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.社会  投稿日:2023/4/5

シン大谷翔平になろう「新入社員に贈る言葉」その5


小寺昇二(株式会社ターンアラウンド研究所 共同代表 主席研究員)

小寺昇二の「人財育成+経営改革」

【まとめ】

・今後の社会は、「トンデモナク可能性に充ちた」時代だ。

・日本という枠から出て、学ぶ姿勢を持ち続けてほしい。

・そうすれば、君たちは今後の企業社会の「シン大谷翔平」になれる

 

新入社員になった皆さん、この「トンデモナク可能性に充ちた」企業社会にようこそ!

こういう文章を読むと、頭の良い諸君は、「そういうの、聞き飽きたんスよね」「どうせ、『目先の社会は閉塞感に溢れているけど、君たちは、頑張ってオジサンたちを超えてよね!』という根拠のない願望ではないか、そんなの「ウゼエ」と思うかもしれません。

でも、僕は、今「心から」今後の社会は、「トンデモナク可能性に充ちた」時代なんだと思っているのです。つまり、君たちは今後の企業社会の「シン大谷翔平」になれる、ということなのです。

「エ、そんなの無理ッショ。あんなにキン肉マンで、背が高くないし・・・」と悲観する必要はありません。「シン大谷翔平」は、別に体格は関係ありません。

どうすれば企業社会の「シン大谷翔平」になれるのか、ポイントは2つです。

1.「日本」という枠から出よう!

「バブルの頃は・・・」と昔を懐かしがっていた昭和世代も、先進国中最悪の、給与水準、公的累積債務、高齢化進行・・・といった現実の前に、もうダンマリを決め込んでいるのです。

日本は、良い文化や人間が多い良い国であることには僕も同意しますし、この国が大好きなのももちろんですが、日本という枠の中で生活し発想する限り、「トンデモナイ可能性」は見えてきません。

「シン」でない、今の大谷翔平だって、子供の頃からメジャーリーグで活躍し、世界一の選手になることを夢見ていて、それを実現しかけているのですから、これからの「シン大谷翔平」世代は、当たり前のように世界を視野に入れるべきです。テスラのイーロン・マスクが宇宙を視野に入れているように、皆さんも「夢物語」ではなく世界を視野に入れれば、日本社会の閉塞感から自由になれるのです。

言語は心配ないです。既に自動翻訳の仕組みはかなりのレベルに達していますので、もう10年後には、英語の勉強を必死にやらなくても、海外の人とビジネスについて全く問題なくコミュニケーション出来るようになるでしょう。AIも猛烈に進化していて、言語の壁はどんどん低くなっていきます。文化の違いや多様性についても、上の世代よりも皆さんの方がずっと先を行っているでしょう。恐れることは何もありません。

そもそも、日本というこの国は、近い将来、「間違いなく」大きな地震が起こり、恐らく壊滅的な影響を受けるのでしょう。もちろん。「地震が怖いから海外に住め」と言っているわけではなく、「日本に住むこと」に拘らず、「働く場所は日本でないと・・・」という思い入れを捨てて、何が起こってもいいように、柔軟にスキルや経験を積上げていけば良いのです。日本にいてインターネットで世界的なビジネスをやっていたっていいのです。

2.学ぶ姿勢

インターネットの進化に加えて、最近chatGPTで俄かに話題になっているAIの進化は、やはり「トンデモナク」進むでしょう。これまで、「AIが進化して既存の職を奪っても、AIの活用に伴って人間しかできない職が新たに作り出されるのだから雇用については問題ない」と言っていた評論家も、chatGPTの爆発力に恐れをなして、そうした言葉を言わなくなりつつあります。こうした進化、進歩は加速度がついていくものです。

はっきり言いますが、AIに限らず、進歩や進化が今後どのように進み、何をもたらすかは僕にもわかりません。

しかし、こういう時代でもはっきりしていることが一つだけあります。

「学ぶ姿勢を持ち続ける者は、そうでない者よりも圧倒的に有利だ」ということです。英語だけでなく、過去の知識や経験は、インターネット検索、AIWeb3・・・などで代替可能になっていきます。学校で劣等生だった人、マンガくらいで本を読んでいない人、ゲームばかりやっていた人、いわゆる発達障害がある人、LGBTQ・・・とにかくこうした過去のこと、持って生まれたものとは無関係にチャレンジできる地平が目の前に広がっているのが、これからの社会なわけです。逆に、伝統校を卒業して、人が羨むような有名企業の新入社員ほど、現在に安住し、これまでは有能と言われた(しかし今後はわからない)オジサンたちに頭を押さえられて、今後が危ういのかもしれません。

大谷翔平がメジャー1年目のキャンプで打撃絶不調に陥り、イチローに教えを請うたことがありました。イチローは「自分の才能を信じろ」と言い、翔平は「自分の才能は、色々試し、学び成長することだ」と考え、日本での足上げ打法から、メジャーの速球に対応できるすり足打法に変え、打てるようになりました。「学ぶ姿勢」それがもしなかったのなら、身長が高いだけの人間であったかもしれないのです。かく言う僕も、御年67歳の高齢者ですが、AIを始め、あらゆることに好奇心を持ち続けて日々を送っています。

さて、繰り返しますが、「シン大谷翔平」の素質が誰にでもある、つまり学ぶ姿勢がありさえすれば何でも出来るようになるかもしれない君たちには、「トンデモナイ可能性」が拡がっています。恐らく人類誕生後、最も可能性に充ちた時代が今なのかもしれないのですから。

トップ写真:ロサンゼルス・エンゼルス対シアトル・マリナーズの打席に立つ大谷翔平(2023年4月3日)出典:Photo by Alika Jenner/Getty Images




この記事を書いた人
小寺昇二

1955年生まれ、都立西高校、東京大学経済学部を経て、1979年第一生命入社。企業分析、ファンドマネジャー、為替チーフディーラー、マーケットエコノミスト、金融/保険商品開発、運用資産全体のリストラクチャリング、営業体制革新、年金営業などを経験。2000年ドイチェ・アセットマネジメントを皮切りに、事業再生ファンド、CSRコンサルティング会社(SRI担当執行役員)、千葉ロッテマリーンズ(経営企画室長として球団改革実行)、ITベンチャー(取締役CFO)、外資系金融評価会社(アカウントエグゼクティブ)、IT系金融ベンチャー(執行役員)、旅行会社(JTB)と転職を重ね、様々な業務を経験し、2015年より2022年まで埼玉工業大学情報社会学科教授


この間、多摩大学社会人大学院客員准教授、日本バスケットボール協会アドバイザー、一般社団法人横河武蔵野スポーツクラブ理事も経験(兼務)。


現在:ターンアラウンド研究所 共同代表 主席研究員、埼玉工業大学情報社会学科非常勤講師、公益社団法人日本証券アナリスト協会認定アナリスト、国際公認アナリスト


著作:「実践スポーツビジネスマネジメント~劇的に収益性を高めるターンアラウンドモデル~(2009年、日本経済新聞出版)、「徹底研究!!GAFA」(2018年 洋泉社MOOK 共著)など多数


専門:人財育成、経営コンサルティング、スポーツマネジメント、ターンアラウンドマネジメント、経済、コーポレートファイナンス


 

小寺昇二

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