.社会  投稿日:2014/7/2

[野村絵理奈]<日本人、大丈夫?>今の日本人に足りないのは「おもてなし」の精神をアウトプットする「ひとこと力」


野村絵理奈(株式会社KEE’S代表取締役)|執筆記事

 

政治家の失言問題、都議会議員の「ヤジ」など、ここ最近、言葉をめぐっての問題が相次いだ。日本人は今、「ひとこと」の力について見直すべき時期に来ていると思う。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック。「おもてなし」の国を大きくアピールして勝ち取った開催は記憶に新しいが、私は職業柄、日本の人「おもてなし」の現状を知る者として、嬉しく思う反面、正直これは大変な事になったと思った。

確かに、日本の飲食店などのサービスは「日式(にっしき)」と呼ばれ、海外でも高い評価を受けている。中には日式サービスを売りにして、国内で数百円の商品を千円以上の金額で提供する日本食チェーンもあるほど。それでも、行列が絶えないというから、日本の「おもてなし」の価値とは、間違いなく世界に通用する財産であるという事だ。

確かに「おもてなし」は礼法や茶道などに代表される日本文化の精神そのものであることは間違いない。でも、この精神は現代の国民にも、本当に受け継がれているのか?

私は、現在妊娠9か月で、どこから見ても立派な妊婦だが、電車やバスで席を譲ってもらえることは本当に少ない。10回中数回あるかないかくらいだ。しかも譲ってくれるのは、決まって高齢者か外国人。「日本人、大丈夫??」と大声で叫びたくなる。携帯電話をいじっていたり、音楽を聞いていたりで、単に気付かないだけとも取れるが、先日、こんなことがあった。

あるバスに乗ったとき、運転手さんが「妊婦さんに、どなたか席を譲ってもらえませんか?」と呼びかけてくれたのだ。すると、今まで下を向いていた人が、「僕、いいですよ」「私も!」と数人立ち上がってくれた。私だけでなく、車内全体が、暖かい雰囲気に包まれた瞬間だった。

「おもてなし」の精神は日本人としてのアイデンティテイ。その誇りを誰しも心の中に持っているはずだ。ただ、問題はそれをアウトプットする「ひとこと」力が、今の日本人に足りないという点。

「ひとこと」力とは、瞬発力と感性。どちらが鈍っても、とっさのひとことは出ない。反対に、かの失言のように、感性の無いひとことを発してしまう事だってある。大事なのは、相手の立場に立った気配り心配りと、反射的に言葉に出来るアウトプット力を日々鍛えること。例えば、コンビニの店員さんに、「ありがとう」と言う、清掃員の人に「おはようございます」というだけでも、日々のひとことトレーニングは出来る。

2020年に目指したいのは、「全国民おもてなし化計画」。立派な競技場やインフラも大事だが、一人一人が、「おもてなし」を言葉で、そして態度で表現することも、本当の日本の文化、魅力を海外に伝えることになるのではないだろうか?

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【プロフィール野村絵理奈(のむら・えりな)

140402wa139株式会社KEE’S代表取締役。1975年兵庫県生まれ。同志社大学法学部を卒業後、NHK松山放送局キャスター、気象予報士を経て2005年株式会社KEE’Sを設立。独自の教育メソッドを確立し、これまで1万人以上にコミュニケーション、話し方、プレゼンなどの企業研修を行っている。また、アナウンススクールでは約80名の新人アナウサーを輩出。ミス・ユニバース・ジャパンの公認サプライヤーのほか、社会人、女向けなどで独自の話し方レッスンを開講しメディアでも多数紹介される。著書には『5000人を変えた! 話し方の新・習慣77』『世界一の美女になる話し方』『5秒で相手の心をつかむひと言の力』などがある。

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