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.政治  投稿日:2021/9/19

自民党総裁選候補者討論会 基礎年金、原発ゼロなどで火花


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・自民党総裁選を控えた候補者4名が公開討論会に臨む。

・基礎年金と原発ゼロをめぐり、他候補と距離を置く河野氏に質問が集中。

・核燃サイクルや小型モジュール炉(SMR)など、各候補が独自の政策を鮮明に。

 

18日午後2時から、今月29日に投開票が行われる自民党総裁選に先立って、候補者4名による公開討論会が日本記者クラブで行われた。候補者は、河野太郎行政改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行。

今回の討論会の前半は、各候補が他の任意の候補一人を指名した上で、その候補に対して自らの主張を交えて質問を行い、これに対して指名された候補が回答、さらにその回答を踏まえて質問者がもう一度発言をするという形式で行われた。候補者同士の討論セクションの後には、討論会を視聴している記者などから寄せられた質問を参考に、会場にいる日本記者クラブ企画員が代表質問した。

候補者同士による討論の中で特に目立ったのは、基礎年金の財源を税金で賄うことの是非と、原発ゼロを含むエネルギー政策に関する話題だ。いずれも河野候補が、他の3人の候補と異なる見解を表明している問題であることから、河野氏に質問が集中した。

■ 基礎年金の税方式めぐり、河野氏と高市氏の溝は埋まらず

討論会前半では、基礎年金の税方式化を主張している河野氏に質問が集中した。まず高市氏が、河野氏に対して既存年金の税方式化の財源について質問をした。

高市氏: 基礎年金を全額税金で負担するとなると、かなりの増税になっていくんだろうと思いますけど、財源についてどうお考えなのか。お教えください。

河野氏: 基礎年金を最低保証のために使うには、保険料ではできません。というのも所得がなくて保険料が払えない人は、将来その分年金が減ってしまい、少額の年金だけでは食べていけないので、結局生活保護をもらうことになる。今は年金で出していない部分を生活保護で出している部分が相当あると思います。ですから最低保証は税金でやる、その代わり資産、あるいは収入が一定以上ある人にはその分はお出しをしないということで、おそらく金額はそれなりに制限できるものだと思っております。

河野氏は、消費税を財源とする最低保障部分を創設すべきとの考えだ。上乗せする「2階部分」には、個人が口座で運用する積み立て方式を提唱している。現在の公的年金制度は、基礎年金(国民年金)と厚生年金などの2階建てとなっており、基礎年金部分は保険料に加え、税が投入されている。もし河野氏が主張するように基礎部分全額を消費税で賄うことになれば、税率を引き上げなければならない。 旧民主党政権が同様の考えをマニフェストに掲げたが、消費税を8%上げなければならないとの試算も出るに至り、実現しなかった。この河野氏の提案に他の候補者から異論が相次いだ。

高市氏: 現在、政府内で厚生年金や国民年金、共済、それらをトータルで考えながら、年金のあり方、負担のあり方を見直そうと考えていると聞いております。こういった方法が現実的であると思いますし、全く一円も負担をせずに基礎年金部分を全部税金で賄うというのは制度的に無理があるんじゃないかと私は考えております。年金制度の仕組みそのものについて大きな歪みが出てしまうのではないかと考えております。

続いて河野氏の質問順となり、河野氏が同じく基礎年金の税方式化について、高市氏に質問をし、反論した。

河野氏: 今の基礎年金は保険料で運営をしていますが、保険料が払えないくらい所得が低い人は免除ができます。しかし免除になって保険料未納にすればその分はもらえず、税金分しかもらえませんから、2分の1になってしまいます。ただでさえ少ない基礎年金の金額がどんどん減ります。最低保障年金でありながらも、最低保証することが事実上、構造的にはできません。そういう方は結局生活保護をもらうことになってしまいます。年金の制度の中ではいいのかもしれませんが、トータルで考えればそこで税金が使われる。また今の基礎年金は、2000万円の歳費をもらっている国会議員も、アルバイトで生計を立てている人も同じ保険料です。これはあまりにも不公平なんじゃないでしょうか。やはり最低保証は税金でやらなければ、制度として成り立たないのではないでしょうか。

