.政治  投稿日:2016/6/16

舛添知事辞職で残ったモヤモヤ感

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山田厚俊(ジャーナリスト)  

本来なら、もう一定の総括をして、次期都知事選に目を向けるべきところなのだろうが、最後までしっくりいかないモヤモヤ感、後味の悪さだけが残った印象だ。

もちろん、政治資金支出などを巡る公私混同問題のご本人、舛添要一都知事に対してだ。東京都議会は6月15日午後8時前、舛添都知事から出されていた辞職願に全会一致で同意。このことにより、舛添都知事の21日付での辞職が正式に決定した。

では、何がモヤモヤ感なのか。舛添都知事は15日、都議会で退任のあいさつを述べた。2分28秒のこのあいさつに、あ然としたのは筆者だけだろうか。この一節をご覧いただきたい。

少子高齢化の流れの中で、保育施設の充実や地域包括ケアシステムの構築に取り組み、一定の成果もあったのではないかと思っております。

舛添氏は14年の都知事選では「4年間で待機児童ゼロ」を公約に掲げて当選したはずだ。ところが、東京23区の待機児童数は増えるばかりで、前年より526人増(前年比10.9%増)の5358人(出典・朝日新聞DIGITAL、2016年6月11日付)。

今年2月、匿名ブログ「保育園落ちた日本死ね!!!」が国会でも取り上げられ、安倍晋三首相の答弁をめぐり、国会にお母さんたちが抗議行動に押し寄せる問題となった。待機児童が一向に減らず、その胸中をブログで吐露したのは、東京都の主婦だった。

この問題一つ取っても、何もやっていないとの誹りを受けても仕方ないだろう。ご本人はそちらに何の有効策も打ち出さないまま、美術館巡りを頻繁にしていたのだから。

もし仮に、さまざまな施策を打ち出し、都民と膝を突き合わせて協議を重ねていたとしたら、このような批判の嵐にはならなかったもしれない。しかし、ご本人が個人的に興味を持つものだけに熱心で、多くの都民の関心事をないがしろにされていたというのでは、大バッシングも致し方ないだろう。

さらに、大きな疑惑の一つも藪の中。千葉県のホテルで政治的な会議をしたという出版社社長の存在も明かされずじまいだった。都民が舛添氏の公私混同問題に興味を持つのは、「事実が知りたい」の一点のみだ。これも、うやむやにされたままフィナーレを迎えるのでは、政治全体に対する不信、怒りは膨れ上がったままになってしまう。

だからこそ、これらのモヤモヤ感を一掃してほしい。でないと、次の都知事選に多くの有権者は踏み出せないだろう。

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この記事を書いた人
山田厚俊ジャーナリスト

1961年、栃木県生れ。東京工芸大学短期大学部卒業後、建設業界紙、タウン紙の記者を経て95年4月、元大阪読売社会部長の黒田清氏が代表を務める「黒田ジャーナル」に入社。阪神・淡路大震災の取材に加わる。震災取材後、事務所から出向する形でテレビ制作に携わる。黒田氏死去後、大谷昭宏事務所に転籍。2002年から週刊誌で活動を始める。2009年2月、大谷昭宏事務所を退社。フリー活動を開始。週刊誌をはじめ、ビジネス誌、月刊誌で執筆活動中。

山田厚俊

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