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.政治  投稿日:2024/6/14

【都知事選、本当の争点】①どこにいった?!東京大改革


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・小池都政。世論が求める、都民が求める画期的な政策は実施した。

・ただ、「改革」というには不十分。業務の延長、少しの改善はそれなりにやった。

・都職員の頑張りゆえに実現したものが多いが、環境政策など専門的な部分での政策リーダーシップは見られなかった。

 

小池都政をリセット?

東京都知事選挙・・・・小池都知事の出馬は確実視されているが、蓮舫さんが出馬意向を示したり、その他もたくさんの方が出馬を予定している。知事の学歴訴訟疑惑などもあり、自民党との蜜月関係など、懸念事項も多い。

筆者は、本メディア「東京都長期ビジョンを読み解く」で長らく連載してきたが、過去の知事と比較して「まし」だったという評価をしている。しかし、それは発信力や自己プロデュース力への点の評価である。お金も潤沢で優秀な職員も多い自治体の首長は普通にやっていてもうまくできるものでもある。優秀な部局長や職員が動いてくれる。その意味で、政治家としての評価をなかなか下すのは難しい。だからこそ、今回の都知事選、読者に判断材料を提供しようと考えている。

■ 小池都政の大改革は何をもたらしたのか?

8年前に公約した7つのゼロ、なかなかうまく達成できていないとの批判的な意見もあるが、掛け声として、努力目標のようなキャッチフレーズであったので、そのあたりを厳しく問うのはどうかとは思う。しかし、本人は言う「待機児童を7割減らし、事業見直しにより約3500億円の新規財源を確保したほか、受動喫煙防止条例や人権尊重条例など、「人」が輝くための条例を数多く制定いたしました。」と。

この実績のようなものを具体的に見てみたいと思う。都政改革本部の公表資料「2020改革~これまでの取組成果~からその課題を見出し、実績を見て、個別事例を調査してみる。なぜそうするかというと、第一に、東京大改革の2024年度の進捗管理がされていないからだ。第二に、「〇〇をやりました!」という実績は示されても、指標を提示し、その目標値を設定して、その目標達成度を評価していないからだ。

 ■ 残業ゼロ?

▲図【出典】筆者作成

まず、残業ゼロ。「超過勤務の削減・長時間労働の是正。残業ゼロ」が実績として掲げられている。しかし、「令和元年度の常勤職員全体の一人当たり月平均超過勤務時間は14.6時間であり、本庁職場に限ると24.3時間となっている。近年は増加傾向にあるが、これについては、主に 災害対応等の緊急的、臨時的な業務によるものである。」とのことだ。残業ゼロを企業に求める前に、自分たち自身ができていない。

▲図 【出典】東京都職員「ライフ・ワーク・バランス」推進プラン

また、女性活躍。管理職に占める女性職員の割合[行政系]も実績として掲げられている。2019年時点では達成したと明確にされている。それをもとに、目標設定 20%(2020年度)→25%(2025年度)がなされている。しかし、実際、2023年度では管理職に限定すると18.4%と達成はできていない。

▲図 【出典】東京都職員「ライフ・ワーク・バランス」推進プラン

つまり、小池都知事のイメージを形成するような、重点的かつ特徴的な政策で目標が達成できていない。

■ 小池都政の大改革は何をもたらしたのか?

小池都政は、それなりに世論の動きをみつつも、着実に進めてきたとみられてはいる。

専門的に評価すると、

1.世論が求める、都民が求める画期的な政策は実施した。
2.「改革」というには不十分。業務の延長、少しの改善はそれなりにやった。
3.東京都職員の頑張りゆえに実現したものが多いが、環境政策など専門的な部分での政策リーダーシップは見られなかった。

となる。言っちゃ悪いが小池さんだからできたものもあり、それなりに評価はできるが、小池さんでなくてもできたものもある。

そう、いくつかの「成果」というよりも「活動結果」は出したことは事実である。しかし、活動してどうだったのか?と言う意味で、「成果」とは言い難い。普通に頑張ればできることだからだ。その品質レベルも不明である。「成果」とは、厳密にいうと「やってどうだったのか」なので、その意味で、「東京大改革」は、成果を問われなかったといってもいいだろう。本来の改革とは、その成果をきちんと情報公開し、提示し、可視化して、説明して・・・ということがなされるのが当然だからだ。

次回は、期待された「東京大改革」とはどういったものなのかを考えていく。今後も政策評価や公共政策の専門家として、しっかりと読者に政治の正しい見方を提供したいと思っている。

トップ写真:ブルガリホテル東京のオープニングに出席する小池百合子都知事( 2023年4月3日東京)出典:Tomohiro Ohsumi/Getty Images




この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家


NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。


専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。

西村健

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