高市氏: 私は、生活保護制度というのはとても重要なものだと思います。どうしても生活が成り立たないという時に、もう少し堂々と受けられる。こういった形を作っていきたいと思います。今それが受けにくい環境というのがございますので、そういった要件を外していくということで、よろしいんではないかと思います。ただ年金制度というのは、運用も行われています。今株価も非常に高く、株価が上がることによって財源も増えていく。そうしてお互いに助け合いながら、将来に備えながら、ということで現在いらっしゃる方が負担をし、上の世代を支えるという形で様々な保険制度が成り立ってきております。もし全額税金という形になると、どこで縛るのか、どこで線を引くのか非常に難しい問題があるのと、国民負担が増えていくと思います。

河野氏: これまで厚生省の年金局は年金制度を維持しようとしてきましたが、しかし維持すべきは年金制度ではなくて、将来の年金生活を若い人、あるいは次の世代の人たちの年金生活が維持されなければなんの意味もないんです。今のように保険料でやりますといって保険料の納付率を上げるために、どんどん免除をしてしまえば、基礎年金の将来のもらえる金額は減ります。構造的に保険料では最低保証の年金が出せないというのは明らかです。だからこそ、これだけの高齢者世帯が生活保護をもらうことになっています。同じことならば、むしろ生活保護の方がお金がいいからそっちの方がいいんではないか。完全なモラルハザードになっています。きちんと年金で最低レベルを保証する、そういう制度を考えた上で現役世代の所得を維持できる二階部分を作っていく、もう抜本的に年金制度の改革を今やらなければ、若い世代の人たちの将来の年金生活が維持できません。

河野氏はここまで、保険料が払えず少額の年金しか受け取れない人は、多くの場合生活保護を受け取っており、その生活保護費を賄うために結果的に多くの税金が費やされていることを繰り返し指摘した。だが、高市氏は全額税金で負担するには、年金制度の歪み、あるいは国民負担の増加に繋がるとの認識をあくまで崩さず、議論は平行線のままだった。

具体性と現実性求める岸田氏、ここでも両者の溝は埋まらず

河野氏はさらに、自身2度目の質問順で、岸田氏に対して現行の年金制度に対する認識について質問を行う。

河野氏: 最低保障年金であるべき基礎年金が、保険料で行われていると、最低限必要な年金の金額は保証されないということになってしまいます。最低保証の年金は構造的に税金でやらざるを得ないと私は思いますが、そうではなく現行の制度を続けていくのがいいのか、この点についてご意見を伺いたいと思います。

岸田氏: 河野さんがおっしゃるように、年金の生活をしっかり守らないといけない、これはその通りだと思います。しかし民主党の時7万円の最低保障年金の議論があって、我々はこれを随分攻撃しました。あの時は8%消費税を上げなければいけないということで、これは実現不可能だと言ってきました。ですから税でやるとした場合に、実際消費税が何%上がるのかをしっかり示して、議論をすることが大事だと思います。この点についてはっきりお答えいただいた上で、考えていきたいと思います。

河野氏: 今の基礎年金の議論は、年金だけを考えて何%上げるでいいのかという議論をしてますが、基礎年金で生活できない方は生活保護をもらっている。そういう分を考慮せずに、税方式にした時必要な税金が多い少ないという比較は必ずしも正しくありません。また現行の制度では、大きな所得や資産がある人でも、保険料を払っている以上基礎年金をもらうことができますが、所得一億円の方に最低保障年金を出す必要はないと思います。資産が一億円ある人にも出す必要はないと思います。どういう人を対象に、どれだけの金額を出すのか、それによって今、生活保護なり生活保護の方の医療費の免除でどれくらいのお金が出ているのか、それをしっかりと考えた上で議論をしなければいけません。そうでなければ、今お金がもらえなくて苦しい生活をしている、あるいは生活保護をもらっている人をそのまま野放しにするだけで終わってしまいます。

これに対し、岸田氏は続く自身の質問順で、河野氏の主張する基礎年金の税方式の現実性と、消費税率の変化分についてなどさらに質問を続ける。

岸田氏: 税方式の最低保障年金を導入することについて、先ほど具体的な数字をお示しいただけないかと申し上げました。消費税の税率のイメージを教えていただけないか。それから税方式に切り替えた場合、従来の賦課方式で保険料を払っている現役世代からすると、転換期において二重の負担になる等、かなりの混乱を生じることになるのではないか。私は今の厚生年金の制度をできるだけ広げる形で、多くの人たちを取り込んでいくこういった方式を考えていますその現実性ということと、それから具体的な消費税の数字、これを教えていただけますか。

