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国際  投稿日:2016/2/10

米はアジア・太平洋への関与拡大せよ

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古森義久(ジャーナリスト/国際教養大学 客員教授)

「古森義久の内外透視」

アメリカは将来、アジア・太平洋地域での安全保障のためになにをするべきか――ワシントンの大手研究機「ヘリテージ財団」が2月上旬、一連の政策提言を発表した。

オバマ政権はこれまで日本を含むアジアや太平洋地域での安定や安全保障のためとして「アジアへの旋回」とか「アジアでの再均衡」という政策スローガンを掲げてきた。その内容はいろいろの要素を含むが、「ヘリテージ財団」はこの政策提言のなかで「オバマ政権のこれまでの政策は成功と失敗の両方があった」としてその失敗部分の是正のためとして以下の5つの具体策を提起した。その内容は次のとおりだった。

(1)国防予算の削減停止

アメリカがアジア・太平洋地域での主要なパワーとしてその平和と安定を保つには戦争抑止のための軍事力が必要となる。とくに海軍力の堅持が重要で、そのためにはオバマ政権の財政赤字削減のための国防予算の大幅カットは停止されねばならない。海軍艦艇はオバマ政権の目標の308隻ではなく350隻としなければならない。

(2)同盟国やパートナーの支援

オバマ政権が安保条約を保つ同盟諸国との関係を強め、さらにインド、シンガポール、オーストラリアと安保パートナーのきずなを増大したことは好ましく、今後もその努力を続けるべきだ。北朝鮮の増大する脅威に直面する韓国への安保支援を増加すべきだ。中国に対抗するためフィリピンとタイへの同盟国支援も増さねばならない。

(3)東南アジアへの関与の拡大

オバマ政権は東南アジア諸国連合(ASEAN)への関与を深め、支援を増大してきたが、以後の政権もこの傾向を強化していくべきだ。アメリカの歴代政権の東南アジアに対する政策はかなりの変動を経たため、東南アジア諸国側にアメリカに強い支援の継続を必ずしも期待しない向きもあるようだが、政策の一貫性が望ましい。

(4)対中関係の将来への地固め

まず中国の南シナ海での領土拡張に対し「航行の自由」作戦の定期的実行で強固に対応する。対中経済関係の安定した継続に努める。オバマ政権が実施した中国との「対話」は数が多すぎて、非生産的になった部分が少なくないため、アメリカ政府側の時間や精力を節約するための整理を進める。

(5)台湾への支援の明確化

民進党の蔡英文氏は新総統になっても中国との関係は慎 重を尽くすだろうが、中国との「統一」への反対は変わらないだろう。アメリカは蔡政権に中国への慎重な対処を促す一方、台湾の安全保障を支援し、住民の自決の権利を支持すべきだ。新鋭の戦闘機、潜水艦がとくに必要だろう。

結論としてアメリカは以上の政策を踏まえてアジア・太平洋地域で傑出したパワーであることを続ける。平和、自由、安保、繁栄を目標としてのリーダーシップが欠かせない。

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この記事を書いた人
古森義久ジャーナリスト

産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授。1963年慶應大学卒、ワシントン大学留学、毎日新聞社会部、政治部、ベトナム、ワシントン両特派員、米国カーネギー国際平和財団上級研究員、産経新聞中国総局長、ワシントン支局長などを歴任。ベトナム報道でボーン国際記者賞、ライシャワー核持込発言報道で日本新聞協会賞、日米関係など報道で日本記者クラブ賞、著書「ベトナム報道1300日」で講談社ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。著書は「危うし!日本の命運」「中・韓『反日ロビー』の実像」「トランプは中国の膨張を許さない!」など多数。

古森義久

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