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.国際  投稿日:2014/8/21

<バヌアツ34回目の独立記念日>75年リースで借地権が転売され地価が上昇しても地主には還元されない?


相川梨絵(フリーアナウンサー/バヌアツ共和国親善大使)

執筆記事プロフィールBlog

7月30日はバヌアツの独立記念日、1980年の独立から今年は34回目にあたります。今回は、独立時の初代大統領ジョージ・ソコマヌ氏と現首相ジョー・ナツマン氏の記事をご紹介します。

初代大統領ジョージ・ソコマヌ氏とは、個人的にとても親しくさせてもらっています。善悪をしっかりとわきまえて正義感があり、それでいて、とても気さくな方です。彼のインタビューで印象的だったのは、「独立を果たすには、国民に納得してもらう為の大きな勇気と決断と忍耐が必要だったが、何としても、自分たちのアイデンティティーを取り戻さなければならなかった。」という言葉です。

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それ以前のバヌアツはイギリスとフランスの共同統治でした。自分達の国を取り上げられ、もともと住んでいた彼らはイギリス人でもフランス人でも無い。ただ、そこに住んでいる人だった。自分達のパスポートを持ったときの喜びはひとしおだったそうです。彼らにとって、自分達の国を自分たちで動かすという当たり前のことが、本当の喜びなのです。

そして、現首相ナツマンの記事は、今年の独立記念セレモニーでのスピーチを掲載しています。毎年、このセレモニーは盛大に行われます。多くの人があつまり、機動隊、ポリス、周辺諸国の軍などの行進、マーチングバンドなど見ごたえたっぷりの式典です。それだけ、独立に対する国民の思いは大きいのでしょう。さらに今年は、リモコンヘリカメラも登場。この最新式カメラでTV中継しました。バヌアツにこんなカメラがあったとは!独立記念日にかける意気込みがお分かりになると思います。

ナツマン氏はスピーチで、独立当初の人達の功績をたたえると共にフランスからキリスト教を得たことはプラスだった語りました。さらに、現在の国が抱える問題について言及したのです。それは、土地問題です。

バヌアツの人々は、植民地時代に土地を取り上げられました。独立後、土地の所有権はもともと住んでいた人たちの元へ戻りました。同時に、その土地を75年のリース契約で借地することができる、と法律で定めました。しかし、現時点ではそれ以降のことは何も決まっていません。

ナツマン氏は75年経った後の地主の土地所有権について危惧しています。少し前まで、バヌアツは土地バブルでした。外国人が海の見える素敵なロケーションの土地の借地権を買い、値段が上がると転売を繰り返し、どんどん売買価格が上がりました。一億円以上の借地権付きの家なんて普通です。

借地権を転売する外国人は大きな利益を得ます。これに魅力を感じて沢山の外国人がバヌアツの土地に投資しています。その一部がバヌアツの経済を潤している側面は否定しません。しかし、いくら借地権が売買されても、その利益は地主には還元されていないのです。

75年後の2055年、現地人の地主は、実際に住んでいる借家人に対し退去を命じることが出来るのでしょうか? 借地権の更新料を受け取るようになるのでしょうか? 現地の人にとって有利な法整備が望まれます。やがて、バヌアツの人口も増えるでしょう。独立記念日を機に、彼らが、自分達の土地で生活できるようにしなければならない、と思いました。

国名の「バヌアツ」は我々の土地という意味です。やっと取り戻した「バヌアツ」の土地。自分達の力で住みやすい素敵な国に成熟させてほしいと切に願っています。

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