.国際  投稿日:2017/2/9

弾劾裁判審査前に反撃 韓国朴大統領インタビュー その1

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朴斗鎮(コリア国際研究所所長)

(この記事は「チョン・ギュジェTV」2017年01月25日放送の翻訳です。訳:朴斗鎮)    

朴槿恵(パククネ)大統領は1月25日、旧正月(1月28日)を前にして、青瓦台の常春斎.(サンチュンジェ)で、インターネット放送「チョン・ギュジェTV」のチョン・ギュジェ韓国経済新聞主筆との単独インタビューに電撃的に応じた(アクセス数195万回 2016年2月9日午後6時半時点)。

インタビューでは崔順実(チェ・スンシル、改名後は崔ソウォン)ゲート後に展開された左派系「ろうそく集会」、保守系「太極旗集会」、国会弾劾訴追案可決、特別検察捜査、憲法裁判所での弾劾審判等について、1時間余り語った。

その中で、メディアなどの各種疑惑報道には誤報とデマがあまりにも多いとし、何か以前から企画されたものではないかとしながらも、崔順実ゲートによる国政の混乱については再び国民に謝罪した。

しかし、疑惑の核心であるミル財団とKスポーツ財団などに対する贈収賄容疑については、憲法裁判所の審議と特別検察の捜査が進行中であるためか具体的言及はなかった。

今回の電撃的インタビューについては、憲法裁判所の弾劾可否をめぐって保守対左派の対立がますます激化(最近は保守のデモが左派のデモ数を上回っている)する中、2月に山場を迎える弾劾裁判審査を前にして大統領が反撃に出たのではないかとの見方もある。

その背景には、JTBCをはじめとするメディア報道のデマと誤報が次々と明らかにされていることや、収賄容疑の核心と言える李在鎔(イ・ジェヨン)サムソン副会長の逮捕が見送られたことなどで、朴大統領の「失政」が弾劾に値するものではないとする世論の広がりがあるようだ。

事実1月26日の慶尚北道・大邱(テグ)における弾劾棄却デモでは、主催者の予想をはるかに上回る数万人が集まった。大邱での世論調査でも朴大統領弾劾に対する賛否は五分五分にまで変化している。その底流には、このままでは韓国が親北・従北朝鮮勢力に支配されるのではないかとする保守勢力の危機感がある。

このインタビューの一部をとらえて、ハンギョレ新聞は、「弾劾が棄却されれば、自身を捜査して批判した検察やマスコミに対して大々的に手を加えると事実上脅迫した」などと曲解し「扇動報道」を行った。

 

インタビューの内容は以下の通り

チョン主筆 どのように過ごしていますか。

パク大統領 重い心で過ごしています。

チョン主筆 数日前、国立ソウル顕忠院に行って来られたと聞きました。

パク大統領 はい、いつも名節の前には参拝し、両親に生前のように言葉を差し上げていますが、今回は複雑で息苦しい心で行ってきたし、言葉も少し長くなりました。

チョン主筆 どのような言葉を?

パク大統領 内容はすべて申し上げることはできません

チョン主筆 何か答えを得られましたか。

パク大統領 そういう面もあります。

チョン主筆 最近国会で、私はその国会議員の名前を口に出すのも嫌ですが、非常識な絵がパロディ画(大統領を風刺したヌード画)を掲示しました。どのように見ておられますか。

パク大統領 人が生きていくうえで、いくらひどくても超えてはならないラインがあると思います。ところが、何の気兼ねもなく、罪の意識もなく、簡単に超えることができるというのを見て、これが韓国政治の現住所ではないか、そんな気がしました。

チョン主筆 今日の午前は、ユ・ジンリョン元文化体育観光部長官が、憲法裁判所で暴露話をしたそうです。どんな気持ちがしましたか。部下の長官として仕事をした人ですがどう思いますか。