河野氏: これはどれくらいの年金を、どういう人を対象に支払うかによって、税金の必要な額が違います。将来的には基礎年金にもマクロ経済スライドが入り金額が減っていく中で、老後の生活が保障できるのかというと、多くの人がそうではないとおっしゃると思います。ですから、どれくらいの年金金額を、どれくらいの収入の人に、あるいはどれくらいの資産がある人にお支払いするのか、それに対して仮に消費税にするならこれくらいの負担になりますよということをお示しをして、それが多いのか少ないのかという議論をしなければいけないと思っております。また二階部分を積立方式にするならば、当然二重の負担が出ますが、二重の負担は一つの世代で償還すべきものではなく、広く長く負担をしてもらうものだと思っておりますので、特に問題は起きないと思っています。

岸田氏: やはり実現可能性ということについて、もう少し詰めていかなければならないと思います。私は幅広く、この社会保障の網を広げていく、こう言った考え方で、現在進められている厚生年金の制度をできるだけ広げるという方法で考えています。その中で河野さんの新たな提案の実現可能性ということで、例えば民主党がかつて言っていた7万円の最低保証年金ですら、8%の消費税の引き上げが必要だということになり、我々は徹底的にそれを攻撃したわけです。それとの関係も含めて、具体的な数字をしっかり示して、実現可能性と制度の移行についてもう少しご説明いただくことが、この議論にとって有益なのではないかと思っております。

岸田氏は、「基礎年金の税方式化」については、民主党政権の時に出された案であり、当時野党の自民党は反対したことを繰り返した上で、現行賦課方式から移行するときに混乱が生じると懸念を示すと同時に、実際に税方式化した場合、財源として想定される消費税の増税率はいかほどかと再三河野氏に問うたが、河野氏は明確な数字を答えず、議論は平行線に終わった。

■ 「原発ゼロ」、河野氏と高市氏エネルギー政策の違い鮮明に

エネルギー政策を巡っても、かつて「原発ゼロ」を主張していた河野氏に対して質問が相次いだ。まず、河野氏のエネルギー政策に切り込んだのは高市氏だ。

高市氏: 原子力発電所について、当面は再稼働とということですが、その当面というのが、大体どれくらいの期間、何を持って判断されるのか。またデジタル化によって消費電力量が急増していくことが予測される中で、具体的なエネルギー政策、基幹となるエネルギー政策をお伺いできたらと存じます。

河野氏: 日本の原子力発電所耐用年数は40年、運転延長しても60年です。したがって耐用年数がきたものはだんだん廃炉にしていくということになれば、原子力は緩やかに減っています。その間にやらなければいけないのは気候変動対策で、カーボンニュートラルを実現することです。ですからまず石炭、石油の発電をなるべく早く止める。天然ガスも、いつまでも続けるわけには行かないというのが現実だと思います。そうすると残された選択として、まず省エネでエネルギー消費をどこまで減らすことができるか。そして、今回のエネルギー基本計画にも再生可能エネルギーの最優先の原則が盛り込まれました。再生可能エネルギーを伸ばしていくことは、エネルギー供給を増やすだけでなく、日本の新しい産業にもつながっていきます。その上で、足らざる部分は原子力を再稼働して補っていく、これしか方法がないと思います。再生可能エネルギーをしっかりと伸ばし、日本の経済の新しい芽にしていく、そういうことになるんではないかと思います。

高市氏: 私はむしろ、これからの安定的なエネルギーということでまず一番近いのは、日本企業も参加してアメリカなどで開発されている、SMR=小型モジュール式原子炉だと思います。まずこれを安全保障上、地下に立地をすること。さらに次の段階で、これにウランとプルトニウムが必要であり、燃料が重水素とトリチウムということになります。高レベルの放射線廃棄物を出さない核融合炉、これにしっかりと研究開発費を投入していくべきだと思います。これが日本の産業の安定、安定的なエネルギー供給につながっていくと思います。

