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.政治  投稿日:2026/7/6

「比例45減」の内幕 ── 福島伸享氏が明かす連立交渉の舞台裏


安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)

【本稿のポイント】

・自民・日本維新の会の連立合意(2025年10月20日)で、企業・団体献金の規制強化は2027年9月まで先送りされた。

・衆議院議員を4期務めた福島伸享氏が、連立協議の当事者として交渉の内幕を証言する。

・福島氏は、定数削減で節減される経費が日本維新の会の政党交付金とほぼ同額だと指摘する。

衆議院では、自民・日本維新の会が提出した衆院議員定数削減法案をめぐる審議が続いている。焦点となっているのは、なぜ「比例代表だけ」を45議席削るという話になったのか、という一点だ。合意文書に明記された定数「1割削減」の陰で、企業・団体献金の規制強化という、もう一つの論点が事実上先送りされていたことも見逃せない。この連立協議の現場に身を置いていたのが、衆議院議員を4期務めた福島伸享氏である。Japan In-depth編集長・安倍宏行が、福島氏本人にその内幕を問う。

動画:2026年7月1日(水)「衆院『比例45減』を問う!」ゲスト:福島伸享 前衆議院議員

 いま、衆議院の国会審議は止まっている。政治改革特別委員会では自民党・日本維新の会が提出した衆院議員定数削減法案の審議が続く一方、野党側は反発を強めている。この現状について問われた福島伸享氏は、冒頭こう語った。

「相当、高市政権が国会を舐めているのは事実だと思います」

「特にやっぱり定数削減の問題だと思うんですよね」

 福島氏は、与党内部の温度差について言及した。

「定数削減も、私はまとまっているとは思いません。自民党の中はみんな、どうせこんな無茶苦茶なやり方ではできないだろうと思っているから国会提出を認めているだけであって、これを成立させるということは、大方の自民党議員は本気で考えていないんじゃないでしょうか」

 なぜ「比例だけ」を削る話になったのか。発端をたどると、2025年10月の自民・日本維新の会の連立合意に行き着く。合意文書には衆院定数の「1割削減」が明記された一方、野党側がかねて求めてきた企業・団体献金の規制強化は、両党の協議体で「2027年9月までに結論を得る」として事実上先送りされた。連立合意の陰で、「政治とカネ」の問題は置き去りにされていたことになる。

 

 公明党が連立を離脱した理由も、突き詰めれば同じ問題だったと福島氏は言う。

「公明党がなぜ離脱したかと言えば、これもやっぱり企業・団体献金です」

 この連立協議の当事者だったのが、衆議院議員を4期務めた福島伸享氏である。福島氏は、当時の経緯をこう語った。

「麻生さんから、有志の会も連立に参加しないかと言われて、交渉していました。私たちがこだわったのは企業・団体献金です。一足飛びに廃止とはいかないでしょうから、規制強化に向けた姿勢を示せば、高市さんと連立を組みましょうかというところまで話をしていました」

 だが、最終的に連立に加わったのは日本維新の会だった。福島氏は続ける。

「維新もその時、私たちと一緒に企業・団体献金の禁止法案を共同で提出していました。でも、連立を組む時に維新はそれを取り下げると言って、それで出てきたのがこの定数45削減なんです」

 福島氏は「身を切る改革」という言葉の使われ方にも疑問を投げかける。

「それが身を切る改革だというなら、定数を45減らして、いくら税金が節約できるのか。年間の経費で私が試算したら、大体30億円程度です。30億円とは何かというと、日本維新の会がもらっている政党助成金とほぼ同額なんです。身を切る改革だと言うなら、維新が政党助成金をもらわなければそれで済む話です」