パク大統領 長官を務めていたときの言葉と、退任した後の言葉が変わるのは、嘆かわしいことです。

チョン主筆 では質問をいたします。いま多くの国民、弾劾を要求する「ろうそくデモの国民」は、「私たちの指導者がなぜチェ・スンシルのような人間と一緒に同じレベルで仕事をしたのか。また私たちの指導者がもしかしたら判断能力が落ちているのではないかと怒っているということです。もちろん巷間や言論報道で言いふらされた面もありますが、青瓦台で祈祷を行ったとか向精神薬の中毒になっていたという噂もあります。多くの国民が大統領に対する失望感を極大化させています。憤怒ともいえ憎悪とも言えます。このようにしてこれまで3ヶ月が過ぎました。大統領としてその中の一部は、認めることができる部分もあり、何を言っているのか話にもならないねつ造だと思っておられることもあると思われます。いかがですか。

パク大統領 向精神薬を服用したとか祈祷をしたとかその他いろいろ言われていますが、全く事実ではなく全く根拠のない話です。そのような薬物の近くに行ったこともないし、クッの祈祷をしたこともありません。全く根拠のない話です。そうした話が数限りなく作られたのですが、こうした作り話を聞きながらどういう考えをしたかというと、大統領を引きずりおろして弾劾するため、これほどのひどい嘘を作り出さなければならなかったのなら、弾劾の根拠がどれほど脆弱なのか、そんなことを考えました。

チョン主筆 ところがそうしたウソ、とんでもない話が作られたのですが、このとんでもない話が大統領の力でも統制ができませんでした。なぜそうなったのでしょうか。あえてマスコミに圧力を加えないとしても、何らかの方法で、例えば訴訟とか、訂正を求める要請とか、反論とか、このような手順が踏めなかったのですか。

パク大統領 以前もそうしたことがあったのですが、それが一度作り上げられて風が吹けば、いくらそれは違うといって訂正報道の要請をしても、それは間違っていると記者会見で話をしても、これはこうだとの何らかの作り上げられたフレームができてしまうと、それ以外の話は一切受け付けないというそういう風潮があります。それでも今は、このように話をすることができますが、最初は何をいっても「それはすべて違う」という風潮がわが国では強いのです。

チョン主筆 一部の放送で、チェ・スンシルという人物が大統領の演説を添削した、直したと最初の暴露が出てきた時に、すぐに一部を認めました。そして記者会見をもって申し訳ないと話されましたがそれが間違いだったのですか?例えば今になって明らかになったことですが、タブレットPCがねつ造の可能性が高いとされています。ところが大統領になってスタッフが揃うまでチェ・スンシルから一部助言を受けたと認めたことによって、その後に数多く出てきた話まですべてを認めたようになってしまいました。

パク大統領 その謝罪について私にこのようなアドバイスをする人がいます。「私たちの社会では謝罪をしてはならない。間違ったことをしてももちこたえて謝罪してはならない」と。私はそうは思いません。その時謝ったのは、タブレットPCでさまざまなものが出てきたとの報道がなされた時です。ありえないことだと思いました。私が少し助けを受けたのは演説文の表現や広報的観点から(聴く人が)どのように受け入れるのだろうかということで、ある時期に(アドバイスを)受けただけです。どうしてあれだけ多くのデータが流出していたのだろうか、そこは正さなければならないと思いました。その次に、私も知らなかったことが出てきました。(チェ氏が)私益を得ていたという話ですが、これは初めて聞く話でした。しかしそれを知らなかったということは、結局は「私の不覚ではないか」と思って国民に謝罪申し上げたのです。国民に心配を掛けたことに対して謝罪しなければならない。そう考えたのです。

チョン主筆 しかし結果的には悪い方に行きました。認めたではないかということでその後ほとんどの報道は事実であるかのように拡散させました。チョン・ユンフェさんと密会をしましたか?面前での質問としてはあまりにも失礼な質問ですが。

パク大統領 国の品格が落ちる話です。ありえないあまりにも恥辱に満ちた話だが、最近は普通に話されています。以前ではどうしてそのような話をするのかと憚られていた話ですが、今は普通に話されています。それだけにこれは、何か間違った方に進んでいるという証拠です。口に出して叱るのも恥ずかしい話です。そんなことはありえないことです。質問されたのであえてお話ししますが、チョン氏は就任前のかなり前に離れました。他の事情で私を助けていた仕事を辞めて他の仕事をすることになったのですが、その後会ったこともありません。とんでもない嘘です。一つを見れば十が分かります。こんなに話にもならない噂が、事実に照らせばすぐにもバレる話がこのように次々と出てくることは、どれだけ多くの誤解とフィクションと嘘が山のように積まれているのかを証明していると思います。