再エネ重視の河野氏と原発は新技術開発を続け有効活用すべきとの高市氏の主張の違いが鮮明になった。続いて、地熱発電の積極的な導入を訴えてきた野田氏も、河野氏の「原発ゼロ」についての考えを質した。

野田氏: 河野さんが首相になったら速やかに原発が止まってなくなってっていう印象を国民の多くは持っていたと思うんです。しかし最近はそこから、随分修正がされたのかなと思うんですね。それは結構なことだと思うんです。なぜかというと私は人工呼吸器を使っている息子を持つ身として、電力に関しては安定供給を保証できないことはあってはならないと考えています。そこについて、今どうお考えなのか。総理になったら「原発ゼロ」を実行してしまうのか。それについて聞かせてください。

河野氏: 私が言っている脱原発は耐用年数がきたものは速やかに廃炉になる、緩やかに原子力から離脱していくことになると言っていることだけでありまして、それ以外のことではありません。ですから先ほどご説明した、化石燃料をまず止めなければいけない、省エネと再生可能エネルギーを増やしていって、足らざるところは原子力で補うけども、この原子力の耐用年数の間に、再生可能エネルギーを増やしていかないといけないということをずっと申し上げております。以前北海道の胆振で地震があった時に北海道が停電になりました。あれは大きな発電所に依存をして、そこに問題があった時に大きな停電になった。つまり大きな発電所に依存をしていたら安定供給ができるかと言ったらそんなことはないんです。再生可能エネルギーのように、広く、拡散した発電能力を持っていることが、いざという時の安定供給にも強いということが言えるだろうと思います。

野田氏: 私はエネルギーというのは安定供給を前提にして、時代にあるものをしっかりと形にはめていくことが必要だと思います。その中で私のライフワークである地熱発電というのはこれまでなかなか注目してもらえませんでしたが、ここのところようやく、河野さんのおかげか、経産省の積極的な動きが見えてきています。地熱は埋蔵量世界で3位ですが、自分の国にあるそのエネルギーが、なぜか色々と理由をつけられて進んで来なかった。こういうのをぜひ進めていければと思います。

ここまで野田氏の質問に答えた河野氏は、続く質問順で野田氏のエネルギー政策について逆質問を行い、自身のエネルギー政策をより鮮明にした。

河野氏: これまで再生可能エネルギーを増やすことができなかったのは、原子力発電に重きをおこうという力が働いていたからというのがあります。例えば、九州は再生可能エネルギーの出力抑制が行われていますが、実際は九州管内にある石炭を止めて、再生可能エネルギーを利用すれば、それはしなくて済む。しかし残念ながら、昔ながらのルールが適用されて出力抑制が行われているというのが現実です。今回のエネルギー基本計画のなかで、再生可能エネルギー最優先という原則が打ち立てられて、地熱発電についても、国立公園、国定公園の中でも一定のルールのもとで開発できることになりました。野田さんがおっしゃるように、地熱のポテンシャルはアメリカ、インドネシアについで、世界第3位です。そういうことを踏まえて、野田さんは将来も原子力に頼っていく方がいいと思っているのでしょうか。

野田氏: 私はとても現実主義者で、やはり安定供給がしっかり担保できるポートフォリオを考えたい。メタンハイドレードや天然ガスも含め、色々その都度見直していくことが、国民への安心安全の提供だと思っています。

河野氏: 原子力発電のコストが見直されて、再生可能エネルギーの方が安いことが明確になりました。これは専門家の方々が以前からおっしゃっていたことで、これに様々な再処理工場の廃炉コストなどを入れれば、原子力のコストというのはますます高くなってくると思います。また原子力の産業というのはあまり先が見通せない、その中で再生可能エネルギーというのは、日本発の新しい技術が出れば、それは世界中に日本から出していく、日本の産業が新たに巣立っていくということになります。そういうことを考えても、今度のエネルギー基本計画が謳ったように再生可能エネルギー最優先の原則で、日本のエネルギーはやっていかないといけないんだろうと思います。

