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.国際  投稿日:2021/1/20

米政局、3つのシナリオ


澁谷 司(アジア太平洋交流学会会長)

「澁谷司の東アジアリサーチ」

【まとめ】

・新大統領就任前に、ペロシ氏がトランプ氏を弾劾訴追。

・戦略司令部リチャード司令官は任期中はトランプ氏の法的命令に従うと名言。

米軍と「ディープステート」側の州兵との間の内戦など、3つのシナリオ。

今年(2020年)1月20日、バイデン前副大統領が新大統領に就任する。もし、それが予定通り行われるならば、同日までもうほとんど時間がない。

それにもかかわらず、なぜペロシ下院議長は、任期期限切れが迫るトランプ大統領を弾劾訴追しようとしたのか。1月6日、「反トランプ」派が連邦議会内になだれ込んだ際、議員らのパソコンを米軍のタスクフォースが持ち出したと言われる。

その中には、ペロシ議長の秘密データが入っていたPCも含まれていたという。そのため、ペロシ議長は、慌てて「トランプ大統領が核兵器で戦争する」と騒いだのではないだろうか。

最近、トランプ大統領は「オバマゲート」や「ハンター・バイデン」等に関する機密文書を公開した。もしかして、大統領は辞任するつもりはないのだろうか。

問題は、トランプ大統領が軍を掌握しているか否かである。

「ペロシ下院議長、トランプ大統領が最期に核戦争を起こさないよう軍指導者に要請」『ミリタリー・タイムズ』(1月8日付)という興味深い記事があったので紹介したい。

米国戦略司令部のチャールズ・リチャード司令官は、記者団との会談で、大統領任期の最期でさえ、もし(トランプ大統領から)核攻撃の実行を命じられた時には「私は与えられた法的命令に従う。だが、私はいかなる(ペロシ議長等からの)違法命令にも従わない」と言明している。

また、「国防省関係者:『軍事クーデター』への参加拒否 トランプが国境を越えようとしている」『万維読報』(1月10日付)という記事にも注目したい。

ペロシ議長がトランプ大統領から核のボタンを取り上げようとする件に関して、「国防総省は中立を保つ。同省当局者は、もし大統領から核のボタンを取り上げるならば、それは軍事クーデターに相当すると述べた」のである。

更に、「米国防総省のこのブリーフィングは『トランプ大統領を弾劾したい人』に打撃」」『万維読報』(1月9日付)という記事も参考になる。

1月6日の「米連邦議会乱入事件」について、民主党や左派メディアはトランプ支持者らの「暴動」、「反乱」と決めつけた。ところが、同8日、国防総省のブリーフィングによると、同省は事件を「合衆国憲法修正第1条(表現の自由、報道の自由、平和的な集会の権利、 請願権等)」による権利行使と規定し、民主党と左派メディアの主張とは一線を画した。

さて、いわゆる「ディープステート」に属する人達は、麻薬、ペドフィリア(小児性愛)、人身売買等の犯罪に手を染めていると言われる。

米領ヴァージン諸島には、リトル・セント・ジェームズ島(俗称「エプスタイン島」)が存在する。実業家のジェフリー・ エプスタインが、このプライベート島を所有していた。ここには、米国の大物政治家・裁判官・大富豪・有名タレント等が遊びに訪れ、幼児虐待を行っていたという。

▲写真 ジェフリー・ エプスタイン 出典:getty images; Stephanie Keith

2008年、エプスタインは、性犯罪、未成年少女の性的人身売買の罪で13ヶ月の禁固刑を受けた。また、2019年7月、彼は多数の未成年少女に対し、性的搾取を行ったという疑いで逮捕・起訴された。

エプスタインは、拘置所内で首吊り自殺したとされている。だが、リン・ウッド弁護士は、Twitterでしばしば彼が生きていると仄めかした。もし、それが事実ならば、彼は当局と司法取引を行い、友人・知人関係をすべて自白した可能性もある。

ところで、今後、米政局として、3つの可能性が考えられる。

第1に、仮に、ワシントンDCに派遣された州兵(正確にはNational Guard<国家警備隊>。3万人以上が展開)が、完全にトランプ大統領の指揮下にあるとしよう。

この場合、トランプ大統領が「大統領令」等に従って、「ディープステート」の人間をあぶり出し、彼らを逮捕・拘束するに違いない。

第2に、ワシントンDCに集結した州兵(State Guard)が「ディープステート」側だとしよう。

周知の如く、原則、各州の州兵は、州知事が指揮権を持つ。「ディープステート」側の州知事がコロンビア特別区知事を支援して、州兵をワシントンDCに派遣した事も考えられなくはない(だが、いったん「大統領令」が発令され、彼らが連邦管理下に入れば、大統領が指揮権を持つようになる)。

他方、依然、米軍は1月19日まで、トランプ大統領の命令に従う。したがって、ひょっとすると、米軍と「ディープステート」側の州兵との間で、内戦が勃発するかもしれない。しかし、米軍の方が強力な武器を持つので、最終的に米軍側が勝利するだろう。この場合、米国は大混乱に陥る公算が大きい。

第3に、トランプ大統領が、あっさりホワイトハウスをバイデン新大統領に明け渡す場合である。その可能性は高くないかもしれないが、これも一つのシナリオとして挙げておこう。

最後のシナリオならば、トランプ政権からバイデン政権へすんなりと権力移譲される。ただし、バイデン新大統領は“不正選挙”によって誕生したので、その政権基盤は脆弱だろう。

トップ写真:ペロシ米下院議長 2020年 出典:Chip Somodevilla / GettyImages




この記事を書いた人
澁谷 司アジア太平洋交流学会会長

1953年東京生まれ。


東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。


元拓殖大学海外事情研究所教授。アジア太平洋交流学会会長。

澁谷 司

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