チョン主筆 チョン氏とは異なる理由で昔に離れたといいますが、その理由を明らかにすることができますか。

パク大統領 すべて個人的なものです。人には助けたりまた離れたりすることもあり、新しい人が来ることもあります。そこに仰々しい理由をつけて説明することではないのではないですか。

チョン主筆 お聞きするのは心苦しい話ですが、チェ・スンシルとコヨンテ氏の関係は知っておられますか。

パク大統領 コヨンテという名前も存在も知りませんでした。

チョン主筆 チョン・ユラについてもいろいろな噂があります。お聞きになったと思いますが、チョン・ユラが大統領の娘だという噂もありますが。

パク大統領 どんどん品格の落ちる話ばかりですね(笑)。本当にたちの悪い嘘もいい加減にしないと。このような低レベルな嘘が乱舞するこの雰囲気が健全なものなのか疑問がわきます。

チョン主筆 チョン・ユラを最後に見たのはいつですか。

パク大統領 幼い時に見ました。昔の話です。今回チョン・ユラと改名したと聞きましたが、私はユヨンだと聞いています。改名したのも今回知りました。またチェ・ソウォンに改名したのも今回知りました。

チョン主筆 検察はチェ・スンシルと大統領が事実上経済的共同体だ。それでチェ・ユラに利益を与えたのは大統領に与えたのと同じだ。との論理を使っています。銀行口座を共に使っていますか。

パク大統領 そのようなことはありません。話にならないウソです。それで妙な経済共同体という言葉を作り出したのですが、それは貶めるためだとしてもあまりにもこじつけです。経済共同体という言葉があまりにもおかしいので特別検察でも撤回しました。話にもならないものです。

チョン主筆 特別検察の話は後ほどすることにして、今回の事件はチェ・スンシル国政壟断とのタイトルで呼ばれています。キム・ジョン元文教体育部次官の話もあり、また教育文化首席などを推挙したとの話もあり、チェ・スンシルが大統領の後で操縦していたのではないかという主張です。認めますか。

パク大統領 いいえ。国政壟断というのは人事介入、機密漏洩、政策関与など、大きく3つの分野に分けることができますね。政策に関与した機密を漏洩したというのは話になりません。人事の問題ですが、人事では要人は可能な限り多くの場所で推薦を受けて最適な人物を探します。公式ラインもありますし、また必要性が多い時には他の人たちも推薦することができます。推薦することは難しくはありませんが、推薦をいただいたからといってその人が決まるわけではありません。推薦を受けても手順があって、検証して、比較して、この人が専門性を持ち大きな欠点もないと判断した時に要人になれます。要人は、一、二人が推薦してなれるシステムでは全くありません。

チョン主筆 いま私が話したのは二人、言論報道では3-4人の名前が報道されました。それは文化部の所管分野ですが、他の推挙過程での人事でチェ・スンシルの介入とか影響力はありませんでしたか。

パク大統領 文化の方以外にはありません。文化分野は少しありました。しかし推薦しても検証が必要です。そのまま採用するわけではありません。

チョン主筆 チェ・スンシルが人物を推薦するとき、衣服やカバンなどを準備して直接申し上げるのですか、または人事秘書ラインを介して行われるのですか。

パク大統領 主に秘書官を介して行われます。

チョン主筆 チェ・スンシルの国政壟断に全く同意できないなら、今回の事件は性格が完全に違ってきます。私が見る限りもともとはチョン・ユンフェ事件だったのが門番3人衆に移りました。研究機関にまで占領しました。そして消えました。ウ・ビョンウ事件がまた出てきました。しかしそれも言論機関が探りまくりましたが決定的問題は出てきませんでした。それがある瞬間からチェ・スンシル問題が炸裂しました。言論機関としてはその間何度も失敗したことになります。これらの事件が続く中で、ある瞬間に切れなければならないのですが、今考えてどの時点で切れなければならなかったと考えますか?なぜ放置されたのか、大統領として防がなければならないことをお見逃しになったのか。外から見ていると、つまり、個人の倫理の問題をあまりにも重視して、大統領が守るべきことを疎かにしていたのではないかと思わされます。