「私は無所属だったので政党助成金をもらっていませんでした。それでもちゃんと政治活動はできています」

 さらに福島氏は、高市早苗首相が「比例のみ」の削減にこだわる背景についてもこう語った。

「高市総理の本音は、この比例だけ45削減をすれば公明党を潰せると思っているからです。そこに維新が、公明党を潰しうる案を持ってきた。今、高市さんと維新だけが、公明党潰しを目的にこの比例部分の45削減をやっているというのが私の見立てです」

 大阪では公明党が維新にたびたび攻勢を受け、議席を減らしてきた経緯がある。福島氏はこの構図についても、こう応じた。

「お互いの利益がそこで一致した、ということです」

 福島氏自身、2014年は比例復活で議席を得て、2026年2月は僅差で復活なく落選した「制度の両側」を経験した政治家でもあり、その発言は重みが違う。

「ここで野党が引いたらダメだと思いますよ。最大限戦う局面が来たから、今国会が止まっているのは当然のことだと思います」

 番組ではこのほか、なぜ日本が「失われた30年」に陥ったのかという福島氏自身の選挙制度論、超党派の選挙制度改革議員連盟で検討されてきた具体的な制度案、2024年末に一時浮上した野党連立構想の内幕、皇室典範改正をめぐる全体会議での福島氏自身の関わりについても語られている。連立の舞台裏で実際に何が交わされたのか──その生々しいやり取りは、対談本編でどうぞ。

■ 本稿で触れられなかった主な論点

・日本政治の「劣化」論 ── なぜ失われた30年が生まれたのか(05:52〜19:56)

政権交代への期待外れ、「野党第一党ボーナス」という構造、そして「人物より党」で選ばれる政治家が目先の人気取りばかりを優先するようになった結果、小選挙区比例代表並立制の30年間と日本経済停滞の30年間が重なったのは偶然ではない、とする福島氏の持論。

・超党派議連が検討した選挙制度改革の具体案(23:58〜29:57)

中選挙区連記制、3人区中心の単純小選挙区制、都道府県単位の非拘束名簿式比例代表など、超党派の議員連盟で交わされた具体的な制度案の中身。

・AI時代の民主主義とくじ引き論(36:18〜39:56)

AIが投票先を助言する現状への懸念や、抽選制議会(くじ引きで議員を選ぶ案)の是非をめぐる福島氏自身の考え。

・幻の「玉木連立」構想の舞台裏(45:31〜47:59)

2025年10月、野党国対委員長会談の場で日本維新の会・遠藤氏の一言をきっかけに「玉木総理」構想が一時浮上した経緯。

・政治家の「質感」論・野中広務氏のエピソード(52:45〜56:24)

インターネット時代に希薄になりがちな政治家と有権者の対話について、野中広務・元官房長官との実体験を交えた福島氏の持論。

・森友学園問題との類似性(1:09:47〜1:14:00)

福島氏がかつて追及した森友学園問題と、現在の「早苗トークン」問題に共通する構図についての指摘。

動画:2026年7月1日(水)「衆院『比例45減』を問う!」ゲスト:福島伸享 前衆議院議員

よくある質問(FAQ)

Q1.政党交付金(政党助成金)とはどのような制度です

A.政党助成法に基づき、国庫から各政党に交付される資金。直近の国政選挙の得票数や国会議員数に応じて交付額が算定される

Q2.衆議院の政治改革特別委員会とはどのような委員会ですか

A.衆議院に設置される特別委員会の一つで、選挙制度や政治資金のあり方など、政治改革に関する法案を審議する。

Q3.首相指名選挙とはどのような手続きですか

A.内閣総理大臣を国会が指名する手続き。衆参両院で指名が異なった場合は両院協議会を経て、衆議院の議決が優先される。

関連リンク

公明党「企業献金の規制強化 不信払拭へ今国会で法改正を」(2025年10月28日)

衆議院「福島伸享 議員プロフィール」

Japan In-depthチャンネル「衆院『比例45減』を問う!」(本編動画)

写真)福島伸享前衆議院議員

ⒸJapan In-depth編集部




この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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