電力の安定供給を重要視する野田氏に対して、河野氏は再生可能エネルギー最優先の考えを繰り返し強調した。国の2050カーボンニュートラル、2030年CO₂を2013年度比46%削減に向け、再エネ拡大の方針は「エネルギー基本計画(エネ基)」素案にも明記されており、おそらく4候補とも異論は無いだろうが、原発の再稼働やリプレース、新増設なくして、CO₂46%削減が実現可能なのかどうかの議論は深まらなかった。また野田候補が指摘した電力の安定供給の観点からも、火力発電、原子力発電は一定程度の比率必要だが、河野氏がそこをどう考えているのかも明確にはならなかった。

■ 核燃料サイクル巡り、河野、岸田両氏の見解割れる

岸田氏からは、先日河野氏が「核燃料サイクル(核燃サイクル)」について否定的な考えを明らかにしたことについて質問が飛んだ。「核燃料サイクル」とは、原子力発電で使い終えた核燃料から核分裂していないウランや新たに生まれたプルトニウムなどをエネルギー資源として回収し、再び原子力発電の燃料に使うしくみをいう。

岸田氏: 2050年のカーボンニュートラル、そしてそのためにクリーンエネルギーを用意しないといけないこと、再生可能エネルギー最優先であること、これはおっしゃる通りです。尚且つそのクリーンエネルギーの一つの選択肢として、原発の再稼働を認めるとおっしゃったこともなるほどと思います。ただ問題はその先でありまして、原発の再稼働を認められたわけですが、一方で核燃料サイクルをやめるということをおっしゃったと聞きました。これは両立するものなのか、この点についてはいかがでしょうか

河野氏: 今の原子力発電の最大の問題は、核のゴミの処理が決まっていないことです。使用済み核燃料プールが再稼働すると早い時期にいっぱいになってしまい、原子力発電所が止まってしまいます。今までは青森県の再処理工場の原材料プールに移動することで使用済み核燃料プールがいっぱいになるのを防いできましたが、再処理をしてプルトニウムが出てきても、その使い道が今なかなかありません。本来は高速増殖炉でそれを燃やすというのが、この何十年来の計画でしたけれど、高速増殖炉もんじゅが既に廃炉になりました。MOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)という使い道があるのかもしれませんが、今のMOX燃料はヨーロッパにある日本のプルトニウムを使って生産されています。したがって、青森県で再処理工場を起動しても使い道がありません。六ヶ所村や青森県には、色々とご協力をいただいておりますから、その地域のご理解をいただいた上で、今後のことを決めていかなければならない時期にきているんだろうと思います

岸田氏: 使用済み核燃料の問題がある、これはその通りです。ただ核燃サイクル止めてしまうと、核燃サイクルによって除去される高レベルの核廃棄物、これがそのままということになってしまいます。再処理をしますと、廃棄物の処理期間は300年と言われています。一方で高レベルの核廃棄物を直接処理すると、10万年かかると言われています。この処理の問題をどう考えるのか。さらにいうと核燃サイクルを止めてしまいますと、プルトニウムがどんどんと積み上がってしまう。これは日米原子力協定を始め、日本の外交問題にも発展する恐れがあります。このように、核燃サイクルを止めるとなりますと別の問題が随分出てしまうのではないかなと私は思います。

高市氏、野田氏、岸田氏が、それぞれ「原発ゼロ」政策を兼ねて主張していた河野氏のエネルギー政策を質したが、河野氏は、耐用年数が過ぎた原発から廃炉にしていき、いずれ原発はゼロになる、それまでに再生可能エネルギーを増やしていくと繰り返した。河野氏が、再処理後の使い道がないとして否定的な見解を示した「核燃料サイクル」について、岸田氏はその見直しが新たな問題を生む懸念を指摘したが、これについても深い議論はなされなかった。

河野氏の主張する「核燃サイクル」見直しにしろ「基礎年金の税方式化」にしろ、従来の自民党政権の政策を大きく転換するものだ。他候補との違いを前面に打ち出す狙いだろうが、国会議員票にどのような影響を与えるか、未知数だ。

また本稿では触れてないが、外交安全保障面での質問が、河野・岸田両氏に集中したことに、公平性を欠いている、との批判が出ている。高市氏、野田氏にも同様な質問はすべきだった。また、本討論会はオンライン配信となったことで、視聴している記者はzoom上に投稿するよう求められていたが、その読み上げは無かった。今後、同様な企画に反映させることを要望する。

(了)

トップ写真:討論会開始前の撮影 出典:自民党




この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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