もいらっしゃるだろう。
また、翌2日、同メディアは「CNN社長のジェフ・ザッカー:CNN は『ハンター・バイデンのウサギの穴には行かない』」という記事を掲載した。CNNは、バイデン候補の息子のスキャンダルを暴露しないという意味か。
更に、翌3日、「ザッカーがジュリアーニを攻撃:『アメリカの市長から有用な馬鹿へ…』「[切り札」 はクレイジーな法律チームを指揮している人物だ … 『彼らが広めている汚物 児童ポルノ』 これらの申し立てを報道すべきではないと思う」という内容を載せている。
CNNは、報道機関の使命を忘れ、〝トランプ叩き〟に終始している感がある。
第3に、『クリスチャン・デイリー(Christianity Daily)』(12月3日付)の「中国共産党の政府系銀行口座が、米選挙前にドミニオンの投票システムに4億米ドル(約416億円)を提供」という記事は見逃せない。
同記事は、ドミニオン投票システムを調査した結果、同システムの親会社である「ステイプル・ストリート・キャピタル」が、中国政府と共同経営するスイスの銀行「UBS証券」から数億ドルを受け取っていた、と報じている。
第4に、『ザ・ゲイトウェイ・パンディット(The Gateway Pundit)』(12月5日付)「驚愕:ミシガン州とペンシルバニア州務長官は、極左の投票活動家に全有権者の機密データへのアクセスを与えた」という記事に注目したい。
フィル・クライン前カンザス州司法長官は「ゴット・フリーダム」という番組に出演した。その中で、クラインはフェイスブックのCEO、マーク・ザッカーバーグが、11月の選挙で、特に重要な激戦州に4億米ドル(約416億円)を「左派グループ」に提供したと述べた。
第5に、『ボナファイド・プレス(Bonafide Press)』(12月5日付)は「中国の『紅3代』(建国に功績のあった共産党幹部の3代目)の内部告発者が進み出る」という記事を掲載した。
それによれば、中国の工場で注文を受けて製造された偽投票用紙に関する電話依頼の動画が中国語で公開された。その製造元は広東省にあるという。ビデオでは、投票用紙を米国に発送するための一括注文を依頼する電話の様子が映し出されている。契約は500万票分だったと報じている。
いずれにしてもこうした報道がなされている以上、米民主党はきちんと反論や否定をすべきなのではないだろうか。
編集部注:
・この記事は日本時間2020年12月7日12時に書かれたものであり、一部、編集部にて追記しました。
・米大統領選を巡る訴訟の動きは日々刻々と変わるため、一部情報は掲載時には古くなっている可能性があります。
・本記事は、数々の海外の報道を引用し、筆者が独自の視点で考察したものです。個別の情報を拡散したり、特定の団体や勢力を支持したりする意図はないことを明記します。
トップ写真:トランプ大統領(左)とバイデン前大統領(右) 出典:Gage Skidmore
あわせて読みたい
この記事を書いた人
澁谷司アジア太平洋交流学会会長
1953年東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。元拓殖大学海外事情研究所教授。アジア太平洋交流学会会長。