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.国際  投稿日:2026/10/9

地雷攻撃受けても金正恩にひれ伏す李在明大統領(上)


朴斗鎮(コリア国際研究所所長)

本稿のポイント

・韓国軍は、非武装地帯(DMZ)で発生した地雷爆発について、北朝鮮軍が設置した対人地雷によるものと判断した。

・しかし李在明大統領は、北朝鮮による「挑発」と明確に位置づけず、「不慮の事故」と表現するなど、対北朝鮮融和路線を崩していない。

・一方、李大統領は北朝鮮軍兵士の韓国入りをめぐってウクライナのゼレンスキー大統領側に強く反発しており、その対応の違いが韓国内でも批判を招いている。

韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が国連で北朝鮮に対して「平和」を連呼する直前の9月21日、京畿道坡州(パジュ)の西部戦線で北朝鮮が韓国側非武装地帯(DMZ)に仕掛けた地雷が爆発した。韓国軍は、李大統領の国連演説を忖度してか、この調査を1周間もずらし行っていたが、10月5日にその結果を発表した。

地雷爆発は北朝鮮の挑発と断定、1年前から察知

韓国軍合同参謀本部のクォン・デウォン次長は記者会見を行い、南北軍事境界線(MDL)非武装地帯(DMZ)で起きた爆発について、国連軍司令部との共同調査結果と科学的根拠に基づき、北朝鮮が韓国側に設置した樹脂(プラスチック)製対人地雷と最終判断した」と調査結果を発表した。

クォン次長は、国連軍司令部も地雷が人為的に配置されたもので、設置時期は12か月以内だとの見解を示したとし、実際に発見された地雷と爆発した地雷の間隔などを考慮すると、流失した地雷ではなく、埋設された典型的な北朝鮮軍の地雷と判断したと説明した。

この地雷爆発で韓国軍中尉ともう一人の兵士が足をふっ飛ばされ、残り1名が負傷を負った。だが李在明大統領は負傷兵を慰問せず、Xでの慰労メッセージにとどめた。国民の中からは「軍の統帥権者としてあるまじき行為」だとの批判が殺到した。

李在明の対北朝鮮「平和」路線に従う国防部は、昨年9月に衛星で北朝鮮軍が休戦ラインを韓国側に越境して地雷を埋めていた痕跡を認知しながら1年間も対応していなかった。前任の第25師団長だったハン・ギソンが非武装地帯(DMZ)内での作戦を行わなかったためだ。

そればかりか、韓国軍は地雷爆発後もすぐさま調査に入らなかった。韓国国防部は当初、国連軍司令部の共同調査申し出も断っていた。記者からの鋭い質問に「調査してみなければ結論を出せない」と、はぐらかしの答弁で一貫し、29日から調査するとした。しかし非難世論が高まるや、6日が経過した27日にやっと調査に入った。

その間、非武装地帯一帯は、雨が振り続けていたため証拠物が流失しないかと心配されたが、なんとか証拠を確保した。国防部調査隊は28日になって、爆発事故は北朝鮮軍の樹脂(プラスチック)製対人地雷によるものと結論づけた。2015年8月の木箱地雷による挑発以来、北朝鮮軍の地雷で韓国軍将兵が重傷を負ったのは11年ぶりだ。

北朝鮮の地雷挑発を「不慮の事故」と言明した李在明

だが李在明政権は、調査結果が出たこの日、この調査が最終的な調査ではないとして、北朝鮮への警告声明など批判メッセージは出さなかった。相応の対応を行うとして取った措置は、負傷兵への慰問と国民向けの発表だけだった。北朝鮮に対して断固たる措置を取る対応は行わなかった。

そうした李在明政権の軟弱な対応を見た金正恩は、金与正部長に談話を発表させ(9月29日)この地雷爆発を「韓国の自作自演」と決めつけ、嘲笑った。

金与正談話に怯んだのか、李在明大統領は10月1日、国軍の日の記念演説で地雷爆発事故を国防部発表とは異なり「不慮の事故」と位置づけ、北朝鮮が意図的に仕掛けた「地雷による挑発」とはしなかった。この対応こそが李在明が唱える対北朝鮮「平和共存」の中身といえる。

しかし北朝鮮の金与正は、ひれ伏す李在明に再びムチを打った。10月2日の談話で「ソウルは今回、自分らの利己的目的のために朝鮮半島情勢をもう一度重態に陥れようとする凶悪な本性を濾過(ろか)なくすっかりさらけ出した」「率直に言って、われわれは韓国という一族を意識することさえ身の毛がよだつ」と罵倒したのである。

それでも李在明大統領は、断固たる対抗措置を取るとは言わず北朝鮮の金正恩にひれ伏している。

金正恩にはではなくゼレンスキーに噛みついた李在明

金正恩には、対抗措置を取るとは一切言わない李大統領だが、ウクライナのゼレンスキー大統領が、捕虜になった北朝鮮軍兵士2人を最近韓国へ送ったと国連総会で明らかにした(9月23日現地時間)途端、メキシコを国賓訪問中であったにもかかわらず、「合意違反だ」と猛烈に反発し謝罪を要求した(9月24日)。しかしウクライナ側は、そのような合意は行っていないと直ちに反論した。李在明政権は、ウクライナ側の反論に対抗して10月8日に駐ウクライナ大使の本国召喚を決定した。

この問題について韓国では、北朝鮮の捕虜兵士2名が韓国行を望んでいたのはすでに公開された事実なのに、安全に韓国入りした後にそれを公開することに何の差し障りがあるのか?と李大統領を批判する声が沸き起こった。これに逆上した李大統領は、私を批判をする者たちは売国奴であり、殺人者だと怒り狂った発言を行い、国民からひんしゅくを買った。

この李在明の様子を見た韓国民の中には、李大統領が怒り狂うのは、脱北した青年を北朝鮮に強制送還した文在寅政権時のように、「貢物」として金正恩に送り返そうとしたのではないかとの憶測まで出し始めている。

(下)に続く

【よくある質問FAQ】

Q1.今回の地雷爆発について韓国軍はどのように判断したのか?

A.韓国軍は、国連軍司令部との共同調査などを踏まえ、北朝鮮が韓国側のDMZに人為的に設置した樹脂製対人地雷による爆発と判断した。

Q2.地雷爆発によって韓国軍にどのような被害が出たのか?

A.韓国軍の中尉と兵士1人が足を失う重傷を負い、さらに1人が負傷したとされる。

Q3.李在明大統領は地雷爆発をどのように表現したのか?

A.李大統領は10月1日の国軍の日の記念演説で、地雷爆発を「不慮の事故」と位置づけた。北朝鮮による「挑発」と明確に表現しなかったことが、批判の対象となった。

Q4.金与正氏は地雷爆発について何と述べたのか?

A.金与正氏は談話で、地雷爆発について韓国側の「自作自演」だと主張し、韓国政府を厳しく批判した。

Q5.李在明政権はなぜウクライナ側に反発したのか?

A.ゼレンスキー大統領が、捕虜となった北朝鮮軍兵士2人が韓国に送られたことを明らかにしたことをめぐり、李大統領は「合意違反」だとしてウクライナ側に謝罪を要求した。ウクライナ側は、そのような合意はなかったと反論している。

 

(本稿のポイント、リード、FAQの文責:Japan In-depth編集部)

トップ写真:メキシコ公式訪問中に話す韓国の李在明大統領(2026年9月24日)

出典:Cristopher Rogel Blanquet/Getty Images




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