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国際  投稿日:2016/5/3

東南アジアで絶大な人気 安倍ドクトリン

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                    古森義久(ジャーナリスト・国際教養大学 客員教授)

「古森義久の内外透視」

アメリカの首都ワシントンの外交政策論壇は国際情勢の現状を敏速に映し出す。単にアメリカだけでなく他の各国の学者や政治家の見解が論文その他の形で常に公表され、論議を広げるからだ。さすが超大国での外交論議だといえよう。

そのワシントン外交論題でこのところ顕著なのは安倍政権の対外政策への評価への高まりである。日本の対外姿勢への前向きな反応がアメリカのみならず、アジアの多数の諸国でも急上昇していることが反映されているのだ。

この点は日本の野党や「権力の監視」を自認する一部メディアの対応とは正反対の注視すべき現実だといえよう。安倍外交の前向きな評価が最も話題にならない国は当事国の日本だというような印象なのである。

以下、ワシントンの論壇での3月から4月にかけての現象を報告しよう。

アジア研究が主眼の「ワシントン東西センター」は「モディ首相のインド未来図の中の日本」という論文を紹介した。筆者はインドの「防衛分析研究東アジアセンター」の研究員ティトリ・バス氏だった。内容はモディ首相のインドの安全保障や経済の長期発展構想では日本が致命的に重要な部分を占めているという趣旨だった。

女性学者のバス氏は安倍晋三首相の2015年12月のインド公式訪問で両国が結んだ防衛協力協定のインド側への実益を強調し、経済面ではインドのインフラ建設や製造業発展に日本の投資や援助が欠かせないことを指摘していた。そのうえで安倍首相の戦略志向へのモディ首相やインド各界の強い敬意や信頼を力説していた。

ワシントンの大手シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」のフォン・グエン研究員は「東南アジアは日本の安倍ドクトリンの旋律に協調する」と題する論文を発表した。グエン氏はベトナム系アメリカ人の女性学者で東南アジア諸国のアメリカや中国、日本への政策を研究してきた中堅専門家である。グエン氏はいまの日本が「東南アジアで絶大な高人気を保つ」と強調し、その理由を主に安倍外交に帰して次のように述べていた。

「安倍首相は東南アジア諸国と緊密な安全保障の協力を積極的に築き、この地域での日本の影響力を堅固にした。とくに南シナ海で中国との領有権紛争を抱えたフィリピンやベトナムという諸国との安保協力に重点をおいたが、同時にラオスや東チモールという小国との関係も強化してきた」

「安倍首相は日本が東南アジアで年来、築いてきた経済基盤の上に確固たる地政学的な土台を構築しようとしている。そのためにアメリカの防衛関係を強めながらも同時に東南アジア諸国が安保面で相互連帯を強化できるよう支援してきた。この新関与政策は安倍ドクトリンと呼ぶべきだ」

肝心のアメリカでも安倍政権への超党派の評価が一段と高くなった。日米同盟の堅固さや円滑さは近年の歴史でも最高に近くみえる。安倍政権下で平和安全法制関連二法が施行され、米側が長年、期待してきた集団的自衛権解禁が実現したことへの歓迎はとくに強い。

そんな現状を反映した論文が「太平洋フォーラムCSIS」から発表された。アメリカ海兵隊出身の日米同盟専門家グラント・ニューシャム氏の「安倍首相を在任中に享受しよう」と題する論文だった。

この論文は安倍首相を「戦後の日本でも最も行動的な防衛政策、最も積極的な外交政策を推進する首相」と称賛しながら、もし安倍氏が退陣すれば、また内向きの平凡な首相に逆戻りするという事態も米側は想定せよと警告していた。

アメリカからアジアに広がるこの種のいまの日本評価は日本の野党などには「不都合な現実」なのだろうが、国際的な現実であることは否定できない。

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この記事を書いた人
古森義久ジャーナリスト

産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授。1963年慶應大学卒、ワシントン大学留学、毎日新聞社会部、政治部、ベトナム、ワシントン両特派員、米国カーネギー国際平和財団上級研究員、産経新聞中国総局長、ワシントン支局長などを歴任。ベトナム報道でボーン国際記者賞、ライシャワー核持込発言報道で日本新聞協会賞、日米関係など報道で日本記者クラブ賞、著書「ベトナム報道1300日」で講談社ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。著書は「危うし!日本の命運」「中・韓『反日ロビー』の実像」「トランプは中国の膨張を許さない!」など多数。

古森義久

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