[安倍宏行]自転車逆走禁止!〜12月1日より改正道路交通法が施行
Japan In-Depth編集長
安倍宏行(ジャーナリスト)
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自転車は道路を逆走しちゃいけないんだよ。 え?前からそうじゃないの・・・?
実はそうじゃなかったらしい。
道路交通法が今年の6月に改正され、12月1日から施行されたのだ。自転車が道路の路側帯を走る場合、車道と同じ左側通行に統一された。自動車との正面衝突を避けるためだという。違反した場合、「3か月以下の懲役か5万円以下の罰金」が科される。何故か、歩道上は左右どちらも通行できるらしい。将来的には悪質な自転車運転車に対して、安全講習の受講が義務化されるという。これは2015年6月までに施行だそうだ。車並みの厳しさとなる。
さて、3.11以降格段に増えた自転車通学、通勤。朝の都心の道路は、バスレーンを3列に並んだ自転車が占拠し、バスは自転車よりゆっくり走っている状態。交通渋滞を引き起こし、その結果、自転車がバス停で停まっているバスや、路肩の違法駐車車両を避けて、中央車線や追い越し車線にまではみ出し、ジグザグ走行することも普通だ。私は自転車と車、もしくはバイクとの接触事故を目撃した事は無いが、タクシーの運転手に聞くとかなり多いそうだ。これだけ自転車が増えてくると当然事故の確率は高くなる。
平成24年の自転車乗用中の交通事故件数は13万2,048件。毎年微減だが、交通事故件数に占める割合は、19.9%といまだ高い。また、自転車乗用中による死傷者数はおよそ13万人と交通事故全体の死傷者数に占める割合は15.9%と高い数値を示しており、このうちの4割を若者と子どもで占めている。なんとも痛ましことだ。
筆者はかねてより、自転車専用道路の増設を主張している。日本は道路が狭く、中々自転車専用レーンを作る事が出来ないところも多い。したがって、
- 比較的広い道路 歩道を歩行者専用と自転車専用に分離する。
- 狭い道路 車道の歩道寄りに色分けした自転車専用レーンを作る。
の2段構えでやるしかないだろう。
また、逆走禁止は当然だが、歩道上の危険な運転に対する罰則も今となっては必要なのではないか。前から後ろからものすごいスピードで走行してくる自転車を生活弱者がとっさによける事は不可能に近い。なにせ、自転車運転者も歩行者も音楽を聞いているケースが多く、お互い注意散漫だ。また歩行者はスマホを見ながら歩いているケースが多く、これまた注意力の低下につながっている。
まず、速やかに歩道上の逆走も禁止する。さらに制限速度を設定し、危険運転者への罰則強化を行う。危険運転者とは、整備不良車(ブレーキがついていないピスト車など)を運転する者、音楽プレーヤーを使用しながら運転している者、携帯を使用しながら運転しているもの、歩道を時速20キロ位以上で運転している者、ジグザグ走行など、危険と判断される運転をしている者などを指す。さらに、放置自転車、不法駐車自転車の罰金も増やし、歩道における事故の確率を下げるべきだろう。
自転車運転者からは、厳しすぎるとの意見が出ようが、自分が歩行者の時を考えてみればよい。いつ自分が加害者になるか、被害者になるか、わからないのだから。
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