2017総選挙ファクトチェックプロジェクト
国際  投稿日:2017/2/25

仏、黒人男性に性的暴行で暴動

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Ulala(ライター・ブロガー)

フランス Ulala の視点」

フランス大統領選がまさにヒートアップしている。今まで、エマニュエル・マクロン前経済相が大統領選で勝利すると予想されてきたが、ここで一気にその予想の行方がわからなくなってきた。

オピニオンウェイが毎日集計する2月20日の世論調査によると、第1回投票における極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首の支持率が27%で上昇がとまらない。マクロン氏とフィヨン元首相はいずれも20%で変わらず、左派は6日の集会でメランション氏がアモン前国民教育相と協力して仕事をしたいと近寄りを見せていたが決裂し、支持率浮上要素とはなっていない。

この結果でもまだ現時点ではルペン氏を除いた他の候補者が当選すると予想されているが、気になるのは16日にアルジェリアを訪れた後のマクロン氏の支持率の低下だ。

アルジェリアでのマクロン氏の発言が波紋を呼んでいる。

「植民地化はフランスの歴史に属し、これは人類に対する犯罪である」

という発言を受け、共和党や国民戦線の議員達の激しい怒りを引き起こし、特にフィヨン氏は彼の言葉は共和国大統領に立候補する資格がないとまで言って攻撃。マクロン氏は、アルジェリアから撤退したフランス人に対して謝罪をしたものの、発言の撤回はしていない。ルペン氏率いるFNはこの発言に「マクロン氏は、フランスを中傷している」ときっぱりと否定。

ルペン氏は21日、訪問先のレバノンでイスラム教の女性が頭を覆うスカーフの着用を拒否し、予定されていた大ムフティ(イスラム法最高権威者)との会談を中止するなど、対イスラムに対する態度が明確だ。こういった点で、ルペン氏への支持がさらに上昇している。

ルペン氏への追い風はそれだけではない。先日起こった、警察による黒人男性への性的を含む暴行がフランス社会に大きな影響を与えている。アフリカ系のフランス人男性は今月2日に、パリ郊外のオルネー・スー・ボアで警官らに拘束された際、性的を含む激しい暴行を受けた。被害者は手術が必要なほど激しい傷を肛門に受け、全治60日と診断されて現在入院中だ。

事件現場に近いボビニーの裁判所前では11日、およそ2000人が被害男性のために正当な裁きを求め、デモを行っていたが、一部が警察と衝突し暴徒化。車や店舗、公共物などを破壊した。その後も、警察との衝突が毎夜起きており、抗議開始から約50人が逮捕された。また抗議行動はマルセイユやナントなどフランス各地でも行われ、連日ニュースで伝えられた。

フランスではパリ郊外の移民が多く住む地域では、強引な職務質問や行き過ぎた取り締まりなど警察への不満が常に存在しており、今回の事件でそうした怒りが爆発したとも言える。しかしながら、各地で移民が起こす暴動に国の治安に不安を抱く人も急増し、ルペン氏の支持率を上げる一要因ともなったのだ。

そんな状況の中、また新たな動きがあった。22日、現在ポー市長のフランソワ・バイルー氏が、マクロン氏と協力することを表明。教育相を務めるなど政治生活も長く、バイルー氏は3回連続で大統領選に立候補したこともある有力経験者だ。このことによりまだ若く経験も少ないマクロン氏に大きな後ろ盾ができたことになり、公約がいまだにはっきりしないなどの問題点も一気に解消するだろう。マクロン氏の人気度と信頼できる経験値を持つバイルー氏が協力関係を結ぶことは、今後の流れに大きく影響してくると期待される。

続々とフランスの中でくすぶっていた問題点が噴き出し揺れているフランス。それ以上に予想外のことが次々と飛び出す大統領選だが、バイルー氏が出馬しないことを受けてようやく候補者が固まったとも言える。これからが本格的大統領選の始まりであり、フランス国民の真の価値観が試される期間の始まりでもあるのだ。

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この記事を書いた人
Ulalaライター・ブロガー

日本では大手メーカーでエンジニアとして勤務後、フランスに渡り、パリでWEB関係でプログラマー、システム管理者として勤務。現在は二人の子育ての傍ら、ブログの運営、ライターとして活動中。ほとんど日本人がいない町で、フランス人社会にどっぷり入って生活している体験をふまえたフランスの生活、子育て、教育に関することを中心に書いてます。

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