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.国際  投稿日:2026/6/26

“4度目の正直”でペルー大統領へー故フジモリ氏長女ケイコ氏


執筆者:山崎真二元時事通信社外信部長)

【本稿のポイント】

     ・ペルーの大統領選決選投票で故フジモリ元大統領の長女ケイコ氏の勝利が確定的となった。

 ・ケイコ氏は過去3回の大統領選決選投票で敗北しており当選が決まればペルー史上初の女性大統領となる。

 ・左右分断と政治不信が拡大する中、ケイコ大統領の前途は多難。

 


6月に実施されたペルー大統領選決選投票で、故アルベルト・フジモリ元大統領の長女ケイコ・フジモリ氏が僅差で勝利を確実にした。4度目の挑戦で初当選となれば、ペルー史上初の女性大統領が誕生する一方、左右対立と政治不信の克服という難題に直面すると元時事通信社外信部長、山崎真二氏は分析する。(Japan In-depth編集部)


 

対立候補との得票差は4万票余り

 6月7日行われたペルー大統領選の決選投票は故フジモリ元大統領の長女で右派政党「フエルサ・ポプラル」(FP)党首ケイコ・フジモリ氏(51)と、左派ロベルト・サンチェス元貿易・観光相(57)の大接戦となった。開票作業は投票終了直後から行われ、当初はケイコ氏がわずかにリードしていたが、その後、サンチェス氏が逆転、開票率が約98%になった段階でケイコ氏が巻き返した。ペルー中央選管によると、現地時間24日午前の時点の開票率は99.87%でケイコ氏の得票率は50.12%、サンチェス氏は49.88%、得票差は約4万3000票。選管関係者によれば、未開票の約4万票弱がすべてサンチェス氏に回ったとしても、ケイコ氏の得票に届かない。このためペルーの主要メディアは「ケイコ勝利」「新大統領にケイコ氏」と伝えている。投開票日から2週間以上も開票作業が続いているのは、サンチェス陣営が逆転が伝えられるや、「開票の不正」などと異議を申し出たため、選管や選挙裁判所が対象投票所の票を再点検などをしているからだ。選管当局は公式の最終結果は7月3日から7日ぐらいまでに発表するとしている。

 

「アンチ・フジモリ感情」噴出せず

 今回の大統領選で大きな争点となった治安対策に関して、ケイコ氏は1990年代に父親の故フジモリ大統領が左翼ゲリラ掃討作戦で行ったような強硬手段による犯罪取り締まり策を提唱。経済対策では民間企業を中心とした投資と貿易の促進を強調した。

一方、サンチェス氏はぺルーの現在の制度が不平等を生んでいるとし、現行憲法の改正を主張、経済分野への国家関与の強化や高所得層への課税なども公約に掲げた。ペルーでは故フジモリ大統領時代の強権的ゲリラ対策で人権侵害が起きたことから「アンチ・フジモリ感情」が依然としてくすぶっている。ケイコ氏は2011、2016、2021年と過去3回大統領選に出馬したものの、いずれも決選投票で敗北したが、このアンチ・フジモリ感情がケイコへの反対票として噴出する現象が起きたことが大きな敗因とされている。だが、今回はこうした現象が強く現れなかったことがケイコ氏にとって幸運だったといえよう。サンチェス候補の左派色の強い公約への不安が有権者の間に広まったこともケイコ氏に有利に働いたとみられる。

 

ペルー史上初の民選女性大統領誕生

 ケイコ氏の当選が公式に決まれば、いわば“四度目の正直”でついに大統領の座をつかむことになる。親子2代の大統領はペルー史上初めて。また、選挙で選ばれた女性大統領としてもペルーでは初めて。ペルーのメディアによれば日系人の女性大統領は世界で初めてだという。「初めて」尽くしの大統領が7月28日のペルー独立記念日に誕生する。しかし、「ケイコ大統領」の前途は多難だ。大統領に就任したとしても、有権者の半分の支持しか得ていない。左右分断が拡大する中、ケイコ氏の政治運営が困難なことは自明。とりわけ、大統領選と同時に行われた議会選挙の結果、ケイコ氏のFPは上下両院のいずれでも過半数には程遠い少数与党で議会対策にも苦労するのは間違いない。さらに見逃せないのが、18歳から70歳までは投票が義務とされているにもかかわらず、今度の大統領選決選投票の有権者約2700万のうち、投票所に足を運ばなかった人が700万人以上に上ること。これは過去10年で8人も大統領が代わるという異常な事態に象徴されるペルー国民の間の政治不信の表れである。左右分断に加え政治不信が深刻化する状況下で「ケイコ大統領」は難しいかじ取りを迫られることになりそうだ。

 

よくある質問(FAQ)

Q 1 ケイコ・フジモリ氏とは誰ですか?

 A. 故アルベルト・フジモリ元大統領の長女で、右派政党「フエルサ・ポプラル(FP)」の党首です。

Q2 ケイコ氏にとって今回が何回目の大統領選挑戦ですか?

 A. 2011年、2016年、2021年に続く4回目の挑戦です。

Q3 ケイコ氏はなぜ今回勝利できたのですか?

    A. 左派候補への警戒感が広がり、過去のような「反フジモリ票」の結集が弱まったことが背景とみられています。

Q4 新政権の最大の課題は何ですか?

    A. 左右対立の解消、議会運営、政治不信の克服、経済の立て直しが主要課題になります。

 

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写真)Photo by Raul Sifuentes/Getty Images




この記事を書いた人
山崎真二時事通信社元外信部長

 

南米特派員(ペルー駐在)、ニューデリー特派員、ニューヨーク支局長などを歴任。2008年2月から2017年3月まで山形大教授、現在は山形大客員教授。

山崎真二

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