パク大統領 今回の事態を振り返ってみると、ああ、そんなこともあったのか、私はそれをきちんと見ていなかったことを感じました。私の手落ちという気がします。それまでは知りませんでした。

チョン主筆 チェ・スンシルの私生活とか私的利益を得るために作った複数の会社見ると、大統領に知られないようにすることに神経を使っていたと私は見ました。このようなことを全く知らなかったのでしょうか。

パク大統領 はい。知りませんでした。

チョン主筆 いま特検が「ブラックリスト」と関連してチョ・ユンソン元文体部長官を拘束しました。チョ・ユンソン長官についてはどう思われますか。

パク大統領 賄賂でもないのに拘束までしたというのは、個人的にはあまりにもひどいと考えます。

チョン主筆 ブラックリストは以前からあったのですか。

パク大統領 知らないことです。

チョン主筆 いわゆる4大改革対象、つまり、国会、言論、労組、検察などの4大勢力が、同盟軍になったように、大統領を包囲して沈没させています。何故こうなったと思いますか。

パク大統領 あまりにも多くの根拠のない話が独り歩きするものですから、それを事実だと信じた人もいただろうし、また推進してきた改革に反対する反対勢力もいたし、国の体制に反対する勢力も合流したんではないかと、そう見ています。

チョン主筆 万一弾劾が憲法裁判所で認められた場合、これまで進めてきた改革は忘れられるでしょう。政治圏はどうなるでしょうか。

パク大統領 あんなに努力してきた改革案が崩れたら、また改革する意欲が出るでしょうか。永遠に水の泡となるのではないでしょうか。

チョン主筆 今回の事件を見ると、誰かがマスコミに背後から材料を与えたり、誰かがストーリーを作ったのではないのか、あえて陰謀とはいわないまでも、誰かが後ろで管理しているようだという感じを吐露する人がいます。そういう勢力があると思われますか、それとも報道で飛び出して来たのでそれに追随しているだけと思われますか。

パク大統領 これまでの進行状況を追跡してみると、何だか以前から企画されたものではないか、との感じも消すことはできません。

チョン主筆 その企画者が誰なのかという心証はありますか。

パク大統領 今申し上げるのはちょっと適切ではありません。

チョン主筆 何か感じる所はおありですか?

パク大統領 何か偶発的なものではない感じがしています。

チョン主筆 大変失礼なお話ですが、万一弾劾が棄却されるかまたは承認されるかどちらかの結論が出ます。憲法裁判所の弾劾審判手続きが公正か、それとも違うかどう見ますか。結果を受け入れることができますか。

パク大統領 公正な裁判が行われることを願っています。裁判を受ける立場でそれ以上申し上げるのは困難です。

チョン主筆 憲法裁に出席しますか。特検捜査はいつ受ける予定ですか。

パク大統領 憲法裁判所への出席はまだ検討していません。特検の捜査には取り組む考えです。

チョン主筆 青瓦台でおこなわれるのですか。

パク大統領 (時期と場所を)調整中です。

 

その2に続く。全2回。本記事はコリア国際研究所の記事 2017年2月7日掲載の転載です。)

写真:everystockphotoよりPresiden Korea Selatan Tiba di Bali

Park Geun-Hye, Presiden wanita pertama Korea Selatan tiba di Bali dalam rangka KTT APEC 2013 di Bali, Indonesia.

 

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この記事を書いた人
朴斗鎮コリア国際研究所 所長

1941年大阪市生まれ。1966年朝鮮大学校政治経済学部卒業。朝鮮問題研究所所員を経て1968年より1975年まで朝鮮大学校政治経済学部教員。その後(株)ソフトバンクを経て、経営コンサルタントとなり、2006年から現職。デイリーNK顧問。朝鮮半島問題、在日朝鮮人問題を研究。テレビ、新聞、雑誌で言論活動。著書に『揺れる北朝鮮 金正恩のゆくえ』(花伝社)など。

朴斗鎮

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