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.国際  投稿日:2021/12/27

仏大統領選、マクロン氏優勢「2022年を占う!」フランス


Ulala(著述家)

フランスUlalaの視点」

【まとめ】

・仏大統領選、1回目投票日4月10日、2回目投票日4月24日の予定。

・世論調査でマクロン氏は常にほぼ4分の1の人気を獲得、1位を維持。

・メランション氏若者に人気、若年層の投票率がカギ握る。

 

フランス大統領選が2022年の4月に行われる予定だ。現時点では、現職大統領であるエマニュエル・マクロン氏が再当選するだろうと予想されており、2022年もマクロン政権が続きそうな気配である。

フランスの大統領選の概要

フランスの大統領選は2回投票となっており、2022年は1回目投票日4月10日、2回目投票日4月24日の予定となっている。

1965年より、フランスの大統領は国民による直接投票で選ばれてきた。1回目の投票(本選挙)で、過半数を占める候補がいない場合は上位2人に絞り込まれ、2回目(決定選挙)でそのどちらかを選ぶシステムだ。

フランス大統領に立候補できる条件は複数あるが、まず一番重要なのが、18歳以上でフランス国籍を持っていること。次に重要なのは、国会議員、欧州議員、地域圏議会及び県議会の議員、そして市長から、500人以上の推薦署名を集められることである。各推薦権利保有者は候補者を一人のみ推薦できる。そして、立候補者は、少なくとも30の県から署名を集めなければならない。このため、この時点で最終決戦に挑める候補者がかなり絞り込まれるのである。

ちなみに、現在、30人以上の立候補者が公表されているが、候補者の半数以上が必要な署名数を集められていない。

2017年には、最終候補者名簿に11人が残った。

現時点のアンケート調査結果

まず、2022年の選挙で確実に最終候補者名簿に残るだろうと思われる候補者は以下の7人であり、現時点での1回目の予測の順位は以下の通りだ。

1.右でも左でもない中道派のエマニュエル・マクロン氏(43) 26% (注)

2.中道右派の共和党がイルドフランス地域圏議長のバレリー・ペクレス氏(54) 17%

3.極右政党・国民連合のマリーヌ・ルペン氏(53) 16%

4.極右の政治評論家、エリック・ゼムール氏(63) 13%

5.急進左派「不屈のフランス」の創設者ジャン=リュック・メランション氏(70) 11%

6.ヨーロッパエコロジー・緑の党のヤニック・ジャド氏(54) 5%

7.中道左派の社会党はパリ市長のアンヌ・イダルゴ氏(62) 3%

(注)マクロン氏はまだ正式には出馬を表明していないが、前エドゥアール・フィリップ首相をはじめとする応援者による準備はすでに始まっている。

これらのアンケート結果を見る限りは、マクロン氏の人気は今のところ不動のようだ。フランスでは選挙前には複数の調査会社により、候補者の人気度(第一回目の投票予想)を調査するアンケートが何回も行われるが、現時点のところ現大統領マクロン氏は常にほぼ4分の1の人気を獲得し、1位を維持してきている。

サルコジ政権で閣僚を務めたペクレス氏は、最大野党である共和党の公認候補投票での圧倒的勝利の影響で、出馬を正式に出した時点ではぐんととびぬけて上昇したが、現在では少しずつ人気度が下がりはじめている。それでもマクロン氏と決定選挙に残ったとすれば、ほぼ同数の票を獲得するだろうと言われている有力候補だ。

▲写真 ヴァレリー・ぺクレス氏(2021年12月11日、フランスのパリにて) 出典:Photo by Chesnot/Getty Images

2017年にマクロン氏と一騎打ちになったルペン氏は、多少勢いはおちたものの、現時点では、一時かなり話題を独占したゼムール氏よりは優勢を保っている。いずれにせよ、マクロン氏と共に決定選挙に残ったとしても、両者とも最終的には苦戦するだろうと予想されている。

今回の大統領選では、左派がかなりの苦戦を強いられている。票も分散しているため、統一候補を出す案などもあったがいまだに意見は一致していない。そんな中、メランション氏は10%ラインを超えるほど人気が上昇した。一方、イダルゴ氏はどんどん人気度が下がっており、かなり悲観的な声があがっている。

またジャド氏は12月に入って急激に人気が低下した。一部の報道によれば、その原因は緑の党の党員が市長となっている市で開催するすべてのイベントや給食から、「フォアグラを排除する」としたからだと言われている。フォアグラ排除は動物権利団体が長年圧力をかけていたのだ。もちろんジャド氏自身が排除を決定したわけではないが、同じ緑の党の党員が排除したということで、伝統を愛するフランス人から反発を受けたようだ。

2022年はどうなる?

▲写真 メランション議員(2021年1月12日、議会にて) 出典:Photo by Aurelien Meunier/Getty Images

近年、左派の人気が低迷している中、メランション氏の人気が上がってきた理由の一つは、若者からの人気度が高まってきたからだという話もある。全ての学生に月額1063ユーロ支給、Parcoursup(大学入学許可システム)のとりやめなどを掲げたメランション氏は、SNS上で若者からの人気が際立っているようだ。

しかも、今回の選挙はこの若者たちの動向が鍵を握るかもしれない。それは、メランション氏に限らず、マクロン氏やル・ペン氏に対しても同じことが言える。なぜなら、若者の過半数は選挙にいかないだろうと予想されているからである。いくらアンケートで人気度が高くても、投票しないなら意味がない。

2021年に行われたフランス地方選では、第1回の投票率は約33%と過去最低となり、選挙結果に大きな影響を与えたのも記憶に新しい。人気度だけではなく、投票率の向上を働きかけることもとても重要な点となるだろう。

2017年の選挙では、決定選挙では当時まだ39歳だったマクロン氏と、極右政党として歴史も長く経験も豊富なマリーヌ・ル・ペン氏との戦いとなり、最終的にマクロン大統領が誕生した。マクロン氏はナポレオン・ボナパルトに次いで二番目に若いフランスの国家元首となった。

そして、2022年も再びマクロン政権が継続することになるのか?これからの動向に注目だ。

<参考リンク>

世論調査:メランション氏が18歳~34歳の若者でリード – L’insoumission

世論調査大統領2022年:エマニュエル・マクロンが2022年に向けてライバルに差をつける

2022年大統領選の全世論調査:第1回と第2回の傾向

トップ写真:マクロン仏大統領(2021年12月20日、パリのエリゼ宮殿にて) 出典:Photo by Chesnot/Getty Images




この記事を書いた人
Ulalaライター・ブロガー

日本では大手メーカーでエンジニアとして勤務後、フランスに渡り、パリでWEB関係でプログラマー、システム管理者として勤務。現在は二人の子育ての傍ら、ブログの運営、著述家として活動中。ほとんど日本人がいない町で、フランス人社会にどっぷり入って生活している体験をふまえたフランスの生活、子育て、教育に関することを中心に書いてます。

Ulala

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