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.政治  投稿日:2026/9/27

台湾有事より先に「日本有事」か 山田吉彦氏が警告する尖閣・認知戦・海底ケーブル


本稿のポイント

・山田吉彦参議院議員は、台湾有事より先に尖閣などで「日本有事」が起きる可能性を指摘した。

・中国の認知戦は偽情報の拡散だけでなく、「抵抗しても無駄だ」という空気をつくることも狙う。

・台湾側が尖閣問題について語った「暗黙のルール」には、日台関係の現実と危うさが表れている。

「台湾有事は日本有事」と繰り返されてきた。だが、台湾を訪問した国民民主党安全保障調査会長の山田吉彦参議院議員は、順番が逆になる可能性を指摘する。中国が先に尖閣諸島など日本側を揺さぶれば、「日本有事」が台湾の安全を左右するからだ。武力衝突の前に始まる認知戦、海底ケーブル、日台間の「暗黙のルール」。現地で台湾側と対話した山田氏が見た危機の実像とは何か。

本稿は、Japan In-depthチャンネルで配信した山田吉彦参議院議員へのインタビューをもとに、主要論点を整理したものです。

▶ 本編動画はこちら 「アジア安全保障最前線 最新レポート」

なぜ「日本有事が台湾有事」になるのか

番組で山田氏が語ったのは、台湾を一方的に「守る」という発想ではない。台湾側との意見交換では、逆に「日本は大丈夫なのか」と問われたという。

山田氏は、尖閣諸島が先に奪われれば、中国が東シナ海で制海権を強め、台湾を取り巻く環境が一変すると説明。「台湾有事は日本有事」ではなく、「日本有事が台湾有事になる可能性の方が高い」と指摘した。

これは言葉を入れ替えただけではない。台湾海峡で全面衝突が起きる前に、日本の離島、領海、通信インフラ、世論空間が試される可能性があるという警告だ。日本にその準備があるのか。山田氏によれば、この見方を共有する安全保障関係者はまだ「ごくわずか」だという。

【まず1分で見る】ショート動画「日本有事が台湾有事」

18:33 日本に向けた認知戦 「日本有事が台湾有事」に?

台湾側が語った尖閣の「暗黙のルール」とは

山田氏は台湾の海巡署(中華民国の海洋委員会に属する沿岸警備隊)関係者との議論で、尖閣諸島をどう考えるのかと直接尋ねた。相手は笑みを見せながら、「日本と台湾の間には暗黙のルールができているだろう」と答えたという。

ここで注意したいのは、台湾側が領有権について明確な言葉を示したわけではないことだ。主権を正面からぶつければ、双方とも簡単には引けない。一方、漁業者の生活や海域の安定を守るため、日台漁業取り決めのような実務上のルールを積み重ねることはできる。山田氏はこれを、隣り合う者同士が衝突を避けるための「知恵」と捉えた。

しかし、暗黙の了解は、日本が尖閣を守る意思と能力を示してこそ成り立つ。番組では、かつて議論された船だまりの整備や公務員常駐が進まず、石垣市による上陸調査も認められていない現状に触れた。台湾側の短い回答を山田氏がどう受け止めたのかは、本編で確認してほしい。

20:32 台湾側に尖閣を直接聞いた答えは「暗黙のルール」

中国の認知戦は何を狙っているのか

認知戦とは、情報を使って人々の認識や判断に働きかけ、相手社会の意思決定や行動を自国に有利な方向へ導く戦いを指す。山田氏は、中国の戦略について「気づくと日本が悪くなっている」と表現した。海外で日本の主張が疑われる状況ができてから反論しても遅い、という問題意識だ。

さらに山田氏は、「第1列島線はすでに中国が押さえ、次は第2列島線だ」という空気そのものも認知戦になり得ると分析した。中国の力を過大に語り、対抗しても無駄だと思わせる。一方で危機を過度に煽り、強硬な反応を引き出せば、日本や台湾の側を「過激」に見せることもできる。

必要なのは、危機を過小評価することでも、刺激的な情報に反射的に乗ることでもない。山田氏は、事実を冷静に示しながら、やるべき備えを進めることが重要だと語る。その難しさこそ、切り抜きだけでは伝わりにくい今回の核心である。

10:15 中国の巧妙な認知戦 気づけば日本が悪者に

なぜ海底ケーブルの防護が重要なのか

認知戦が情報の内容を変えるものなら、海底ケーブルの切断は情報の通り道そのものを断つ。山田氏は、台湾が海底ケーブルの防護を重視し、中国の圧倒的な物量に対抗するため、水中ドローンを含む技術開発を進めていると説明した。

日本と台湾は、通信網をどう守るのか。海洋調査や海底資源開発にも使える技術をどこまで共有できるのか。安全保障と民生利用が重なる水中技術は、今後の日台協力を考える具体的な入口になる。番組では、金門島が中国大陸から水の供給を受ける現実や、中国海警船と台湾側警備艇の緊張した接触も語られた。地図だけでは分からない最前線の温度差が浮かび上がる。

13:13 海底ケーブル切断と水中ドローン

日本にはどのような備えが必要なのか

台湾有事を論じるとき、日本は台湾をどう支援するかという問いに偏りがちだ。しかし山田氏の現地報告が突きつけるのは、その前に日本自身を守れるのかという問いである。尖閣、海底ケーブル、認知戦は別々の問題ではない。平時と有事の境界を曖昧にしたまま、日本の対応力を試す手段としてつながっている。

なぜ台湾側は日本を心配したのか。尖閣をめぐる「暗黙のルール」はどこまで機能するのか。中国の発信に過剰反応せず、しかも備えを怠らないためには何が必要なのか。山田氏の答えは、短い結論よりも、その根拠をたどることで意味が見えてくる。ぜひ本編で確認してほしい。

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よくある質問(FAQ)

Q1 「日本有事が台湾有事」とはどういう意味ですか。

A1 山田氏は、台湾海峡での全面衝突より先に、尖閣諸島など日本側で危機が起きる可能性を指摘しています。尖閣をめぐる状況が変われば、東シナ海の制海権や台湾の防衛環境にも影響するという見方です。

Q2 認知戦とは何ですか。

A2 情報を通じて人々の認識や判断に影響を与え、相手社会の意思決定や行動を自国に有利な方向へ導く活動です。偽情報だけでなく、相手に無力感や分断を生じさせる発信も含まれます。

Q3 台湾は尖閣諸島を日本領と認めたのですか。

A3 今回の番組で紹介された台湾側の直接の回答は、「日本と台湾の間には暗黙のルールができているだろう」というものです。領有権について明示的に日本の立場を認めた発言として扱うべきではありません。

Q4 なぜ尖閣諸島の危機が台湾有事につながるのですか。

A4 山田氏は、中国が尖閣諸島周辺で優位を確保すれば、東シナ海の制海権や台湾を取り巻く安全保障環境にも影響が及ぶと指摘しています。このため、台湾海峡での全面衝突より先に日本側で危機が起きる可能性があるとみています。

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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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