[山田厚俊]1080万都民は誰を選択するのか?〜“後出しジャンケン”優位の都知事選で、細川護煕が用意周到なメディア戦略
山田厚俊(ジャーナリスト)
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2014年1月14日、閣議で次期通常国会の日程が1月24日から開催することが決まった。会期は150日間で6月22日まで。デフレ脱却を掲げる安倍晋三首相は通常国会を「好循環実現国会」と位置付け、経済再生の実現を図る考えだが、そんな国会を前に永田町での話題はもっぱら都知事選だ。
徳洲会マネー疑惑で猪瀬直樹氏が都知事を辞任したことにより1月23日告示、2月9日投開票で行われることとなった東京都知事選。舛添要一元厚労相の出馬がほぼ確定的となり、無風と見られていた都知事選だったが、細川護煕元首相の出馬が決定的となって事態は一変した。
そのきっかけとなったのが、1月9日の朝日新聞・朝刊1面。「細川元首相、都知事選候補に浮上 『脱原発』争点に」。この記事を受け、他社が後追い。
「舛添氏が事実上の出馬宣言をした後、一番効果的なタイミングを見計らって出したような記事だ。細川氏の出身母体、朝日が書いただけに、用意周到さを感じずにはいられない」
他社の記者はこう言って悔しがる。
確かに、絶妙のタイミング。元々、“後出しジャンケン”優位と言われる都知事選で、ネームバリューのある細川氏のサプライズ出馬、しかも細川氏の背後に控えている小泉純一郎元首相との「原発ゼロ」タッグとなれば、報道は細川氏中心に傾くことは確実だ。見事なメディア戦略が垣間見える。もし、細川氏が都知事になれば、途端に国政に飛び火する。右傾化路線まっしぐらの安倍内閣の足元がぐらつき、野党再編は一気に加速していくだろう。
しかし、あくまでも東京都という自治体の首長選挙。「原発ゼロ」が争点となり得るのか、それとも違った施策の訴えが都民の心に響くのか。さまざまな思惑が交錯しながら、間もなく選挙の火ぶたは切って落とされる。果たして、1080万都民の選択はどうなるのか。
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